地域と次世代をつなぐ—徳山駅前図書館館長の組谷 明豊さん(周南市)
山口県周南市。
このまちの魅力・誇りは、数々のひと・もの・場所が存在すること。
この土地で生まれ育ち、暮らしとともに在る魅力。
観光や出張、移住で訪れ、感じ、見える魅力。
多角的な視点や個々の背景や経験が交わり、活かされ、まちの魅力や活性化につながっている―――周南の地域や人々、まちづくりに触れ、感じていることです。
今回は、「外」からこのまちへ、独自の視点と経験で周南の「中」の人となり、地域活性のため尽力されるこの方を紹介します。
組谷 明豊(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、以下CCC)さん。
JR徳山駅と直結する周南市徳山駅前賑わい交流施設・周南市立徳山駅前図書館(以下、徳山駅前図書館)の館長 兼 統括マネージャーです。
組谷さんの “地域への着眼点” について、お話を伺いました。
CCC × 徳山駅前図書館 × 組谷明豊
CCCは蔦屋書店や公共事業、Ⅴポイントの運営、企画を行っている企業です。
周南市は、2018年2月1日に徳山駅前図書館を設立。
CCCが指定管理者となり、中心市街地活性化の一翼を図っています。
2021年4月、同館へ着任した組谷さん。
館長に就任した2023年は、来館者1千万人に到達(11月19日)。
盛大に行われた記念セレモニーでは、藤井市長と並び餅まきを行いました。
開館6周年を迎えた2024年2月「第6回周南きさらぎ文化祭」を開催。
「~つながる ひろがる 好きになる~」をテーマにトークショーやワークショップなどのイベントで周年を祝い、地域とともにまちを盛りあげました。
CCCは、地元企業や地域の人々からの協力、タッグを組みながら、中心市街地の活性化を推進していく企業として街づくりの一翼を担っています。
市内19カ所の公園や道路、駐車場などを管理運営する徳山駅周辺官民連携管理運営事業(PPP)もその一つです。
組谷明豊 × 個
「明るく豊かな人生を送ってほしい」
―—―その名を生き、かけがえのない家族、仲間、会社環境にも恵まれてきたという組谷さん。
楽観的で、個を尊重する家庭環境で育ったと組谷さんは振り返ります。
少年時代から野球を始め、複数の推薦を受ける中、 ‘夢を現実に!’ と目標をかかげる高校に進学し、神奈川県ベスト8を掴みました。
スポ少から企業チームにわたる「野球」での教え・学びが、自己形成につながったそうです。
組谷さんの経歴がまた、類を見ず、魅力をものがたっています!
大学3年の就活時、「‘好き’ を仕事に」「自分らしく働ける環境」「40歳前後で地元へ戻り、地域のために貢献する」を軸に置き、60歳までのライフプランを描いたそうです。
大学の先輩から聞いた企業の話に突き動かされるものがありました。
それが、CCC。
‘元々好きな音楽に携わる仕事がしたい’、‘全国転勤も魅力’ で入社。
組谷明豊 × 育
―――館長として、仲間・後輩にどう接し、育てておられますか?
「どういう人生設計なのか、キャリアをどう積みたいのか、そこに寄り添い、尊重し関わっています。皆、斬新なアイデアで、施設を良くしていきたいという強い意志を持つメンバーなので、全面的に信頼しています。何かあっても、自分が全部責任を取るという姿勢でいます」
―――組谷さん自身、企業の中でどう育ちましたか?
「人生を変えてくれた方が3人います。地域をリスペクトするスタンス、上司や役職者としての考え方や在り方、仕事とプライベートのバランスを教わりました。そうした出会いを経て、今の考え方があります」
―――地域や次世代をどう育てるか?
「たとえ人口が減っても、自治力、それを支えるプレイヤーや地域を盛り上げる人たちのパワーが減らなければ、魅力的な地域をつくれると思います。そのためには、子供の存在・力が貴く、財産になります。次の世代を育成していくことが大事。次世代を育成するためには、周南市っていいなと思ってもらうきっかけやイベントを行う必要があると思っています。実際にイベントに参加してもらい、‘周南市が更に好きになった’ ‘趣味の幅が広がった’ ‘知らない自分に出会えた’ など《未来の私に出会う》ことができたら、私たちとしては本望です」
組谷明豊 × 地域
―――地域の課題などに対するアプローチは?
「地域の方々から困りごとなどご相談を受けます。その際、基本的に物事を思考する時にどこに課題があるのか?どう困っているか?具体的に経緯を教えてもらいます。困るに至ったプロセスが重要で、思考を転用させ解決や活性化に導けると考えています。さらに今まで培った経験知や手法など引き出しは多く持っていると思うので、‘この人とこの人をつなげたらもっとおもしろくなる、もっと良くなる’ と考えます」
―――新たに着目していることはありますか?
「海のある徳山駅南側に着目しています。北側は、徳山あちこちマルシェに始まりイベントの文化や土壌があります。南側も北側同様に中心市街地であり、活躍されている方も魅力も沢山。北側と南側が融合していくと、もっとおもしろくなると考えています。次世代のプレイヤーが南側で活躍するとさらににぎわいがつくれると考えています。南側でも何かできるんだと、次世代が知るきっかけを提示したいです」
―――心がけていることは?
「他者の意見や主観だけでなく、客観的に俯瞰した目でみるようにしています。また、心が動くかどうかも、アクションの物差しにしています」
「新たなこと(イベントなど)に飛びこむ際、しっかりと考えてから動くことを大切にしています。‘楽しい’ だけではなく、どうつなげたら今後周南市が更に面白くなっていくか。打ち上げ花火のように1年だけ盛り上がればいいわけではありません。地域の方が長く暮らす場所で私たちがいい加減な思いで臨んだら嫌な思いをされると思います。それが、地域づくりやまちづくりの本筋。中途半端なことは絶対しません。出来ないと思ったことは、地域のできる人に話をつなげます。地域がより良くなっていく、まちづくりが推進されていく、まちづくりを頑張っている方たちを守れる存在—――パブリックな施設の役割であり、自分の役割だとも思っています。その方が、まちづくりが進んでいくのではと考えます」
―――発想が得ているものはありますか?
「経験と憶測、仮説だけで解消できない部分は、本に頼っています。また、知らないことを知っている人(先輩や後輩に関わらず)に会いに行きます」
全国各地、着任した地域もすべて「地元」。
野球や仕事の仲間、地域=地元を大切に、これまでの経験を活かし今後も地域のために働きたいとお話してくださいました。
周南市立徳山駅前図書館ホームページ:
プロサッカークラブ「レノファ山口FC」の周南エリアPV会場/周南市レノファ山口FCPV実行委員会の一員でもある徳山駅前図書館:
徳山駅前図書館で行われる街と駅との連携会議:
※本記事の内容は、執筆時点(2024年3月)のものです。
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