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僕の好きな藝術家たち

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好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。全12回。 vol.1 ジャクソン・ポロック vol.2 ニコラ・ド・スタール vol.3 ザオ・ウーキー vol.4 ジ…
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記事一覧

李禹煥 - 僕の好きな藝術家たち vol.12

李禹煥 - 僕の好きな藝術家たち vol.12

好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

先日直島に行った時、例に漏れず僕も草間彌生さんのカボチャを観たのだけれど、僕にとってそれは雷門やマーライオンのように、とりあえず見ておく観光客向けシグニチャにしか思えない。(草間彌生さんのファンにはまったく申し訳ないけれど。)

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ゲルハルト・リヒター - 僕の好きな藝術家たち vol.11

ゲルハルト・リヒター - 僕の好きな藝術家たち vol.11

好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

今年(2023年)東京国立近代美術館で開催されたリヒター展を観た。

リヒターは数年前に大阪の国立国立国際美術館のコレクションでSTRIPを観ている。その時はリヒターという作家を知らなかった。だけど、STRIPという作品は忘れが

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野又穣 - 僕の好きな藝術家たち vol.10

野又穣 - 僕の好きな藝術家たち vol.10

好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

今年(2023年)、オペラシティーアートギャラリーで開催された大規模な展覧会を観るまで、野又穫については全く知らなかった。

チラシやネットで観た野又の絵は、少しロマンティシズムに過ぎるように感じて(どこかジブリ作品を彷彿させる

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宮永愛子 - 僕の好きな藝術家たち vol.9

宮永愛子 - 僕の好きな藝術家たち vol.9

好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

宮永愛子の作品には、流れ去るはずの時間を閉じ込めるという逆説で、時間というものの相貌を捉えようとする試みがある。

もちろん、絵画であれ彫刻であれ、静的な形質の作品はどれも、スタティックであるがゆえに時間性を剥ぎ落としたものとし

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伊庭靖子 - 僕の好きな藝術家たち vol.8

伊庭靖子 - 僕の好きな藝術家たち vol.8

好きな藝術家について書きたいように書てみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

その透明感のある、柔らかな光を捉えた筆致に惹かれて、知らない作家の展覧会に足を運んだ。

「まなざしのあわい」と題された展覧会は、メディアで取り上げられ耳目を集め行列のできるような派手さとは無縁だったけれど、そこで出逢ったのは、フ

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米田知子 - 僕の好きな藝術家たち vol.7

米田知子 - 僕の好きな藝術家たち vol.7

好きな藝術家について書きたいように書いてみるシリーズ。その藝術家についてのバイオグラフィとか美術史的意義とか作品一覧とかはインターネットで他のページを参照してください。

写真を鑑賞するということの意味。どのような態度で何を感じ取れば良いのか、よく分からない。

もちろん、藝術鑑賞にルールなどないのだから、好きなように観れば良いのだけれど、だから、より精確に言えば、僕には写真を鑑賞するという行為は

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日高理恵子 - 僕の好きな藝術家たち vol.6

日高理恵子 - 僕の好きな藝術家たち vol.6

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大好きな詩人の長田弘と、日高理恵子がコラボレーションした詩画集『空と樹と』。

Amazonでは新刊購入は出来ないようで法外な値の古書しかないので、購入される方は上記リンクからどうぞ。

長田弘の詩が読みたくて購入したら、日高理

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塩田千春 - 僕の好きな藝術家たち vol.5

塩田千春 - 僕の好きな藝術家たち vol.5

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銀座を歩いていて、ふと資生堂ギャラリーの前を通りかかったら、何か展示をしているようだったので、ふらっと入ってみた。
「椿会」と題された小ぶりの展覧会で、現代アートの造形作品や映像作品が並べられている展示だった。

そこで、塩田千

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ジョルジョ・モランディ - 僕の好きな藝術家たち vol.4

ジョルジョ・モランディ - 僕の好きな藝術家たち vol.4

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Wikipediaによれば、モランディは

だそうだ。でも、ピカソやあるいはウォホールやバンクシーのような知名度はないと思う。僕は全く知らなかった。たまたま見かけたモランディ展のチラシの絵が、どことなくニコラ・ド・スタールっぽい

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ザオ・ウーキー - 僕の好きな藝術家たち vol.3

ザオ・ウーキー - 僕の好きな藝術家たち vol.3

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深い海の底、あるいは、遠い宇宙の彼方。

この絵の前に初めて立った時、青い色に吸い込まれるような感覚、ここではない何処か静かな世界で、聞こえない音を聞き、動かない空気のそよぎを感じた。

青は特別な色だ。フェルメールのラピスラズ

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ニコラ・ド・スタール - 僕の好きな藝術家たち vol.2

ニコラ・ド・スタール - 僕の好きな藝術家たち vol.2

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福永武彦の『海市』を読んだのは、まだ10代だった。謎めいた人妻安見子に惹かれていく草臥れた中年の画家。二人の悲劇的な恋愛をいささか実験的な手法で描いた作品が、何故まともな人生経験も恋愛経験もない若輩にうち震えるほどに響いたのか、

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ジャクソン・ポロック - 僕の好きな藝術家たち vol.1

ジャクソン・ポロック - 僕の好きな藝術家たち vol.1

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法月綸太郎の短編集『パズル崩壊』は、収録作のほとんどが純然たるミステリとは言い難くて他人に薦めにくい本なんだけれど、個人的にはとても楽しく読んだ一冊。その中に収められている「カットアウト」は、大原美術館に収蔵されているポロックの

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