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ブッテンブローク家の人々

1*ページなどの長さ
 C(600-1200)
2*体感的長さ
 B(ページの長さと同程度)
3*文章力(訳者の力に左右される)
  B
4*ストーリーの刺激
 B
5*感銘度
  B

*あらすじ
 初代当主である老ヨハン・ブッデンブロークは、現実的な性格を持って商会を立ち上げた人物であり、作中ではすでに引退して次男に商会をゆだねている。2代目ヨハンは商会を維持していき、オランダ領事の名誉職も得るが、1848年の革命の影響で商会に多大な損害を与えてしまう。3代目トーマスは一家を誇りに思い、家長としての威厳を保つように努めるが、その反面自分の精神的な弱さと一族の没落を察知しており、孤軍奮闘の末に心労で倒れる。残された4代目ハノーはすでに現実的な望みを失っており、音楽のみに情熱を傾けている。
 作者自身の一族の物語で、北ドイツ、リューベックの商家の4代にわたる歴史とその衰退を描いている。


書評
 「魔の山」で有名なトーマス・マン、私は圧倒的にこちらの作品が好きだ。内容の密度、背景、人間模様、苦しみ、マンの中でも特にしっかりと描写されていると思う。岩波文庫で350ページほどで三巻組だ、他のマンの作品からするとまだ読みやすい長さだと思われる。
  人物の内面描写がとても素晴らしい、悩み、苦悩、焦り、他所と比較して己を測ってしまう人の弱さ全てがこの一冊に詰まっている。
 トーマス・マンと言えばノーベル文学賞を受賞し、ドイツ文学の中でも名高い作家であり文学に触れたことのある人であれば一度は耳にしたことがあるはずだ。そしてトーマス・マンは兎に角読みづらい、初心者には絶対オススメ出来ない作家の一人であることは間違いないであろう。
 それでもこの作品には、読み手に対する余白が多く比較的に読みやすいと思われる。何処かに自分の一族に対する帰属意識が有るかどうかでかなり読み味が変わって来ると思われ、その違いこそが現代日本に於いてこの作品を読む価値の一つになっているであろう。
 私自信は、かなり刺さる部分が有る為、大切な作品だと思うが、読み手によっては遠い話に感じるかもしれない。
 「魔の山」、「ファウスト博士」で挫折した皆様に私は言いたい、是非こちらを一読して頂きたいと、マンの代表作は「ブッテンブローク家の人々」であると

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