自由炊事党

義務感からではなく自由に炊事を楽しむことを目的として2017年4月に結成されました。総裁、幹事長、秘書、党員、穀対委員長、食器長の6名が各々自由に活動中。深夜の飯テロ活動も辞さない構え。投票の際は「自炊党」とお書きください。※自炊党は政治団体ではなく炊事団体です。

自由炊事党

義務感からではなく自由に炊事を楽しむことを目的として2017年4月に結成されました。総裁、幹事長、秘書、党員、穀対委員長、食器長の6名が各々自由に活動中。深夜の飯テロ活動も辞さない構え。投票の際は「自炊党」とお書きください。※自炊党は政治団体ではなく炊事団体です。

最近の記事

【特別公開】一人暮らしの歳時記 3月

3月菜の花  3月になると、なんだか胸の奥からゾワッとする感じがする。気圧の変化なのか、気温の変化なのか、はたまた気づいていないだけで花粉症なのかはわからないが、春のあのムズムズソワソワする感じは身体的な感覚だ。  スーパーに行くと、食材もなんだか春めいている。中でも春を実感するのは菜の花だ。2月ぐらいから出始め、旬が近づくにつれて値段が下がっていく。いつ「初菜の花」を買うか、売り場で見かけるたびに脳内会議がはじまる(298円くらいで手を打つことが多い)。  菜の花はシンプ

    • 【特別公開】一人暮らしの歳時記 2月

      2月ふきのとう  昔北海道に3年だけ住んでいて、早春のドライブはふきのとう採りとセットだった。道路脇に車を停めてすぐのところにふきのとうが生えているのだから、ふだん山菜採りなんてしない母も喜んで採るのだ。  持ち帰ったふきのとうはさっと湯がき、刻んでふき味噌にする。両親は美味しそうに食べていたが、当時の僕は舌がお子ちゃまだったから、あんな苦いものを喜んで食べる母の気持ちが全くわからなかった。一度、えぐみが残らない方法を母がネットで調べて試してくれたことがあったが、それでも当

      • 【特別公開】一人暮らしの歳時記 12月

        12月じゃがいも  北海道から届く食材で、もう一つ食べきるのに工夫がいるのがじゃがいもだ。カレーや肉じゃがなど、家庭料理には欠かせない食材だが、一人暮らしではたくさんの材料が必要な煮込み料理はあまり作らない。  じゃがいもをなんとか消費し、芽が伸びるまでに食べつくすのが、ひと冬の楽しみであり挑戦でもある。  最近のお気に入りは居酒屋風ポテトサラダで、ほんの少しの工夫で格段に美味くなる。  じゃがいも4個はよく水洗いして、皮つきのままチンする。ラップで包んで5分チンして、裏返

        • 【特別公開】一人暮らしの歳時記 1月

          1月なますとお雑煮  母方の祖父は山梨出身で、三世帯暮らしをしていたころはよく田舎暮らしのエピソードを話してくれた。夏休みのたびに母も山梨に遊びに行っていたらしく、椎茸の収穫を忘れると一晩で食べられない大きさに化けてしまう話や、鶏などを飼って卵をとっていた話など、牧歌的な田舎の思い出を聞いたものだ。料理をしない祖父が唯一作ってくれたのが、かぼちゃが煮とろけて汁がオレンジ色に染まった、具だくさんのほうとう風うどんだった。  今では私も一人暮らしだが、毎年冬になると、山梨の親戚

        マガジン

        • 一人暮らしの歳時記
          10本
        • 『自炊のひろば』創刊号からの再録集
          5本

        記事

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 11月

          11月大根  旅先で「東京から来ました」と言うと、「東京のどこから?」と聞かれることが多い。渋谷とか浅草とか、東京の地名は全国版のニュースにもよく出てくるし、地方から東京に出た親戚がいれば「自分の親戚が近くに住んでいる」と言いたくもなるものだ。残念ながら僕が住む町は彼らが期待する答えから外れているが、「近くに無人直売所があります」と言うと、親近感を覚えてもらえる。  その無人直売所には季節の野菜が並ぶので、商品が並べられる時間に近くを通るときは「今日は何があるのだろう」とい

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 11月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 10月

          10月南瓜  秋になると、実家から野菜が送られてくる。北海道の企業の株主になると、優待品として野菜をもらえることがある。両親は仕事の都合でそれぞれ一人暮らしをしていて、毎日忙しくしているから大量の野菜が届いても食べきれないのだという。それで僕が消費することになっているのだ。  必ず入っているのが、大きな南瓜。一人暮らしに丸ごと1個の南瓜は大きすぎるのだけれども、せっかくの秋の恵みは大切にしないといけない。南瓜はワタから腐るので、届いたら早々に解体してワタを掻き取る。薄切りや

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 10月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 9月

          9月栗  ある年の秋、ドライブに出かけたところ、立派な栗に出会って無性に料理してみたくなった。それまで栗を料理したことはなかったから、衝動買いしたは良いもののどう下ごしらえして良いかまったくわからず、ネット情報を頼りに、夜中までかかってなんとか渋皮までむくことができた。  それからしばらくして、別のところの道の駅に立ち寄ると、以前格闘した栗よりもはるかに安いではないか。ブランドや実の大きさなど色々な要因はあるが、それにしてもお買い得だ。下ごしらえに手間がかかることも忘れて、

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 9月

          炊事団体が発行する機関誌「自炊のひろば」誕生秘話(その1)

          こんにちは、私たちは自由炊事党という「すいじ」団体です。党構成員として現在、総裁、幹事長、秘書、党員、穀対委員長、食器長の6名が在籍しています。このほか臨時・兼任で鮮魚管理委員長などか置かれます。 私たちは「自炊の方が安く上がるから、つまらないけど……」とか「料理くらいできなきゃいけないから……」のような理由だけで料理をするのではなく、「いやいや、料理って楽しいんですよ。自分の楽しみのために料理をしましょうよ!」と呼びかける活動を行っています。自炊は楽しいからするの。自炊して

          炊事団体が発行する機関誌「自炊のひろば」誕生秘話(その1)

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 8月

          8月茄子  茄子5本入りの値段が徐々に下がってくると、夏を感じる。200円前後になったところで、そろそろ今シーズンの茄子料理をはじめようかと思い立って、5本入りを買う。1本は小さいように見えても、茄子を5本一気に使い切るのは難しいから、1袋買ったら2品くらいつくることが多い。  夏バテ気味のときに作るのが、茄子と卵の旨辛炒め。家にある食材で作ってみたら結構美味しかったので、それ以来夏になると必ず作っている。  卵4個を割りほぐして塩胡椒少々を加え、多めの油を引いたフライパン

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 8月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 7月

          7月枝豆 スーパーに枝豆が並ぶと、いよいよ夏の訪れを感じる。朝晩はまだ過ごしやすい気温でも、昼間になるとじっとしていても汗ばむ陽気になる。そんなときはビールと枝豆を決めたくなるのが日本人というもの。 東京に住んでいると、埼玉や千葉の新鮮な枝豆が手に入る。ときには枝付きで売られているほど。枝豆は生きているから、放っておくと呼吸して熱を帯びて、傷んでくる。早めに茹でるのが吉だが、茹でてしまうとすぐに色が落ちて味も悪くなる。 一袋食べきれないときによく作るのが、枝豆のブルーチーズ

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 7月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 6月

          6月カツオ 初夏になるとスーパーの鮮魚売り場に生のカツオが並ぶ。解凍品のたたきは通年食べられてハズレがないが、生のカツオを見ると夏の訪れを感じて食べたくなる。一度だけ、水っぽくてまったく味のしないハズレを引いたことがあるが、懲りずに買ってしまう。 生のカツオはそのままではやや水っぽくて鉄臭いから、漬けにすることが多い。醤油と料理酒を同量混ぜた漬けダレに一晩漬け込んで、丼にして食べる。青唐辛子を漬けておいたべっ甲醤油にすれば、爽やかな辛さのべっ甲漬けにもなる。 友達を呼んで、

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 6月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 5月

          5月山菜 たけのことふきのとう以外の山菜に手を出すようになったのは、つい最近のことだ。わらびは灰でアク抜きをしないといけないし、たけのこだって下処理が大変だから、山菜全般に調理が面倒なイメージがあって、今まで避けて通っていた。 しかし、遅い春を迎えた東北や信州の直売所に行くと、新鮮で鮮やかな山菜たちが驚くほど手頃なお値段でずらりと並んでいるから、買わないわけにはいかない。 山菜が並んだ棚の前で、スマホ片手に下ごしらえの方法を調べる。茹でるだけなど、普通の野菜と同じように使え

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 5月

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 4月

          一人暮らしの歳時記自炊で感じる季節のうつろい 秘書 はしも 「丁寧な暮らし」という言葉が、最近ネットで目につく。手間暇かけて料理を作ったり、お気に入りの洋服にちゃんとアイロンをかけたり、すっきりきれいに片付け、ときには小物を自分で作ってしまったり……雑誌に出てきそうな暮らしのことだろうか。 私は「丁寧な暮らし」とは無縁の生活を送ってきた。家に遊びに来た友人が、開梱しないまま積まれている段ボールの山を見て「生活する場所ではない」と呆れたこともあるほどだ。掃除も洗い物も、でき

          【特別公開】一人暮らしの歳時記 4月

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その3)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)

          【注意】この記事は、自由炊事党機関誌「自炊のひろば」創刊号(2019年11月発行)に掲載された記事の一部を、見本として掲載するものです。都合により予告なく公開範囲を変更しまたは公開を取りやめる場合がありますので、ご了承ください。 (その1・その2の記事はこちら!) いよいよ当日! ここまで十分準備を重ねてきたが、いよいよ当日である。当日はとにかく慌ただしい。朝のうちにする仕込みを済ませてから夜を待つのみである。 当日朝~数時間前までにしなければならない仕込み 米を炊く、

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その3)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その2)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)

          【注意】この記事は、自由炊事党機関誌「自炊のひろば」創刊号(2019年11月発行)に掲載された記事の一部を、見本として掲載するものです。都合により予告なく公開範囲を変更しまたは公開を取りやめる場合がありますので、ご了承ください。 (その1の記事はこちら!) 買い物と材料の保管 作るものが決まったところで、いよいよ買い物である。卵とほとんどの野菜は常温保存が可能であり、5~3日前のうちに特売日や暇な時間を見計らって買っておくのが吉だ。ただし、夏場はレタスと人参は冷蔵保存が必

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その2)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その1)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)

          【注意】この記事は、自由炊事党機関誌「自炊のひろば」創刊号(2019年11月発行)に掲載された記事の一部を、見本として掲載するものです。都合により予告なく公開範囲を変更しまたは公開を取りやめる場合がありますので、ご了承ください。 メニューの選定 筆者はメンバーや目的に応じて出す料理を変えるよう心掛けているが、あくまでも手持ちのレパートリーという制約の中でのことである。今回は4ヶ国のコースの場合を紹介したい。ここで紹介するのはレストランハシモで頻繁に提供される料理ばかりにした

          一人でもできる! パーフェクト宅飲みガイド(抄・その1)(機関誌『自炊のひろば』創刊号より)