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エッセイ | まどろみの代償

何もすることのない休日の午後、私はよくベッドでまどろんでしまう。録画してたまったままになっているテレビを見ればいいのだが、そうはしない。読みかけの小説や漫画を読めばいいのだが、それもしない。スマートフォンをいじりながらベッドで横になっている。

「次は何を見ようか」私はスマートフォンの画面を眺めながら考える。見たい動画もひと通り見たし、読みたいネット記事もひと通り読んだ。

「やることがなくなってしまった」そんなことはない、たくさんやることはあるぞと、心の底で私が叫んでいるが、「そういうことではないんだよ」と思いながらもっと底へと押し込む。


パタリと自分の手からスマートフォンが倒れて、私が寝ていたことに気付く。この瞬間が気持ちいい。このタイミングで起きられれば、今日を気持ちよく過ごせるのだろうけれど、私はもう一度この気持ちよさを味わいたいと思ってしまう。

今度はスマートフォンを近くの机に置いてから本格的に寝る態勢をとる。
「もう後には引き返せないけどいいのか?」私の中にいる睡魔が問いかけてくる。分かっているくせに面倒くさいやつだ。

1度まどろんでしまえば眠りに着くのに時間はかからない。どんどんと眠りへ落ちていくのが分かる。小さい頃、祖母が寝ている私に「風邪をひかないように」と掛け布団をどんどん掛けてきた時のように、次第に体が動かなくなる。


目が覚める。体が重い。眠りすぎてしまったのだろうか。壁に掛けている時計を見ると眠り始めてから3時間ほどたっていた。

「眠りすぎたかもしれない。……『かもしれない』じゃない、眠りすぎた」私はすぐに起き上がり窓際のソファに腰をおろす。

外はまだ明るく、近所の子どもたちの声が聞こえる。必死に母親を読んでいる声がかわいらしい。

今が夏でよかった。冬であれば外は真っ暗で、1日を無駄にしてしまったように思え、暗い気持ちのまま1日を終えてしまっていただろう。

私はとりあえずテレビの電源をつけ、録画リストを眺めながらたまった番組をどれから消化しようか考える。


「羊が99匹、羊が100匹……」ついに100匹目の羊を迎え入れてしまった。これは全然眠れない私に非がある。昼寝をするのではなかったと後悔をしても遅い。

まどろみの気持ちよさに負け、そのまま昼寝をしてしまった私がいけない。負けたらよいことなどないのだ。次はこうならないようにしなければと決心するが、恐らく私は今後何度も負け続けるだろう。



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