見出し画像

【詩】白色



一つ一つこぼれていたもの、掬ってはすぐに消えて涙に変わる、薄く色づいた頬に優しく触れたかったけど、今はただ痛いだけだと言うから、伸ばした手を静かに下ろして、周りの空気の時間が止まる、時計は壊れてしまった。
見えるのは白い世界、白紙のノートみたい、それはきっとなにも線がついていないもの、始まりはどちらでもいいもの、型がない無形なものね。
まだ残像は見えるけど、見上げた先もずっと白い、本当は落書きでもしてみたかった、
未来と過去を天秤にかけたら、今を置き去りにしていることに気づく、私を見てよ、見てほしい。
たったひとつの願いだから、これからさき、どこかのタイミングで叶うことを知っている、知っているから、この手を握って、ただ白い道を進んでいくのも、この体が動くのも、最初からきみは知っていたのかな。
白から染まることに、感情が揺れ動いても、私が私でいられるといい、だけど結局のところ、きみがだれなのか、答えが出ない、真っ白なきみだけ、それだけ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?