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自由炊事党
2024年1月8日 21:11
3月菜の花 3月になると、なんだか胸の奥からゾワッとする感じがする。気圧の変化なのか、気温の変化なのか、はたまた気づいていないだけで花粉症なのかはわからないが、春のあのムズムズソワソワする感じは身体的な感覚だ。 スーパーに行くと、食材もなんだか春めいている。中でも春を実感するのは菜の花だ。2月ぐらいから出始め、旬が近づくにつれて値段が下がっていく。いつ「初菜の花」を買うか、売り場で見かけるた
2024年1月3日 19:27
2月ふきのとう 昔北海道に3年だけ住んでいて、早春のドライブはふきのとう採りとセットだった。道路脇に車を停めてすぐのところにふきのとうが生えているのだから、ふだん山菜採りなんてしない母も喜んで採るのだ。 持ち帰ったふきのとうはさっと湯がき、刻んでふき味噌にする。両親は美味しそうに食べていたが、当時の僕は舌がお子ちゃまだったから、あんな苦いものを喜んで食べる母の気持ちが全くわからなかった。一度
2023年12月28日 22:17
1月なますとお雑煮 母方の祖父は山梨出身で、三世帯暮らしをしていたころはよく田舎暮らしのエピソードを話してくれた。夏休みのたびに母も山梨に遊びに行っていたらしく、椎茸の収穫を忘れると一晩で食べられない大きさに化けてしまう話や、鶏などを飼って卵をとっていた話など、牧歌的な田舎の思い出を聞いたものだ。料理をしない祖父が唯一作ってくれたのが、かぼちゃが煮とろけて汁がオレンジ色に染まった、具だくさんの
2023年12月27日 23:58
11月大根 旅先で「東京から来ました」と言うと、「東京のどこから?」と聞かれることが多い。渋谷とか浅草とか、東京の地名は全国版のニュースにもよく出てくるし、地方から東京に出た親戚がいれば「自分の親戚が近くに住んでいる」と言いたくもなるものだ。残念ながら僕が住む町は彼らが期待する答えから外れているが、「近くに無人直売所があります」と言うと、親近感を覚えてもらえる。 その無人直売所には季節の野菜
2023年12月25日 20:03
9月栗 ある年の秋、ドライブに出かけたところ、立派な栗に出会って無性に料理してみたくなった。それまで栗を料理したことはなかったから、衝動買いしたは良いもののどう下ごしらえして良いかまったくわからず、ネット情報を頼りに、夜中までかかってなんとか渋皮までむくことができた。 それからしばらくして、別のところの道の駅に立ち寄ると、以前格闘した栗よりもはるかに安いではないか。ブランドや実の大きさなど色
2023年12月20日 23:32
8月茄子 茄子5本入りの値段が徐々に下がってくると、夏を感じる。200円前後になったところで、そろそろ今シーズンの茄子料理をはじめようかと思い立って、5本入りを買う。1本は小さいように見えても、茄子を5本一気に使い切るのは難しいから、1袋買ったら2品くらいつくることが多い。 夏バテ気味のときに作るのが、茄子と卵の旨辛炒め。家にある食材で作ってみたら結構美味しかったので、それ以来夏になると必ず
2023年12月19日 12:36
7月枝豆スーパーに枝豆が並ぶと、いよいよ夏の訪れを感じる。朝晩はまだ過ごしやすい気温でも、昼間になるとじっとしていても汗ばむ陽気になる。そんなときはビールと枝豆を決めたくなるのが日本人というもの。東京に住んでいると、埼玉や千葉の新鮮な枝豆が手に入る。ときには枝付きで売られているほど。枝豆は生きているから、放っておくと呼吸して熱を帯びて、傷んでくる。早めに茹でるのが吉だが、茹でてしまうとすぐに
2023年12月18日 12:05
6月カツオ初夏になるとスーパーの鮮魚売り場に生のカツオが並ぶ。解凍品のたたきは通年食べられてハズレがないが、生のカツオを見ると夏の訪れを感じて食べたくなる。一度だけ、水っぽくてまったく味のしないハズレを引いたことがあるが、懲りずに買ってしまう。生のカツオはそのままではやや水っぽくて鉄臭いから、漬けにすることが多い。醤油と料理酒を同量混ぜた漬けダレに一晩漬け込んで、丼にして食べる。青唐辛子を漬
2023年12月17日 23:15
5月山菜たけのことふきのとう以外の山菜に手を出すようになったのは、つい最近のことだ。わらびは灰でアク抜きをしないといけないし、たけのこだって下処理が大変だから、山菜全般に調理が面倒なイメージがあって、今まで避けて通っていた。しかし、遅い春を迎えた東北や信州の直売所に行くと、新鮮で鮮やかな山菜たちが驚くほど手頃なお値段でずらりと並んでいるから、買わないわけにはいかない。山菜が並んだ棚の前で、
2023年12月13日 21:41
一人暮らしの歳時記自炊で感じる季節のうつろい秘書 はしも「丁寧な暮らし」という言葉が、最近ネットで目につく。手間暇かけて料理を作ったり、お気に入りの洋服にちゃんとアイロンをかけたり、すっきりきれいに片付け、ときには小物を自分で作ってしまったり……雑誌に出てきそうな暮らしのことだろうか。私は「丁寧な暮らし」とは無縁の生活を送ってきた。家に遊びに来た友人が、開梱しないまま積まれている段ボール