短編小説「題『いのち』」
若い男性書道家が主人公のオリジナル短編です。
よければ、お楽しみください。
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集落が点在する山奥にある、簡素な日本家屋に、ひとりの女性が向かっている。車を路肩に停め、車から降りて紙袋をさげた女性は、家屋につくと、インターホンを鳴らした。
「はーい」
穏やかな若い男性の声がし、引き戸が開く。顔を出したのは、作務衣を着た大学生くらいの青年だ。
「あ、新木さん。また来てくれたんですね」
「狛太さん。今日は、仕事で福岡に行ってきたのでお土産を」
女性