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直感勝負
古人の詞に、七息思案と云ふことあり。隆信公は、「分別も久しくすればねまる。」と仰せられ候。直茂公は、「万事しだるきこと十に七つ悪し。武士は物毎手取早にするものぞ。」と仰せられ候由。心気うろうろとしたるときは、分別も埒明かず。なづみなく、さわやかに、凛としたる気にては、七息に分別すむものなり。胸すわりて、突っ切れたる気の位なり。
物事には勝負所というものがあり、「ここぞ」というタイミングを瞬時に判断し、最大限に生かしきったときに勝ちに結びつく。したがって、勝負に出るときには一瞬のためらいも許されないのである。さもなくば、龍造寺隆信の言う「分別も久しくすればねまる。」ことになり、せっかくのタイミングも逸してしまうことにもなりかない。「万事しだるきこと十に七つ悪し。」と言っているように、下手な考え休むに似たりである。あれこれと思案に時間をかけ過ぎたところで、良い結果には結びつかないことが多く、「心気うろうろとしたるときは、分別も埒明かず。」ということになってしまうのである。
だからといって、「七息思案」などというのは俄にできるものではなく、日頃から物事を大所高所から観るように心がけるとともに、爽やかに凛とした気を養っておくことが大切である。