白線

白線を往く。
そのやわく不透明な淡いを、
弾んだ、合わせたすり足で通り往く。
途切れる黒の穴を、すぐ隣の暗を、
見ぬふりして追い抜くように。

終に見なかった屍たちが
後方の向こうで蠢いている。
混ざり合って尾を引いて、
過ぎた線は灰となる。

進むは定められた路だけで、
他には何もありはしない。
只々往くこと、それだけが、
己なんだと疑わなかった。

濃い陰りが高々伸びて、
いつしかぴたりと、
こころと合わさる日が来る。
そんな夢を、
なけなしの期待と往く。

#詩 #雑文 #ss #全読

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