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わたしが書く理由


書くことって

鳥籠に閉じ込めておいたなにかを開け放つような、
放たれた瞬間「私」から離れてゆく。

言葉にした瞬間、共有され、舞い落ちる。
差出人「私」の宛先不明。


言葉にしない間、
固有の「私」に留まっていたものなのに。

言葉にすると、匿名性を帯びる。
私だけと思っていた観念が打ち砕かれ、私以外を結ぶ。


でも言葉にする手前のあの感覚はいつまでも忘れたくない。




ただ書きたい、私を残しておきたい。
だれにも聴かれることのなかった声を此処に。


いつの日かこの気持ちを超えて、
次の景色をみたいと望むことがあるのなら、
なんだかそれはすてきな予感でいっぱいである。

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