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筋トレ初心者が陥るスクワットの勘違いあるある3選 ひざは出せ
・筋トレの王様スクワット
・代謝上げて痩せるならスクワット
・下半身を鍛えて健康に
・美尻/プリケツに
ベンチプレスや懸垂と並んで、いわゆる筋トレと言えばスクワットでしょう。
上記はもちろん誇張などではなく、文字通りの効果を発揮する素晴らしいエクササイズです。
しかし正しいテクニックを覚えずに間違ったフォームで行うと、効果がないだけでなくケガしやすい種目となってしまいます。
そんなスクワット、巷では「エセ筋トレ博士」や「雑魚トレーナー」がテキトーな知識やテクニックを流布しています。
今回はスクワットにおける
・3つの誤解
・理想のフォーム
・上手くしゃがむテクニック
これらを徹底解説します。
筆者の筋トレ歴は8年でスクワットのPR(自己ベスト)は180kg×3回です。弱くないけど...くらいで強い方々と比較するとまだまだのレベルですね。
ですが本記事は、パワーリフターで研究者、マクロファクターの開発者としても著名な「Greg Nuckles」の「How to squat」を基に執筆しているので内容については保証します。
この記事を読むだけでスクワットの重量が20kgは伸びるでしょう(多分)
よくある誤解について
ひとつずつ紐解いていきましょう。
1.ひざはつま先より前に出すな
これは1978年にデューク大学での実験で、すねを垂直にするほど(ひざが前に出ない)ひざへの剪断力が減少することが判明したことによって広まりました。この、たったひとつの実験でひざを出さないことが当たり前になってしまいました。
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その後、2003年のメンフィス大学での実験で、ひざが前に出ると負担が22%増加することを認めました。
しかし、同研究にてひざを前に出さないスクワットでは、腰への負担が1000%まで増加することが判明しました。
つまり、ひざを庇うことで腰へ負担を強いることになるのです。
ひざと下半身の筋群である大臀筋や内転筋群は、股関節が曲がるほど筋力を発揮できます。
当たり前ですが、ひざが曲がるほど股関節は曲がります。筋肉は伸張するとより力を発揮できます。さらに構造的な安定性も増していくので、深くしゃがむことで関節への負荷を減らしてケガのリスクを低下させます。
そもそもパラレルスクワット(床と太ももが平行)までしゃがむ必要があるのか?
もし、スポーツやパワーリフティング、下半身の筋力を伸ばしたいならパラレルの深さまでは最低でもしゃがみましょう。
筋力は可動域に特異的です。短距離走のクラウチングスタートを例に取ると、下半身が深く曲がった状態から力を発揮します。これはスクワットでのボトムポジションと同じ関節角度です。
もしスタートダッシュの筋力を伸ばしたければ、スクワットで深くしゃがむ必要があります。言いかえれば、浅いスクワットでは意味がないのです。
深くしゃがむ大切さを知ったところで、ここでひざの問題が出てきます。ひざを前に出さずに深くしゃがめますか?おそらくはパラレルスクワットまでが限界でしょう。
余程の胴短脚長でなければ、ハイバースクワットだとひざを前に出さずにパラレルまでしゃがむことは不可能です。
つまり、筋力やスポーツのパフォーマンスアップに効果的なスクワットをするならひざはつま先より前に出ます。
2.ひざが内側に入ると危険(ニーイン)
危険どころか、立ち上がり時のニーインは内転筋群を動員できるので、筋力的には強くなります。
ニーインでは前十字靭帯と外側半月板に強い負担がかかることで、断裂や損傷の危険性があります。
しかしこの強い負担というのは、スポーツでのカッティング動作(急な方向転換)や、横からひざへタックルされるなど、急に強い力がかかる際が受傷起点となります。
スクワットの場合はどうでしょうか?
適切なテンポで重量をコントロールし、無理な重さを扱わず漸進性過負荷に則っていれば、急に強い力がかかることはありません。
もちろん、ニーインすることで靭帯と半月板へ負荷はかかります。
しかし、人間は適応力の化け物です。関節組織も筋肉同様に強くなっていくので問題ありません。
危険なニーインとは、下のふたつです。
1.スポーツ中に思いもよらない力が加わった時、無理な重量に挑戦し、テクニックが崩れて急に強い負荷がかかった場合。
2.後で解説しますが、足首や股関節の柔軟性不足で力を発揮しながら上手くしゃがめず、ニーイン「せざるを得ない」状況。
3.上半身はまっすぐにしろ
上半身に角度がつくと腰への負担が増えるから体を立ててスクワットしろ・・・
スクワットにおける上半身の角度は、
・大腿骨と胴体の長さの比
・バーを担ぐ位置
このふたつで決まります。
大腿骨と胴体の長さの比
まずはこの画像を見てください。
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このように脚が短いほど、胴が長いほど上半身はまっすぐ。反対に脚が長いほど、胴が短いほど上半身は倒れますになります。
ハイバースクワットのひざ位置と同じですね。これは大腿骨が長いと前後にひざと腰が押し出されるからです。
バーを担ぐ位置
スクワットでは効率よくウェイトを挙上するために、重心が足の上にある必要があります。
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ハイバーでは僧帽筋上部にバーがある(胴体の端)ため、上半身の角度が垂直に近くなります。
ローバーでは肩甲骨の少し上あたりにバーがあります(胴体の側面)。ハイバーと比較してバー位置が少し下がり、重心も同じく後方へ移動します。
ズレた重心は上半身を倒すことで重心を足の上に保ちます。これが、ローバースクワットで上半身が前傾する理由です。
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いわゆる教科書的な上半身まっすぐのスクワットは、ウェイトリフターに多い胴長短足でハイバースクワットです。
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これは「彼らにとって」理想的なフォームであって、全人類に当てはまる最適なフォームではありません。骨格によって理想のフォームは変わるのです。
骨格によって理想のフォーム
「上半身はまっすぐにしろ」で説明した通り、スクワットの理想のフォームは胴体と脚の長さで決まります。
胴長短足、またはハイバースクワットなら上半身はまっすぐになりやすい。
胴短足長、またはローバースクワットなら上半身は倒れやすい。
ここで足幅(スタンス)とつま先の向きについても解説しておきます。
足幅(スタンス)
足幅(スタンス)はかかとが肩幅くらいでしゃがんでみて、窮屈感無しで深くしゃがめたらOK。そこから5㎝ほど広げたり狭くして、最も深くしゃがみやすい位置が理想の足幅です。
そしてひざの向きは正面、もしくは少し外側へ開いた両方を試して、やりやすい方で行きましょう。
もしスポーツなどのパフォーマンスアップにつなげたいなら、自分が強くしたい動作と同じ足幅でのスクワットがおすすめ(特異性の原理)
足幅を広くするほど、早めに股関節の可動域が限界を向かえます。狭い足幅ならお尻が床につくほどしゃがめますが、四股のような体勢では難しいでしょう。
広いスタンスでのスクワットでは早めに深さの限界を迎えることで、パラレルスクワットでもボトムの跳ね返りを利用できます。内転筋の動員も増えるので重量が増えるでしょう。
つま先の向き
基本的には股関節とひざによってつま先の角度は決まります。難しく考えずにひざと同じ角度でしゃがんでみましょう。
足幅が広めでひざを外側へ押し出すとしゃがみやすいなら、つま先の角度は外側へ向きます(~45度)
足幅が狭めでひざが正面だとしゃがみやすいなら、つま先は浅めの角度になるでしょう(10‐20度)
注意点として、つま先角度が45度を超えるとバランスを取るのが難しくなります。
しゃがみやすくなるテクニック
体型によって理想のフォームはありますが、共通して足首と股関節の柔軟性と大腿骨の外旋(脚を外にひねる動き)が重要。
足首と股関節の柔軟性
足首の柔軟性は特にハイバーで必要になります。
上半身を立てて行うので、動作中に股関節が後ろに下がらず足のほぼ真上に来ます。
その分、つま先側へ太ももを出していくので、結果としてひざが前へ出るので足関節の背屈(つま先を上にあげる動き)が必要になります。
足首の柔軟性が低いと、代わりにひざが内に入るか、腰が過剰に曲がる「アライメント不良」を起こします。アライメント不良とは、身体の各関節が適切な向きや角度になっていないこと。
足首のストレッチはこれがおすすめ。
股関節の柔軟性は、内転筋群と外旋筋群で不足することが多いです。
内転筋群の柔軟性が不足すると、スタンスが極狭でなければ、ボトムポジションでひざを外側へ出せず、踏ん張りづらくなります。
すると、足首の場合と同じくアライメント不良を起こし、キレイに深くしゃがめない上に発揮できる筋力も低下します。
内転筋群のストレッチはこれがおすすめ。このストレッチなら足首の柔軟性もあわせて強化することができます。
ストレッチについての記事はこちらがおすすめ。
大腿骨の外旋
股関節は厳密には真上に挙げることができません。個人差はありますが、股関節を屈曲する(しゃがむ)につれて大腿骨は外旋していきます。
つまり、しゃがんだ状態での自然な大腿骨はある程度外旋しています。
外旋せずにしゃがむと、ニーインしてアライメント不良、または大臀筋を上手く使えず筋力低下。
外旋のコツをつかむには、しゃがんだ状態で足の裏を床につけたまま、つま先を外側へ向けるように力を入れましょう。上手くできていると腰のすぐ下あたりの中臀筋へ力が入ります。
しゃがんだ状態でコツを掴んだら、次はしゃがみながら外旋方向へ力を入れる練習をしましょう。上手くできているとひざがつま先より少しだけ外側に出ます。
まとめ
これまで見てきたように、理想的なスクワットは自身の体型に大きく影響されます。
そして柔軟性を高めることや股関節の動かし方をマスターすることが理想的なスクワットに到達する秘訣です。
最適なフォームとテクニックを身につけて高重量トレーニングに励みましょう。
最適なフォームとテクニックでも、やはりケガのリスクはゼロになりません。ケガの心配がある方は睡眠を最適化しましょう。睡眠不足では筋トレでのケガのリスクが、なんと235%も増加します。
この記事では、最適な睡眠時間や睡眠のメリットとデメリット、誰でも今日からできる睡眠の改善方法などを徹底的に解説しています。
ケガなく筋トレしながら健康的に過ごしたいなら必読の内容。
よくある質問 FAQs(執筆中)
Q:スクワットでひざが痛くなります
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