見出し画像

氷河期世代の引きこもり「氷河くん(40)」はなぜ炎上し忘れられたのか

「氷河くん」というキャラクターをご存知でしょうか?

氷河くんは、厚生労働省愛知労働局の就職氷河期世代支援キャラクターです。とても可愛いアザラシのキャラクターですね。ですが、これは「ゴマちゃん」なのでは・・・?

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hyogaki_hyougakun.html


公式サイトによると、正社員になることができず契約社員として働くものの、過酷な労働環境から体調を崩し、引きこもりの経験があるという設定です。

行政による就職氷河期世代活躍支援がスタートしましたが、まだまだ認知度が低い状況です。最初は堅苦しいポスターで支援内容を伝えようと考えていたようですが、文字だけでは伝わりにくいと感じたため、キャラクターを導入して親しみやすさをアピールし、支援に興味を持ってもらえるよう工夫したそうです。

実際に支援を受けている氷河期世代からは評判が良いようですが、「設定が闇が深い」とSNSでは一時期炎上していました。しかし、今では誰も氷河くんのことに言及しなくなりました。愛知労働局職業安定部 職業安定課の公式Youtubeのチャンネル登録数も114人、再生数は平均数十~数百と全く注目されていないようです。

まあ、氷河期世代支援の話題なんて誰もしませんよね。今では、もはや忘れられた存在と言えるでしょう。

少しでも認知度を上げるのに協力するため、以下に特設サイトのコンテンツを引用いたします。皆さんに興味をもってもらえればと思います。

就職氷河期世代支援特設ページ 氷河くん、新たな一歩!

引用:https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hyogaki_hyougakun.html
引用:https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hyogaki_hyougakun.html
引用:https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/hyogaki_hyougakun.html


氷河期世代の氷河くんがピンとこない理由

僕は逆にこの「氷河くん」のキャラクターや設定に全然ピンとこないと感じていました。就職氷河期世代の実態を表していないように思えたからです。

①氷河期世代のオッサンは氷河くんみたいに可愛くない

可愛いマスコットキャラクターは見ているだけで癒される効果があります。その愛らしい姿や表情は心を和ませ、ストレスや疲れを和らげてくれることがあります。マスコットキャラクターは、人々に幸せや楽しさを与える大切な存在ですね。「氷河くん」のキャラクターも可愛さを全身で表しています。

しかし、実際の氷河期世代のオジサンは醜く小汚いです。

特に底辺の氷河期世代のオッサンの見た目は酷い場合も多いのです。オジサンは髪の毛が薄くハゲており、生え際も後退している。顔にはシワやシミがたくさんあり、鼻毛や耳毛が伸び放題で、全体的に不潔な印象を与える。服装も古くて汚れており、体臭が漂っている。歯並びも悪く、黄ばんでいるため、口臭がきつい。

全体的に見ると、醜くて小汚い風体をしているオジサンは、可愛い「氷河くん」の見た目とあまりにもギャップがあります。それどころか、見た目だけでなくて、性格も悪く素直でない氷河期世代のオジサンも多いのです。

可愛い氷河くんはみんなに助けてもらえるのでしょう。しかし、現実の醜い中高年男性は助けてもらえないのです。


②「氷河期世代の支援」そのものに違和感がある

たしかに日本の就職氷河期世代は、非正規雇用や無職の比率が他の世代よりも高い傾向が見られました。氷河期世代は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、景気低迷や大量雇用解雇などの影響を受けた世代です。そのため、安定した正規雇用に就くことが難しかったり、長期間無職であったりする人が比較的多いとされています。

ただし、近年の労働市場の改善や働き方の多様化の動きにより、氷河期世代の中にも再就職やキャリアチェンジを果たす人も増えてきていると言われています。

実際に非正規雇用や無職の比率が氷河期世代だけ極端に高いということはありません。人数が多いから下の世代に比べて目立つだけなのです。

たしかに社会人のスタートで梯子を外されたのが氷河期世代です。しかし、多くの氷河期世代はその後の社会人生活でリカバリーしているのです。勝ち組も多いのが氷河期世代の特徴なのです。


このような状況下で「就職氷河期世代」に絞って、就職支援をするというのは少しおかしいと思います。他の世代でも近い比率で非正規雇用や無職引きこもりは存在しているわけですから、全世代で共通で対策するならまだわかるのですが。

氷河期世代だけを「かわいそう」とするのは、世代間の生きづらさ競争に過ぎないようにも思っています。氷河期世代当事者としてフェアではないと感じています。


③今、働けない中高年は氷河期が原因ではない

とはいえ、就職氷河期世代にも非正規雇用や無職の人は未だにたくさん存在します。彼らはなぜ安定した職に就けていないのでしょうか?

それは就職氷河期のせいではありません。発達障害、精神疾患、境界知能などの個人の特性や病気によるところが大きいのです。つまり、氷河期世代でなく別の世代に生まれていたとしても、彼らは就職に苦労していたであろうと推測できるわけです。

発達障害や境界知能の人が就職活動を行う際には、さまざまな困難に直面することがあります。これらが仕事が安定しない根本的な原因なのです。

発達障害や境界知能を持つ人々は、他者とのコミュニケーションが難しい場合があります。面接やチームでの仕事など、コミュニケーションが重要な場面で苦労することがあります。社会的なスキルや適切な行動が難しい場合があります。職場での人間関係やコミュニケーションを円滑に行うことが難しいため、周囲とのトラブルが起きやすくなる可能性があります。就職活動自体がストレスや不安を引き起こすことがあり、それが発達障害や境界知能を持つ人々にとってはさらに困難を増幅させる要因となります。就職支援や職場でのサポートが不十分な場合、発達障害や境界知能を持つ人々が適切な職場環境で働くことが難しくなります。


2024年時点で日本の失業率は約2.5%程度です。この数字は比較的低い方であり、世界的に見ても低い水準に位置しています。失業率は国や地域によって異なり、各国で異なる要因が影響しています。例えば、欧州や南米などの一部の国々では失業率が高い傾向にあります。

ほとんどの人が就職できる日本において、無職引きこもりになってしまう方は、発達障害、精神疾患、境界知能のいずれかを持っている可能性が高いです。

つまり今における「就職氷河期の就職支援」は、実質的に「発達障害、精神疾患、境界知能の就職支援」であり、これを「就職氷河期は辛かったから、就職支援しなければ!」としてしまうことは、問題の本質を見えにくくしてしまうリスクがあります。

そして同時に、発達障害、精神疾患、境界知能の方々が、「氷河くん」の漫画のように、とんとん拍子で就職まで行くことは難しい事も容易に想像ができるでしょう。


氷河くんは忘れられ、氷河期世代も忘れられていく

これからの時代はAIや人工知能が広く僕達の生活に広がっていきます。AI技術は、自動運転車、医療診断、金融取引、スマートホーム、教育、エンターテイメントなど、さまざまな分野で活用されています。これらの技術の進歩により、僕たちの生活がより便利で賢くなることが期待されています。

AIの進歩により、一部の仕事は自動化されたり効率化されたりする可能性があります。これにより人間の仕事が減るでしょう。しかし、同時に新しい仕事や役割も生まれることも考えられます。人間とAIが協力して働くことで、より効果的な業務が行われることも期待されます。そのため、AIの進歩が人間の仕事を減らすだけでなく、新たな機会を生み出す可能性があります。

しかし、これは僕達の仕事にダイナミックな変化が訪れるということでもあります。これまでとは比べ物にならないほどの異次元の格差が広がり、当然ついていけない人々による大規模なAI失業が広がることになります。

それこそ「失われた30年」や「氷河期世代の辛さ」が霞んでしまうような、大規模な社会変動とゲームチェンジが起こることでしょう。そのころには「氷河くん」のキャラクターは完全に忘れられていることでしょう。このような時代はもう目前に迫っており、もう「就職氷河期の支援」というコンセプト自体が時代遅れだと感じます。


「踏んだり蹴ったりの氷河期世代」「可哀そうな氷河期世代」と言われますし、実際に僕も底辺非正規雇用の氷河期世代おじさんですが、僕は産まれたのが氷河期世代で本当に良かったと思います。

これからの時代はさらに生きにくくなることが容易に推測できます。未来では「まだマシだった就職氷河期世代」「氷河期世代は最後の逃げ切り世代」と言われているかもしれません。

僕達、日本の氷河期世代は恵まれているのです。次の時代は大変厳しくなるでしょうから、僕らはなるべく後の世代に負債を残さないようにしながら、残りの寿命をより良く生き、より良く死んでいきたいものです。


いいなと思ったら応援しよう!