「問いへの回答は、人間の数だけある」というはなし
本を読むことが小さい頃から大好きなのですが、最近は乱読にますます拍車がかかっています。
というのも、なんだか時間があるのです。
ヨーロッパ滞在中の2年間は日本語の本を読む機会はなかなか作れなかったし(kindleで読めるものは読んでたけど)、その前の日々は、演劇をするか、していない時間はバイトをするか、という生活だったので、基本的にあまり時間がなかった。帰国してからは、外注のお仕事が増えたり、2022年も企画と創作を兼任する現場が多くて常にタスクに追われていたり。
それらはすべてとっても楽しいことだったのだけど、自分の読書の時間は、結局いちばん後回しになってしまっていました。
今年は10月の終わりに自分でプロデュースした公演が終わってから、しばらく休みを取ろう!と決意し、ただいま積極的休暇を決行中。
約2か月。もちろん細やかな仕事や作業はしているけど、ゆるーくゆるーく過ごしてます。マジで、15年ぶりぐらいにこんなに時間があるんじゃないか、という感覚。
生き急いできた自分を褒めつつ、積極的休暇中は自分がしたいことをさせてあげよう、と思い、図書館に行き、手当たり次第に借りまくり、手当たり次第に読みまくり、の乱読ウェーブが到来。
至福です・・・♡
自分で「こういうことを勉強しよう」とかあんまり決めずに、その時のフィーリングでばらばらに本をチョイスするのですが、そうすると新しい出会いや発見があったり、「ああ実は私はこういう情報を求めていたのかも」と気づけたり、自分の幅が広がるような感覚があるので、好きな乱読のやり方です。
逆に飽きっぽいので、同じ著者の作品を順番に読んでいく、みたいなのは苦手。(なので、好きな小説家は誰?と聞かれていろいろ答えても、あんまり作品を多く知らなかったりする)
はたまた、「この本は難しくてあんまり頭に入らなかったし、読んだ意味あったかなあ」と思うような本から得た無意識的な体験が、後々創作に活きたりもするので、とにかく「なんでもいいから活字が読みたい」という欲求を満たすべく、がつがつぱくぱく読んでいます。
そんな乱読の中の一冊で。
自分で建てた山小屋に独りで暮らす著者が、死への恐怖について考える哲学エッセイ、という本を最近読みました。
その中で。
著者は、「誰かのことを知るために欠かせないこと」ととして
の3つを挙げていました。
で、それらについてご自身がどのように考えていらっしゃるか、ということが本編中に書かれているのだけど、私が持っている価値観とは結構違うものが多くて、私がもしこの著者に上の3つを聞かれて答えたとしても、分かり合えないだろうなあ、と想像しました。
このことは、否定などでは全く無く、むしろとっても面白く愛おしいことだと思ったんです。
結局、問いへの回答は、人間の数だけあると思う。
同じ言葉で回答したとしても、考えてきた時間の長さや深さが違ったり、言葉が意図している意味が違ったり、なんだりかんだりで、全く同じ、ということは基本的にはありえない。
と、私は考えているので。(奇跡もあるけどね)
だから結局、問いへの回答は、「人間の数だけ」ある。
そのことが尊いなと私は思います。
人間の数だけ、「分かり合えない」は発生する。
「分かり合えない」を前提とするからこそ、どれだけ他者の回答を理解しようと思えるか、受け入れられるか、自分と他者の差異を楽しめるか、そういうモチベーションが生まれると思うのです。
そしてその尊さを味わえる、最たるもののひとつが演劇です~♡
まず自分を分かろうとする必要があるし、
取り組む戯曲の作者を分かろうとする必要があるし、
キャラクターをわかろうとし、相手役をわかろうとする必要があると思います。
そして観客を分かろうとし、観客は劇中の人物を分かろうとする。
そこに楽しさや苦しさや喜びや交流がある。
そういう芸術だと思うんです~♡
急にハートを飛ばしてしまう・・・美しいです、演劇・・・
優しい世界への扉だなあと、私は信じています。
こんな風に、誰かの脳みその中に飛び込むことで、私の世界にはなかった価値感や哲学を体験し、差異を知ることができる、乱読も最高~♡
「わかりあえない」を味わい、「わからない」ことを楽しむために、今日もがつがつぱくぱく読みまくります◎
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全部ではありませんが、読んだ本をTwitterでゆるくログってます↓
さて、他者との差異を楽しむためには、現在の自分がどのような価値観を持っているのか、を知っておくことがとっても大事だなあとつくづく。私もこつこつと取り組み続けています。
年始のフィジカルシアターLABOでは、自分を知るきっかけになるようなワークもシェアしようと思っているので、是非遊びに来てくださいね。
詳細はこちら。
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