シェア
壱宍 (若槻きいろ)
2022年4月14日 18:19
毒をもつのはきっと容易いかような姿は修羅の如く研がれた刃と牙をもつひと在らざる化身なりひとつ歩めば全てを切り裂きふたつ行けば荒野と化す其はうつくしき獣なりそうであるならすくわれたそうであればワタシで在れた見目ばかりが人だからまわりは勝手に同列扱い珍品列挙 奇異敬遠誰もが知らぬ存ぜぬ繰り返す己に自問を繰り返すワタシは私に成りました牙を無くした私など伽藍とカラの器
2021年6月28日 07:53
風を撫でるように思い出の輪郭を辿った。今、頭の中には君と過ごした、吐き出した言葉たちが泳いでいる。ふたりの秘密。それを投げ掛けては、知らないふりして薄く跡を残している。同じ場所を、何度も何度も。ゆっくりと刻みつけて、深い溝になるように。言えない言葉の代わりに、目の前にない、君の輪郭に触れた。
2021年2月6日 08:42
思入れの深さを数えた。ティースプーンいっぱいの残念さ。ミルクピッチャー3杯分の優しさ。スティックシュガー5本分の気遣い。現実味のスライスレモンをひとつ。入れた量で濃さは変わる。だから私たちがこんなにも不安定なのは、きっと仕方ないこと。優しさをこちらに、残念さをそちらに。分け合えばよかったの、本当は知っている。 ティースプーンいっぱいの気遣い。ミルクキャップ3杯分の不真面目さ
2021年1月24日 20:36
都会の雪は雨にはじまり霙でおわる。 気まぐれに積もり跡を濁し薄くアスファルトに張り付いていく。神田川の底の底桜並木の囲まれた深さの下で雪は積もる。雨になりて霙になりて春の雪を待ち続ける。
2020年10月8日 20:31
言葉 言葉 点 の よう歪 な カタチ 繋がって見えない カタチ 識らない カタチ貴方 知らなきゃ わからない私は ここ に いるのだ と貴方は そこ に いるのだ と星座 みたいに 私に 伝える拙い糸 が途切れぬ ように私と ワタシ 貴方と アナタ振れない袖 は他人ばかり例えば 交わること も無かったんだ紡ぐ 繋ぐ 心が欲する揺れる 解ける 波のように連ねて溢
2020年2月2日 21:54
誰かの願いが降ってやまないお腹がぐずぐず燻ってるあなたのことばが欲しいのだ私の内を荒らして去った、素知らぬあなたが欲しいのだここにあるのは深い溝だけあなたとあるのはこの溝だけどうにも悔しい気がするのはきっと私だけなんでしょ後にも先にも散らばった心を拾い上げることすら出来なかった今日という日を忘れやしない忘れるものか #詩 #創作 #雑文
2019年12月14日 00:27
摺り合わせた熱に名残を見出してたださようならを突き放した 隣だけなんていらなかった求めるには余分が多かっただからこれは、順当な結末 きっとね 明日には笑ってしまうようろ覚えの昨日は何処かに行くよあったことはみぃんな夢だだから忘れたって 大丈夫だよ 何があってもこうなったそれは確かに言えるから互いの目を見ず手を離そう後ろを見たりはしないから安心してね 大丈夫だよ
2019年11月17日 18:06
真心を丁寧に丁寧に透いてゆく。 貴方に私が届かぬように私が貴方に気づかれないように薄く、薄く、薄氷を踏むが如く丁寧に丁寧に透いてゆく。 脆くなった私のホントウどうか見つけないでくださいね。砕け散って塵となった果てでも追いかけないと誓ってよ。 紙のように引き千切って、吹雪くさまを見せるから。
2019年11月12日 22:00
知ってる街の、知らない姿。鉄筋の骨組、馴染まぬ顔触れ。電柱の乱立、高架線のお膝元。足跡じみた灯火を追って、 ボクは風になったんだ。『線路の向こうは何もないよ』けらけら笑う、キミはいない。見上げて望めよ、宵夜の交信。忘れじの約束、棄ててやるから。
2019年11月5日 00:51
続く。何だろうと続いていく。明日も明後日も明明後日も。悲鳴を上げた夜だって、明ければただの新しい朝だ。コンテニューされない日々の中、見えない嗚咽をばら撒いた。灰色の空を、ビルの細い隙間から見上げる。この狭さがぼくの世界だ。喧騒に身を埋めて自己を希釈すれば、ほら、なんて事ない棒人間だ。さよならさよなら、かつてあった筈のぼく。 おはようおはよう、カスタマイズされたぼく。ぼくは死
2019年10月22日 23:22
こころが迷子で砂になる。砂上で幾度探そうとも、混じり合えば遥か彼方だ。 とおくに行った 星になった。こころもとおく、とおくに逝く。かつてないた記憶さえ、果てではただの、塵芥。ガラクタならせめて、どんなにマシか。 死にゆく泡沫抱きしめて、冷たい躯を動かして、想いの丈だけ、生き延びるように。せめてあなたは、と願い託した。閉じる意識で底から腕を、欠片手にして祈って振った。
2019年8月4日 16:53
白線を往く。そのやわく不透明な淡いを、弾んだ、合わせたすり足で通り往く。途切れる黒の穴を、すぐ隣の暗を、見ぬふりして追い抜くように。 終に見なかった屍たちが後方の向こうで蠢いている。混ざり合って尾を引いて、過ぎた線は灰となる。 進むは定められた路だけで、他には何もありはしない。只々往くこと、それだけが、己なんだと疑わなかった。 濃い陰りが高々伸びて、いつしかぴたり
2019年7月21日 21:04
いつだったか、泣いていたんだって。それを僕は忘れちゃったんだ。 たぶん、どうでもよかったんだって。あとから思うのは、カンタンだよな。 あたたかく触れる熱に、寂しさを覚えたのはいつだったか。ここにいるよって声を、焦がれていたんだって。安心を得たいだけだなんて、勝手過ぎて笑っちゃうよな。 引いては戻る波打際を、揺り籠のようにそっと辿るようにさ。歩けたらよかったんだ
2019年6月28日 22:50
すべて火にくべてしまいたい。 とおくのいつかで知ってしまうんだ。そして知らぬうちに消えているんだ。いま、話すきみのこえを、熱を、匂いを、知りたいとは、思わないんだ。すべて火にくべてしまいたい。灰になったきみを永遠に、この先ずぅっと抱えて生きること、それだけが時間を共にした名残にはなるだろう。けれど隣合わなかった証だろう。 出先で買った揃いの土産も、要らないめで