「百会」のツボ、あなたはどう使う?(1)
頭頂部のほぼ真ん中にある、「百会」のツボ。あなたは、どのような症状に対して使っていますか?
ツボの使い方には、臨床家の個性が出ますが、百会について、いくつかの書物から、抜粋してご紹介いたしましょう。
きっと臨床のヒントがそこにはあるはずです。
ヒステリー患者には大方OK!?
まずは、沢田健氏から。
「大方のヒステリー患者には百会一穴すえておけば、頭の重いのがなおります。百会はすべての経脈の集るところだからです」(『鍼灸真髄』より)
大方のヒステリー患者には、頭のてっぺんに灸を据えておきなさい、とのことです。
こう言い切られると「そうなのか」と思わず納得してしまいますね。書籍はもちろん、名著『鍼灸真髄』よりです。
脳脊髄神経系の病気にはなんでも
続いて、本間祥白氏です。
「この百会穴は頭頂にあって、圧すだけで内部まで痛みがとおるところである。諸書をみるとあまりにも多くの病名が列記されているが、これを概括すれば、脳脊髄神経系の病気にはなんでもよく効くということができる」(図解 鍼灸実用経穴学』より)
やっぱり脳への効果をつづっています。多くの病気への効果がいわれてはいるけれども、脳にまとめられるというご意見です。
さらに、こう続けます。
このほかに百会は、痔のやまいによく効く。痔痛、脱肛によく効く。また目や鼻のやまいにも実際に効く。また古典には心臓病の証があげられているが、私の経験では心臓病にきわめて小さな艾を少壮施して効果があることが何度かあった。
臨床経験も交えながら、つい、自分も多くの病名を列記してしまうという……。それだけ、使用頻度が高いツボだということでしょう。
猛烈な頭痛や不眠に
さて、池田政一氏は、どうでしょうか。書籍は、すべてのツボの効き目をまとめた『経穴主治症総覧』より、です。
池田氏は、まず「猛烈な頭痛」を挙げています。
「諸先生が記されているようにいろいろな疾患に効くが、筆者が用いるのは猛烈な頭痛のとき。不眠症には切皮程度の置鍼でよい。脱肛、痔疾、頭重などは透熱灸7壮。排便したいのに出ないために肛門が痛むときにも効く」(『経穴主治症総覧』)
やはり頭回りですね。そのほか、不眠にも百会がよいと述べています。不眠症の場合は、切皮程度の置鍼がよいとか。
また、脱肛や痔を同じく挙げています。脱肛や痔には、百会への透熱灸がよいとのこと。頭頂部からお尻まですーっと下がっていくイメージでしょうか。
一方で、百会を使ったほうがよい場合と、そうでない場合があり、それは触ればわかるというのが、首藤傳明氏です。
そのポイントとは、いかに……。
(好評なら、つづく…)
トップ画:Gerd AltmannによるPixabayからの画像
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