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いっき82
2024年10月18日 05:47
【約1400字/3.5分で読めます】愛されようとして愛を得ない複雑な愛の心理を描く私が読んだ角川文庫版の裏表紙にある解説には、このような文句が並んでいました。ここだけ読むと、恋愛小説のような印象を抱かれるかもしれません。しかし、本作は恋愛小説というほど、恋愛を中心に描かれた作品ではなく(もちろん大きな柱ではあるが)、地方から上京した青年がさまざまな人たちと出会い、成長していく青春小説
2024年7月9日 05:43
一度は訪れてみたい武蔵野国木田独歩(くにきだどっぽ)の『武蔵野』は中学時代に知り、いつか読みたいと思っていた作品です。中学時代の私が本作を知ったきっかけは、『鉄腕アトム』でした。『鉄腕アトム』「赤いネコ」の冒頭で、手塚治虫が登場し、『武蔵野』の一文を引用していたんですよね。(作中にも武蔵野が出てくる)「武蔵野」という地名は、その時に知ったのですが、とてもインパ
2023年10月15日 05:56
早世の作家が残した作品群『檸檬』は著者の代表作でもある短編小説で、はじめて刊行された創作集のタイトルにもなっています。この作品は、以前から知っており、書店の本棚の上に「レモン爆弾」なるものを置く、という結末を聞いて、「一体、どんな話だろう」と興味を惹かれました。実際に読んでみると、精神を患った主人公が京都の街中をうろつくさまが描かれた作品で、街中で観た風景の描写
2023年7月1日 05:18
漱石をはじめて読むならコレ夏目漱石の作品をはじめて読みました。きっかけは note で仲良くしていただいている栗英田テツヲさんのオススメでした。テツヲさんが、夏目漱石の作品がお好きだというので、「最初に読むなら何がいいでしょうか」と質問したところ、本作を挙げてくれたんですよね。私もそうでしたが、読んだことがない人からすると「夏目漱石」なんていうと、硬いイメージで
2023年5月11日 05:50
※3000字近い記事です。 お時間のある時に お付き合いいただけると嬉しいです。『破戒』と「部落問題」島崎藤村は、以前、詩の作品を紹介したことがありました。この詩から興味を持って、ぜひとも島崎藤村の小説も読んでみたいと思い、手にしたのが本作です。『破戒』は島崎藤村の実質的な小説デビュー作で、「自然主義文学」に分類されます。「自然主義文学」とは、「真実」を描くため