自殺予防マガジン『JOIN』

『JOIN』は、自殺予防にかかわる人たちのためのウェブ・マガジンです。責任編集:末木 新(和光大学 教授/公認心理師/臨床心理士)。詳細は以下のサイトをご参照下さい:https://researchmap.jp/hajime_sueki

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最近の記事

Digital Marketing and Suicide Prevention Summit 2024 に参加して:自殺予防×デジタル戦略の未来について

2024年11月12日~13日にかけてMelbourne Business Schoolで開催された「Digital Marketing and Suicide Prevention Summit 2024」(※注1)にOVAの伊藤さんと一緒にご招待いただき、参戦してきました。いやー、本当に楽しかった。本記事は、その過程で考えたこと/気づいたことについてフランクにまとめたものです。長くなりますが、自殺予防(福祉提供)×デジタル戦略の未来について考えてみたい、という方には、役立

    • 研究者と社会企業家の協働―NPO法人OVAの10周年を記念して

      趣旨ー研究者は社会起業家との協働をしようこの度、NPO法人OVAの設立10周年イベント「AI時代における新たなセーフティネットをどう構築するか?」が開催されることとなりました。法人設立10周年記念パーティということで、代表から今後のビジョンに関する話もありますが、私からも「AI時代の自殺予防ー展望と我々の課題」という話題提供を行い、これらを踏まえて「AI時代における新たなセーフティネットをどう構築するか?」というトークセッションを行うという極めて真面目なパーティ(?)という

      • 自殺に関するメディア・芸術表現に研究者が関わるということー『ウツパン』の監修を終えてのあとがき

        このたび、初めて監修という立場で関わらせていただきました『ウツパン』が完結し、コミックの発売と相成りました。漫画書籍の方では僭越ながら、解説文を書かせていただきました。解説は書かせていただきましたが、字数にして約2000字ちょっと。どうしても書ききれないこともあり、こちらの方で勝手に、個人的な、作者の有賀先生とは異なる「あとがき」を書いてみました。よろしければ、お付き合いください。 ウェルテル効果とガイドラインー仕事を受けた経緯監修というと随分と偉そうな感じを受けますが、監

        • 『ふつうの相談』評―あるいは、東畑開人の仕事について

          まえがき 以下の文書は、東畑開人(著)『ふつうの相談』の書評です。師匠から、臨床心理学iNEXTの方に東畑さんの新刊の書評を書いてくれと言われたのですが… 断れるはずもないので書いてみたらとてもじゃないが依頼の文字数におさまるわけもなく、そんな短い分量じゃ入り切らないでしょ、ということで、こちらにフルバージョンを掲載しました。 一般的な書評のように、内容の要約のようなものはつけていません。内容が知りたいという方は是非、手にとってご自身で内容を確認して下さい。そして、その上で

          ¥100

          パパゲーノ効果は存在するか?ー実験/エビデンスの具体的な内容とその「質」について

          はじめに:本記事の目的この度、『メディアと自殺: 研究・理論・政策の国際的視点』という書籍が人文書院さんから出版されました。この本は、トーマス・ニーダークローテンターラーとスティーブン・スタックという、自殺(とメディア)に関する研究をしている者であれば知らないことはない二人が編者となって作成された学術書で、広く読んでもらいたいと思いはするものの、一般の方が読むにはややヘビーな内容かな、という感じの本になっています(監訳者の太刀川弘和先生も同テーマの国内の第一人者であり、体制

          パパゲーノ効果は存在するか?ー実験/エビデンスの具体的な内容とその「質」について

          自殺の報道はどうあるべきか?ーマス・メディアの責任と「できること」について

          ネット心中や特異な自殺方法による自殺、インターネットを介した自殺幇助や嘱託殺人(のように見せかけた単なる殺人事件)などが起こると、それなりの数の取材依頼をいただきます。自分の置かれた社会的な立場を考え、こうした取材の依頼にはなるべく応答しようと思ってはおりますが、こちらにはこちらの生活や仕事がありますので、必ずしも依頼をお受けできるわけではありません。また、取材で受ける質問には共通するものも多いものですから、あらかじめここに回答を示しておきたいと思います。 なお、WHOの「

          自殺の報道はどうあるべきか?ーマス・メディアの責任と「できること」について

          5-1.行政から見た自殺予防の課題①ー東京都福祉保健局保健政策部課長向山さんインタビュー後編

          東京都健康推進事業調整担当課長である向山さんをお招きし、自殺対策の現状とその課題についてお聞きしました。こちらはインタビューの後編になります。なお、このインタビューの内容は、向山さん個人の見解に基づくものであり、所属する組織を代表するものではありません。 東京と地方での自殺対策の違い【末木】先日、都立大の勝又陽太郎先生へのインタビューで、新潟と東京での自殺対策の違いということをお聞きしました(参考:研究者から見た自殺予防の課題①)。新潟と東京都ではかなり同じ都道府県といって

          5-1.行政から見た自殺予防の課題①ー東京都福祉保健局保健政策部課長向山さんインタビュー後編

          5-1.行政から見た自殺予防の課題①ー東京都福祉保健局保健政策部課長向山さんインタビュー前編

          本日は、東京都健康推進事業調整担当課長である向山さんをお招きし、行政の立場から見た自殺対策の現状とその課題についてお聞きしました。なお、このインタビューの内容は、向山さん個人の見解に基づくものであり、所属する組織を代表するものではありません。 自殺対策に関わる行政官としての仕事の概要【末木】本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、向山さんがどういったお仕事をなさっているのか、具体的な中身をお教えいただきたいと思います。 【向山】はい。今、私は東京都福祉保健局保健政策部

          5-1.行政から見た自殺予防の課題①ー東京都福祉保健局保健政策部課長向山さんインタビュー前編

          4-1. 行政支援の現場から見た自殺予防の課題①ーいのち支える自殺対策推進センター 森口和さんインタビュー前編

          特集(自殺予防実践の現場から見た、実践・研究・行政上の課題) 森口 和(厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター地域連携推進部) 末木 新(和光大学 教授) 自殺予防マガジン "Join", No.4 「いのち支える自殺対策推進センター」地域連携推進部に所属し、特に自殺対策に関する地域行政の支援に関するお仕事をされている森口和さんをお招きし、自殺対策の現状とその課題についてお聞きしました。 厚生労働大臣指定法人として、自殺対策に関わる仕事の概要

          4-1. 行政支援の現場から見た自殺予防の課題①ーいのち支える自殺対策推進センター 森口和さんインタビュー前編

          4-2. 行政支援の現場から見た自殺予防の課題①ーいのち支える自殺対策推進センター 森口和さんインタビュー後編

          特集(自殺予防実践の現場から見た、実践・研究・行政上の課題) 森口 和(厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター地域連携推進部) 末木 新(和光大学 教授) 自殺予防マガジン "Join", No.4 「いのち支える自殺対策推進センター」地域連携推進部に所属し、特に自殺対策に関する地域行政の支援に関するお仕事をされている森口和さんをお招きし、自殺対策の現状とその課題についてお聞きしました。 コロナ禍における課題やその他の課題【森口】 他の課題で

          4-2. 行政支援の現場から見た自殺予防の課題①ーいのち支える自殺対策推進センター 森口和さんインタビュー後編

          3-2. 研究者から見た自殺予防の課題②ー東京都立大学准教授 勝又陽太郎さんインタビュー後編

          東京都立大学にて、教鞭をとられており、自殺に関する研究者/心理学者でもある勝又陽太郎先生をお招きし、研究者の立場から見た自殺対策の現状とその課題についてインタビューした後編になります。前編については、こちらをご覧ください。 事業運営金の工面方策【末木】 ちなみに、自殺対策に限らないかもしれないですが、こうした介入/政策を実施していくためには、お金の出本をどうしたらよいのか、どういう形があり得るのかという問題がついてまわります。そういった資金面の課題の解決法については、何か考

          3-2. 研究者から見た自殺予防の課題②ー東京都立大学准教授 勝又陽太郎さんインタビュー後編

          3-1. 研究者から見た自殺予防の課題①ー東京都立大学准教授 勝又陽太郎さんインタビュー前編

          東京都立大学にて、教鞭をとられており、自殺に関する研究者/心理学者でもある勝又陽太郎先生をお招きし、研究者の立場から見た自殺対策の現状とその課題についてお聞きしました。勝又先生のプロフィール/これまでのお仕事につきましては、以下のリンク先をご覧ください。 東京都立大教員紹介ページ researchmap KAKEN 地域保健に関わる研究者としての仕事の概要【末木】 本日は、よろしくお願いします。早速なんですけれども、今回お声掛けさせて頂いた趣旨を簡単にご説明させていた

          3-1. 研究者から見た自殺予防の課題①ー東京都立大学准教授 勝又陽太郎さんインタビュー前編

          パパゲーノ効果に関する誤解と過剰期待に注意ー適切な自殺報道に向けて理解すべきこと

          コロナ禍における自殺2020年夏頃からコロナ禍での自殺率の上昇が話題となっています。その一因として、夏頃から断続的に続いた芸能人/有名人の自殺による死亡と、その報道が取り上げられることがあります。いのち支える自殺対策推進センターの「コロナ禍における自殺の動向に関する分析(緊急レポート)」において示された分析においても、7月に起きた若手有名俳優の自殺報道後に自殺が増えていることが見てとれます。このような有名人の自殺報道後に自殺が増える現象は「ウェルテル効果」として広く知られてい

          パパゲーノ効果に関する誤解と過剰期待に注意ー適切な自殺報道に向けて理解すべきこと

          2-2. 実践家から見た自殺予防の課題②ーNPO法人OVA 清水幸恵さんインタビュー後編

          (特集 自殺予防実践の現場から見た、実践・研究上の課題)  清水 幸恵(NPO法人OVA クライシスサポート部部長) 末木 新(和光大学 教授) 自殺予防マガジン "Join", No.2 自殺予防実践を行うNPO法人OVAに所属している清水さんをお招きし、自殺対策における現場の状況とその課題について、インタビューを行った内容をまとめました。こちらは、インタビューの後編になります。 オンライン相談への社会的信用・需要の高まり【末木】 コロナ禍の影響(通信環境の変化)などを

          2-2. 実践家から見た自殺予防の課題②ーNPO法人OVA 清水幸恵さんインタビュー後編

          2-1. 実践家から見た自殺予防の課題①ーNPO法人OVA 清水幸恵さんインタビュー前編

          (特集 自殺予防実践の現場から見た、実践・研究上の課題)  清水 幸恵(NPO法人OVA クライシスサポート部部長) 末木 新(和光大学 教授) 自殺予防マガジン "Join", No.2 自殺予防実践を行うNPO法人OVAに所属している清水幸恵さんをお招きし、自殺対策における現場の中での現状とその課題について、インタビューを行った内容をまとめました。清水さんのご経歴は以下の通りです。 東京学芸大学大学院修了。臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士。精神科単科病院にて、心

          2-1. 実践家から見た自殺予防の課題①ーNPO法人OVA 清水幸恵さんインタビュー前編

          1-2. 実践家から見た自殺予防の課題②ーNPO法人OVA代表 伊藤次郎さんインタビュー後編

          (特集 自殺予防実践の現場から見た、実践・研究・行政上の課題) 伊藤 次郎(NPO法人OVA 代表) 末木 新(和光大学 教授) 自殺予防マガジン "Join", No.1 自殺予防実践を行うNPO法人OVAを設立した伊藤次郎さんをお招きし、自殺対策の現状とその課題について、インタビューを行った内容の後編になります。前編についてはこちらをご覧ください。 次世代の実践家を生み出すために必要なこと【末木】 最初の部分に戻ります。自殺対策を継続的に進めていくためには、対策を担う

          1-2. 実践家から見た自殺予防の課題②ーNPO法人OVA代表 伊藤次郎さんインタビュー後編