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イタリア生活記録

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#エッセイ

ただいま、あったかい便座

ただいま、あったかい便座

ローマ発羽田行きの機内に入った瞬間、そこはもうイタリアではないような空気感がした。聞き馴染みのあるイントネーション。いつかはよく見た白の立体マスク。嗅いだことのある柔軟剤の匂い。こんなにも、というほどに、そこには沢山の日本人がいた。

それでも私は頑固に、イタリアをぎりぎりまで引きずった。玩具売り場で帰りたくないと喚きながら薄ピンクのワンピースが真っ黒になるまで床に這いつくばっていた小さい頃のあの

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歯折って、心かためる

歯折って、心かためる

思い返せば、その伏線は年末のあの日からずっと張られていたのかもしれない。

12月31日に熱を出して、フラフラの状態で爆竹が放たれまくるフィレンツェのヴェッキオ橋沿いを歩いた新年最初の日。が、そのあと2日ほどですっかり元気になり、シチリアにホームステイに出かけるも、またそこで咳が止まらないという未だかつてかかったことのない風邪を発症。自宅に戻ってから医者にもらった薬でなんとか完治し、学校に通う通常

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小娘、高級ワインを知る

小娘、高級ワインを知る

イタリアで1年の4分の3を過ごした2023年。年越しを前にして、忘れられない出来事に遭遇した。それは、トスカーナのDOCGワイン(イタリア格付けワインの最高格)、Brunello di Montalcinoを初めて飲んだ夜のことである。

一ヶ月ほど前から予約していたそのリストランテでは、フィレンツェ名物であるTボーンステーキを食べることが本来の目的であったのだが、そのあたりの数週間、はじめてイタ

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大人になる

大人になる

コロナ禍で二十歳を迎えた私には、世にいう「飲み会」の機会を失ったまま大学生活を過ごした。初めて飲んだお酒は年上の先輩がくれた、コンビニのジュースみたいな缶のお酒だった。

「お酒は20歳から!」の札が並ぶ冷蔵庫の前に立つのも、レジの年齢確認をお願いしますのアナウンスにもいつからか緊張しなくなって、バイト帰りの深夜のコンビニでお酒を買うのが習慣になった。

はじめていつものパステル色の缶から、黄金色

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リボリータを食べながら

リボリータを食べながら

きょう、語学学校で日本人の友人が泣いていた。

友人といっても、私よりすこし年上のお姉さん。

ほんの一ヶ月前にミラノからフィレンツェへ引っ越してきた人で、新しい仲間が増えたと喜んでいたばっかりだった。

大家さんがすこし変わっていると聞いていたが、最近になって意地悪をされるようになったそう。

今朝は、あまりにもひどいことを言われてしまったようで、もう耐えられないから、と彼氏の住んでいるドイツに

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ナポリを見たけどまだ死ねない(前編)

ナポリを見たけどまだ死ねない(前編)

10月、イタリアに留学中の同世代の日本人たちと二日間のナポリ旅行へ。浮かれた気分が残っているうちに書き起こしてみた。初の旅行記。最後まで読んでもらえると嬉しい。

いざ、南へ

実を言うとイタリアの南部という南部は行ったことがなく、ローマ以下に南下したのはこれが初めてだった。

「ローマチェントラーレ」を電車が発車した時、南に行くんだ、という気持ちになって、窓の外の薄暗い街並みにちいさく別れを告げ

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