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いまじん
2024年3月25日 17:25
ローマ発羽田行きの機内に入った瞬間、そこはもうイタリアではないような空気感がした。聞き馴染みのあるイントネーション。いつかはよく見た白の立体マスク。嗅いだことのある柔軟剤の匂い。こんなにも、というほどに、そこには沢山の日本人がいた。それでも私は頑固に、イタリアをぎりぎりまで引きずった。玩具売り場で帰りたくないと喚きながら薄ピンクのワンピースが真っ黒になるまで床に這いつくばっていた小さい頃のあの
2024年2月2日 18:51
思い返せば、その伏線は年末のあの日からずっと張られていたのかもしれない。12月31日に熱を出して、フラフラの状態で爆竹が放たれまくるフィレンツェのヴェッキオ橋沿いを歩いた新年最初の日。が、そのあと2日ほどですっかり元気になり、シチリアにホームステイに出かけるも、またそこで咳が止まらないという未だかつてかかったことのない風邪を発症。自宅に戻ってから医者にもらった薬でなんとか完治し、学校に通う通常
2024年1月4日 00:24
イタリアで1年の4分の3を過ごした2023年。年越しを前にして、忘れられない出来事に遭遇した。それは、トスカーナのDOCGワイン(イタリア格付けワインの最高格)、Brunello di Montalcinoを初めて飲んだ夜のことである。一ヶ月ほど前から予約していたそのリストランテでは、フィレンツェ名物であるTボーンステーキを食べることが本来の目的であったのだが、そのあたりの数週間、はじめてイタ
2023年12月21日 00:44
コロナ禍で二十歳を迎えた私には、世にいう「飲み会」の機会を失ったまま大学生活を過ごした。初めて飲んだお酒は年上の先輩がくれた、コンビニのジュースみたいな缶のお酒だった。「お酒は20歳から!」の札が並ぶ冷蔵庫の前に立つのも、レジの年齢確認をお願いしますのアナウンスにもいつからか緊張しなくなって、バイト帰りの深夜のコンビニでお酒を買うのが習慣になった。はじめていつものパステル色の缶から、黄金色
2023年11月23日 00:36
きょう、語学学校で日本人の友人が泣いていた。友人といっても、私よりすこし年上のお姉さん。ほんの一ヶ月前にミラノからフィレンツェへ引っ越してきた人で、新しい仲間が増えたと喜んでいたばっかりだった。大家さんがすこし変わっていると聞いていたが、最近になって意地悪をされるようになったそう。今朝は、あまりにもひどいことを言われてしまったようで、もう耐えられないから、と彼氏の住んでいるドイツに
2023年11月7日 04:47
10月、イタリアに留学中の同世代の日本人たちと二日間のナポリ旅行へ。浮かれた気分が残っているうちに書き起こしてみた。初の旅行記。最後まで読んでもらえると嬉しい。いざ、南へ実を言うとイタリアの南部という南部は行ったことがなく、ローマ以下に南下したのはこれが初めてだった。「ローマチェントラーレ」を電車が発車した時、南に行くんだ、という気持ちになって、窓の外の薄暗い街並みにちいさく別れを告げ