ヒポクラテスの秘匿
ヒポクラテスの「誓い」を読むと、現在で言うところの「守秘義務」を重んじていることが分かる。
古代ギリシアにも、プライヴァシー保護の観念があったのだ。
ドイツの政治哲学者、ハンナ・アーレントは『人間の条件』で「公的領域/私的領域」の峻別を説いた。
これは、古代ギリシアのポリス(都市国家)をモデルとしたものである。
やはり私的領域やプライヴァシーに関して、古代ギリシア人から学ぶことは多いのかもしれない。
ヒポクラテスの「誓い」は、岩波文庫の『古い医術について』に収録されている。
アーレントの『人間の条件』は、ちくま学芸文庫から出ている。訳者の志水速雄は、東京外国語大学出身で、同大学の教授となった。ただし彼の専門は、ロシア政治。
アーレント研究者の矢野久美子さんは、東京外国語大学の大学院出身だ。
ちなみに、アーレント関係で私が読破したのは『アーレント=ハイデガー往復書簡』(みすず書房)のみ。ドラマチックで面白かった。