[落ち込むのが正解?] ポジティブの落とし穴から抜け出す
朝起きた瞬間から、なんとなく気分が重い。今日の仕事はうまくいくだろうか、あの人に変なことを言ってしまったかもしれない…。そんな不安が頭をよぎり、気づけば「ポジティブに考えなくちゃ」「もっと前向きにならなきゃ」と自分に言い聞かせていませんか?
実は、私自身も適応障害を抱えるなかで「とにかくポジティブに」と焦れば焦るほど、かえって深みにハマってしまった経験があります。いっそ落ち込むことを認めれば、気が楽になるのでは…。そう思いつつも、ネガティブな気持ちを“悪いもの”として扱うクセが抜けず、苦しい日々を過ごしていました。
しかしあるとき、「落ち込むのが正解」という言葉に出会い、考え方を180度変えてみることにしたのです。すると、不思議と心にゆとりが生まれ、新しい道が開けたように感じられました。そんな経験から、今回は“反対方向”から見ることで見つかる、適応障害の抜け道を一緒に考えてみたいと思います。
第1章 落ち込みを否定してしまう理由
一見すると、落ち込みは避けるべきネガティブな感情に思えます。世間では「自分を鼓舞しよう」「とにかく前向きに」という言葉がもてはやされがちです。その影響を受け、「落ち込むのはよくない」「マイナス思考は病気を悪化させるかも」と感じてしまうのは自然なことでしょう。
とりわけ、適応障害や不安障害を抱える方は、“落ち込み”への恐怖が人一倍強いかもしれません。なぜなら、日常の小さな失敗やちょっとしたトラブルですら、大きなダメージに感じてしまうからです。周囲からは「気にしすぎだよ」「もっと気楽に」と言われるものの、本人にとっては切実な問題にほかなりません。
そうして落ち込みを遠ざけようとすると、かえって「落ち込んでいる自分はダメなんだ」と否定的なループに陥る可能性があります。結果として、ポジティブ思考を頑張るほど自己嫌悪が深まり、「やっぱり私はおかしいのかも」という思いが強くなってしまうのです。
第2章 “落ち込むのが正解”という逆説
そんな悪循環から抜け出すためのヒントとして、「落ち込み」を“受け入れる”という視点を持つことが挙げられます。落ち込んだときに「私、落ち込んでるな」と認めるだけで、心が少し楽になることはありませんか? これは逆説的ですが、“落ち込む”という行為そのものを否定しないことで、自己否定のループから一歩抜け出しやすくなるのです。
適応障害を抱えていると、「また落ち込んでいる」「立ち直るのに時間がかかる」と自分を責めがちです。しかし、しんどいと感じたときほど「そう感じるには理由がある」と思ってみましょう。たとえば「職場の人間関係が原因だから落ち込んだ」「無理して続けていた習慣が辛かったから落ち込んだ」など、落ち込む理由を正当化してみるのです。そこから、自分が本当に必要としていることや、合わない環境を見直すきっかけが生まれます。
第3章 反対方向のアプローチを試してみる
落ち込みを受け入れるだけでなく、今まで常識とされてきた方針の“反対”を実践してみるのも有効な方法です。たとえば、周囲からは「外に出てリフレッシュしよう」「友達と会って気晴らししよう」と言われることが多いかもしれません。しかし、もしそれが苦痛に感じるなら、あえて一人でゆっくり部屋にこもる時間を作ってもいいのです。
また、自分が「どうせうまくいかない」と思い込みやすいなら、思い切って「うまくいかないのは当然だ」と開き直ってみましょう。すると、意外にも“失敗してもなんとかなる”という大胆さが身につくかもしれません。そもそも、不安障害や適応障害を抱える方が突然ポジティブ全開になるのは難しいもの。逆に「ちょっと悪く考えてもOK」と認めるほうが、気持ちが軽くなることもあるのです。
第4章 “受け止める力”が生み出す新たな抜け道
このように、“落ち込み”を否定せず、普段とは逆の方向から対処法を探ってみると、自分の中にある“受け止める力”が少しずつ育っていきます。落ち込んだり、ネガティブに感じたりする自分を批判せず、「そういう時期もあるんだ」「私はそう感じるタイプなんだ」と肯定的に解釈できるようになるのです。
さらに、“受け止める力”が伸びると、人の言葉や行動にも振り回されにくくなります。以前は「どうしてあの人はいつもあんなことを言うんだろう」と悩んでいた場面でも、「あの人にはあの人の事情がある」と一歩引いて考えられるようになるかもしれません。こうした姿勢は、適応障害の大きな原因のひとつである“環境との不一致”をやわらげる効果が期待できます。
第5章 落ち込みを味方に変えてみる
「落ち込むのが正解」という逆説的な考え方は、最初は抵抗があるかもしれません。なぜなら、私たちは小さいころから「元気でいること」「負けないこと」が良いと教えられてきたからです。しかし、無理にポジティブを装うよりも、ネガティブな感情を素直に認めるほうが、適応障害で苦しんでいる心を温かく包み込む力になるでしょう。
思い切って“反対方向”に舵を切ることで、見えなかった風景が広がることがあります。落ち込みを受け入れても構わない、と自分に許可を出すと、驚くほど心の荷が軽くなる瞬間が訪れるかもしれません。あなたの不安や悲しみも、決して無駄な感情ではありません。むしろ、今までとは違う道を照らす案内役になってくれるはずです。
もし、適応障害や不安障害で「もうこれ以上、どうしたらいいの」と感じているのなら、一度“落ち込む自分”をしっかり抱きしめてみてください。そこから始まる小さな一歩が、あなたにとっての新たな抜け道となるよう願っています。
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