
整形外科医の私がおすすめする、マッサージいろいろ
整形外科医は筋骨格の専門医。骨だけ診ているわけではなく、筋肉も、もちろん、ちゃんとみます。そして整形外科はいわゆる理学療法や整体、マッサージなどとは切っても切れない関係にあります。とは言ったものの、骨折が結構手術ありでも無しでもほぼちゃんと時間で治ってくれるのに比べて、筋肉やスジ(腱)や靭帯は治しにくい、治りにくい傾向にあるのではないかと思われます。
実践整形外科で一番難しい領域とされているのが、いつ、どの症例に、どの手術をするかという決定で、これが10人のドクターに聞けば10人違った答えが返ってくる可能性がある領域。ただ、基本、覚えておきたいのは
手術か手術でないか迷ったら手術にしない
手術以外の方法「全て」試しても良くならなければ手術を考慮する
という原則。日本とイギリスを比較すると、イギリスの方が医療無料であるからなのか、断然「手術以外の治療をまず優先」という原則がしっかり守られているように思います。
さてさて、骨折以外の痛い疾患というのはたくさんあるのですが、例えば、40代後半になんの前触れもなく訪れる、四十肩、五十肩と呼ばれる肩の痛み。実は私自身も40代で経験しています。こ、これがあの、四十肩なのかとまじまじ観察してしまいました。この時、気づいたのですが、肩甲骨と、上腕骨が肩の関節の周りで癒着して、腕を動かすと、変な角度で肩甲骨が引っ張られて動き、それが痛みになっているのです。後ろから見てみると、肩甲骨がWinged Scapula(天使の羽)状態になっていくのです。

後ろにあるので、鏡でも見れないし、なかなか気づかないと思いますが、この肩甲骨周りの痛みを解消することで、肩周りの痛みがとても良くなります。
こうやって理学療法士さんが肩甲骨の引っ張られている動きを押さえて、本来の腕(肩)の動きを取り戻す施術をするのが治療の基本ということになりますが

画像はネットより
一般的には「肩甲骨はがし」と呼ばれているらしい、筋膜リリースは、誰か専門の人にやってもらわなくても、病院に行かなくても、自分でなんとかできるのです!
準備するのはこれだけ。

ただのボコボコの硬いプラスチックボールです
これを読んでくれたあなたは、ただ一目散に、こういうタイプ↑ のマッサージボールを購入すれば良いのです!
私はコペンハーゲン発、ガラクタショップのFlying Tigerで買いましたが、1個400円もしなかったんではないかと思います。日本であれば、もうなんでもある100円ショップに絶対あるはず。最悪、見つけることができない場合はテニスボールでも良いと思います。硬さは硬いもの。フワフワ潰れてしまうタイプではないことにご注意ください。
このボールの上に、寝転がって自分の体重と重力を利用して、肩甲骨剥がしをします。

画像はネットより
このようにボールの上に寝転がって肩甲骨の周りをゆっくりと、筋膜をマッサージしていく=筋膜リリース。

腕を動かしながらする場合は、ゆっくりとすること、そして、肩甲骨が腕の動きに引っ張られないようにセパレートするイメージであることが大事なんですね。
この方法は四十肩、五十肩だけでなく、頭痛持ち、肩こりのひどい人、姿勢が悪い人、note読みすぎな人(?)、などなどにもいいだけなく、個人的には
不眠にも
よく聞きます。
不眠にも良く効くということを悟ったのは、実は最近。筋骨格系スペシャリストの空即是色 in ロンドンさんの記事で
いたたたトゲトゲのシャクティマットという代物を使った後によく眠れるというお話を聞いて、これは、と思ったのです。確かに私の硬くてトゲトゲのイタタタマッサージボールは、夜ベッドの中でぼーっとしながらなんとなくやるだけでOK。肩周りだけでなく腰痛、臀部痛、ふくらはぎの筋肉痛、足の裏のコリ、なんでもOK。

寝る前の数分でもいいと思います
画像はネットより
そのまま寝落ちして、マッサージトゲトゲボールと一緒に朝起床ということもあります。軽いのでベッドから落っこちていたとしても問題なし。

旅行にも持参します。
長時間フライトの飛行機の中で使用することもあります。
余談ですが、私の夫は比較的軽症な乾癬性関節炎もちなので、腱が骨にくっつくところに痛みを起こしやすく、Enthesopathy(エンテソパシー)=筋腱付着部症と言う炎症に近い状態になりやすく、朝一番にアキレス腱が踵についている場所がなんともいえずに硬くて痛いという状態になったりします。まだ私が若かったころ、まるで邦画の「寝ても覚めても」のワンシーンのように甲斐甲斐しくマッサージをしてあげたものです(遠い目)。それ以来、うちではマッサージに使う道具はいつの間にか増えておりまして、こんな感じになっております。

(こういう細かいところまではみなさん見ないかしらね?)

マッサージ道具は、甲斐甲斐しく助けてくれる人がいなくても、一人で勝手に好きなだけ好きなようにマッサージができると言うのが理想的なわけで、例えば、電動式タイプと100円ショップで買ったと思われるツボ押し道具

右の写真はネットから
くびすじとか、腰とかに好きなだけ引っ張って圧力をかけることができます。ただし、このタイプだと、たとえばアキレス腱の付着部とか足の裏とかピンポイントでマッサージしたい時には不便です。
スペイン生まれのALE-HOPでいつもお姉さんが進めてくれるお手軽電動マッサージ器。私がコードありの方が充電しなくて済むし安いしと言い張ったので、最初にコードありを買ったのですが、思ったよりもコードが短くて使いづらく、次にコードなしを買い足しております。

ただ、やはり重いんですよね。だから、旅行先に持っていくには、小さいものが必要ということになり、こんなものもあります。

それでも個人的には、安いトゲトゲボールがやっぱり優勝。以上、現場からでした。
いいなと思ったら応援しよう!
