【詩】沼で溺れるわたしを微笑みながら傍観するきみ
わたしは沼で溺れていた
沼で死にそうになっていた
満開の桜に囲まれた沼の中心で
春の風に吹かれながら
泥と花びらにまみれて溺れていた
きみは優しい目をしていた
沼のそばでふんわりたたずんでいた
桜の花びらを頭にたくさんのせて
春の風に吹かれながら
沼で溺れるわたしに微笑みかけていた
そんな危機的状況下
わたしの頭のなかでは
きみがくれた遠いことばが
未練がましくリフレインしていた
これは
実に都合の良い
悲観的エンドロール
縁どられたふたりの虚像は
かすかに
到底叶