いまじん
みんなそれぞれ、ちがう世界をみていたりする。そのへんにいる人の、世界の話をききます。
2024年11月@のんべえハウス のんべえハウスに再来 またもや、のんべえハウスにやってきてしまった。この日は大雨。お店のインスタのストーリーにはお店の様子ではなく、かぼちゃがどアップの写真が更新されていた。もしかすると、店主のお姉さんと二人きりかもなー。ま、それはそれで、と思いながら路地を進むと、どわっという笑い声が聞こえた。 のんべえハウスの窓は結露していて、サウナみたいになっていた。もくもくしていて中が見えないのでちょっとだけ緊張したが、ぐっと力を入れて扉を引いて
よく一緒に飲みにいく友人と、めずらしく真っ昼間に出かけた。向かったのは神保町。目的は例の古本祭りだ。時間にはきっちりしているほうだったけど、その日ばかりは待ち合わせに遅れてしまった。 宅急便が来てしまったからとか、ふだん使わない方の路線だったからとか、思いのほか肌寒かったので上着を取りに戻っていたからだとか。言い訳をしようとすればキリがなかったが、30分の遅れは30分の遅れでしかなかった。遅刻する旨を連絡すると、「楽器屋ぶらぶらしてるわ」と返信が届く。友人には申し訳ないが、
持っているものがピンク一色の女の子がいた。 着ているスウェット、靴下、ヘアゴム、スニーカーのラインの色、持っていたサンリオのぬいぐるみも。食べていたのはストロベリーチョコのソースがかかったドーナツだった。 そういえば、私もピンクが大好きな女の子だったなと思い出す。あの子みたく、全身ピンク色の服を来て、ピンク色のキャンディを舐めてたりしたのかなと想像する。でもどうしてか、プリキュアのカラーは黄色の女の子を好きになりがちだったことを覚えている。ピンクの子は主人公になりがちだけ
2024年10月@のんべえハウス のんべえハウスとの出会い さいきん、近所にいい感じの居酒屋をみつけて、気が向いたら行くようにしている。 30代くらいのお姉さんが何年か前に始めた、モダンであったかい感じの居酒屋だ。 店主のお姉さんはふだんは別の仕事をしているそうで、お店が開いているのは週に3日か4日くらい。折坂裕太とか奇妙礼太郎とかの音楽が流れていて、木目のコの字のカウンターを、いろんな世代の人が囲んでいる。居酒屋の割にやたらと明るいのが特徴。 ここでは名前をのんべ
相変わらずバリバリ就活をしています。今日は説明会1件と面談1件。明日は3件の面談。選考要素はありません、と言いつつレコーディングしてるのは何のため?と思ったり、思わなかったり。 昨日は渋谷にある某ベンチャーのオフィス見学をさせてもらう予定だったのに、担当のリクルーターの人が具合が悪いだかでなくなったりした。オフィスのビルの受付までは入館できたから、社員さんがどういう格好してるか、とか見られておもしろかった。 外部者?と思われる、お兄さんとお姉さんが私の隣のソファに座ってい
ドラマ『団地のふたり』を観るのが最近の楽しみだ。父も弟もいない夜、一本の缶酎ハイをグラスで分け合いながら、母と二人きりで観る。 女ふたりの主人公、というただそれだけで私は食いついてしまうのに、それが小泉今日子と小林聡美というコンビなぞ言われたら観ないわけがない。しかも演出は、映画『マザーウォータ』や『東京オアシス』、最近でえばドラマ『春になったら』を手がけられた松本佳奈さん。 ただぼうっと映像を観ているだけで、なーんか心がほぐれていく感じがする。とくに、野枝(小泉今日子)
「就活」が学生にとってキツイ理由 春から就活をはじめた。着たくないとか言っていたのに結局スーツは買ったし、学生時代力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」もそれっぽく書き上げたりしている。自分と向き合うことは全然嫌いじゃないし、人と話すことも得意だから、緊張はするけど面接で話すこと自体はけっこう楽しんでいる。これまでしてきたことも、話すのは得意だけど、そこに評価がなされている、という事実にふと気がついて、嫌気がさす。 業界によるのかもしれないが、「目標を持って頑張った経験はあ
人間って孤独な存在なんだな、ということを人生22年目にして、やっと気づくことになった。私はこれまで、友達にも、家族にも、彼氏とかって存在にも、わかってもらうことを求めてきていたと思う。わかってくれる存在を探し続けていた。でも、それって不可能なことなのかもしれない、と最近、やっと気がついた。人ではなく、モノに求めたりしてみようとしてみているけど、今のところ、まだ共鳴できるなにかを見つけれていない。好きな本、映画、音楽はあるけれど、共鳴はできていない。教え諭されたり、気づきを得た
こんなことを言えてしまうのは、今、私が衣食住をする中でお金に困ることなく生活できているからだという前提がある。 お金はあるに越したことはないというし、お金があると気持ちの余裕が生まれるとかも聞いたりする。確かに、ほんとうに経済的に余裕がない時って、精神的にも追い込まれてしまうこともあるから、来月の寝る場所とご飯のためのお金くらいは確保しておきたい。 お金があると、欲しいと思った時にそれが買えたり、行きたい場所にも行けたりする。お金を払うことは時間や経験を買う行為だと思う。
都会の喧騒から離れたくて、少し前からひとりで長野県の松本に来ていた。 最終日のきょうは昼過ぎのバスの出発までゆったりすることに。川沿いで本を読む。朝、古本屋で買った本。タイトルは、「ぼんやりの時間」。 さっそく、「ぼんやり」する。川の流れの動きを見たり、水中の小石の柄の違うのを眺めたりする。ところが、「ぼんやり」は長くは続かない。あのメールを返信しなきゃ、とか、明日の予定は、とか、また、後の時間のことで思考が埋められていく。 また、「ぼんやり」に戻る。靴下を脱いで、足を
公園を歩いていた時、2匹の子犬を散歩中の人とすれ違った。 「犬、嫌いなんだよね」と、横を歩くその人はちょっと苦しそうな顔でぼそっと言った。 好きな人がいれば嫌いな人がいる、そういうもんだろう、とは思っていたけど。 その人は犬嫌いを告白したことで、周りから凶悪犯罪者のような顔をされたことが何度かあるらしい。 好きが当たり前の世界で生きてきた人たちにとったら、そうじゃなかったその人の存在は確かにじぶんのルールには当てはまらない人で、つい、そういう反応をしてしまったのかもし
振り返ってみると、私は子供の頃から、親のことを親としてあんまり見ていなかったような気もする。三人でいる時はだいたい誰かが機嫌が悪くて。お互いに悪口言ったり、泣かせたり泣いたりで、この人たちってなんなんだろうな、と子供ながら不思議に思ったりしていたことがあった。 父親は私が目を覚ます少し前に帰ってきて、家にいないことが多かったから、一緒に手を繋ぎながら公園に行った記憶もなければ勉強を教えてもらった記憶もない。唯一あるのは、お下がりのガラケーをくれたこと。小学生の時の歴史の年号
私が幼い頃、父の紺色のジャガーは夏になると屋根をなくして道を走った。 ぱたりぱたりと折り畳まれ、夏の太陽をじりじりと浴びながら、エンジンの音を聞く。熱風が吹き、シートの革の匂いがふわりと香る。 後部座席から手を伸ばし、iPodでスイカ頭のジャケット写真を探すのは私の役目だった。 夏は決まって、サザンオールスターズを聞いた。流行りの女性アイドルグループをループしたり、洋楽ブームに溺れた時期もあった。それでもやっぱり夏にサザンを聴くのは欠かせないことだった。 もうだいぶ前
さいきん、やたらと頭の中に浮かべてしまう人がいる。数ヶ月前に働きはじめたアルバイト先の、バーの上司だ。30半ばくらいの独身の人。女の人。 彼女は店の客からも人気が高く、彼女がいるかどうかを確かめて店に入っている人もけっこういたりする。ただ、失礼ながら、ものすごく美人とか可愛いというわけでもないから、ちょっとそれは不思議に思っていた。しかし、そんな私も、いつからか彼女のことが気がかりになっていた。 彼女が常連客から愛されている理由は、たぶん、話しすぎないこと、それから、適切
文フリに初出店しました この度、イタリアでの留学中の食にまつわるエッセイ、「イタリアで食べる日々」を発行し、5/19に東京流通センターで行われた、文学フリマ東京(作り手自ら作品を販売できる文学作品展示即売会のこと・今回の出店数は3000店だったそう!)に出店しました。 知人だけで終わるんじゃないかと思っていた予想に反し、「昔イタリアに留学していたんです!」「とにかくエッセイが大好きで!」「表紙かわいいから買います!」と、さまざまな理由から、見ず知らずの方たちが私の作品を次
今回東京・浅草で出会ったのは、イギリス・ロンドンから一週間ほど滞在中のお兄さん、ブレッド。 誕生日の一週間前に突然思い立って、日本に旅行することを自分へのプレゼントとすることにしたのだそう。 海外旅行は25歳くらいの時だから10年ぶり、と言っていた。とにかく、飛行機が長かったと、何よりも先にこぼした。 Too muchでCrazyな東京 東京はどう?と聞くと、彼からは興味深い答えが次々と出てきた。 彼「面白い街だ。でも、本当は東京に住もうかと考えて来たけど。それは僕