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リボリータを食べながら

きょう、語学学校で日本人の友人が泣いていた。

友人といっても、私よりすこし年上のお姉さん。

ほんの一ヶ月前にミラノからフィレンツェへ引っ越してきた人で、新しい仲間が増えたと喜んでいたばっかりだった。

大家さんがすこし変わっていると聞いていたが、最近になって意地悪をされるようになったそう。

今朝は、あまりにもひどいことを言われてしまったようで、もう耐えられないから、と彼氏の住んでいるドイツに行くことを決めたそうだ。

彼女はミラノにいた時も、住んでいた家のルームメイトと馬が合わなかったらしく、散々な思いをした、と言っていた。

住む環境がそれでは、楽しい留学生活なんて遅れるはずがない。

せっかく夢に見たイタリア生活だったはずなのに、こんな形で諦めなくてはいけなくなるなんて、と、悔しく思った。

彼女だけでない。

YouTubeなんかでも、留学が耐えられなくなり日本に帰国することをきめた、という話をしている人の動画を見つけたことがある。

でも、それはきっと、忍耐強さとかそういうこととは別に、ただうまく支えてくれる人がたまたま周りにいなかっただけなんじゃないか、と思う。

日本からイタリアにきて、8ヶ月。

私にも、いろいろなことがあった。

しゃべるのが怖くて部屋にこもりっぱなしの時期だってあったし、言葉が通じてないせいでイタリア人と揉めて泣いたこともあるし、語学学校で仲良くなった人がいなくなっていって心細くなったり、家族のことが心配でホームシックになったり。つらい感情をひとりで抱えなければならない時間が、留学生活には沢山ある。

でも、私は、たまたま、ここで自分を支えてくれる人たちがいて、ここにいていいよと言ってくれる人がいて。その人たちのおかげでやってこれたこの8ヶ月なんだよな、ということを強く思う。自分が頑張ったからだなんて、簡単に言えない。

11月のフィレンツェの街には、赤と緑の小物がいたるところで並びはじめ、冬への準備が着々と進んでいる。

家主のノンナがつくってくれた、トスカーナの伝統的スープ・リボリータで温まりながら、ここで暮らせていることの有難さをじっくりと感じた。

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