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娘の入院第1週目①

娘から頼まれた買い物をして、家に着く頃辺りはもう暗くなっていた。
今日持っていけなかった娘のお気に入りのぬいぐるみも忘れないうちに袋に入れた。
最近掃除や片付けが出来なくなっていた娘の部屋は、床に物が散乱していた。際限なく買い物していたこともあって、見慣れないものもそれなりにある。片付けていいだろうと思うものは片付け、でもこの部屋に朝までいた娘の痕跡が残っているようなものは、何となくすぐに片付ける気になれなかった。
この部屋にいつ戻ってこられるだろう…
主治医からは入院3ヶ月と聞いているが、こういう病気の入院はもっと時間がかかるイメージだ。

病棟で別れてからも、娘とのLINEは続いていた。主治医の先生が話しやすくてとても良い先生だったことも伝えた。開業医を慕っていた娘からしたら、急に入院して主治医も変わることに戸惑っているだろうが、安心出来る場所だと少しでも分かれば入院を嫌がらずにいてくれるのではないか。

居なくなった娘の代わりに私を出迎えてくれたのは、たくさん作ってあった手料理だった。病院から帰ったら娘とすぐ食べられるようにしてあったのに、結局一人で消費しなくてはならない。でも私一人だと、こんなにも量が減らないんだ…
食欲が無いのもあったが、一人で食事することの味気なさが余計に食欲を奪っているように思えた。
こういうことにも慣れていかなくてはいけないんだな…
冷蔵庫を開けると、娘の為に買った果物が圧をかけてくる。次の面会に行くまでにもてばカットして娘に持って行けるが、恐らく無理だ。

もたもたと後片付けをしていると娘が電話してきた。

「もう入院やだ」
「何にもすること無い」

そりゃそうだ、今日いきなり入院したんだもの。

私「ゆっくり休む為の入院だから、何かしてなくてもいいんだよ」

そんな言葉は娘に通じない。

「ねぇ、何で入院なの?」

私「病気だからだよ」

「別に病気治らなくてもいい。帰りたい」

入院してからの第1週目は、毎日こういう会話が続いた。

私が入院した時は10日間や1週間と期間が決まっていたし、短期間だから娘と離れてもそれほど寂しさを感じることは無かった。前もって入院することもわかっていたし。
でも突然引き離されたようなこの気持ちを、私はまだ消化することが出来ずにいる。本当は入院になって安心しなくてはいけないはずなんだ。ここ数ヶ月の娘の様子は明らかにいつもと違っていたし、開業医への不信感も芽生えていて、セカンドオピニオンを考え始めていた。
だからこれでいいんだと何度も自分に言い聞かせているが、涙が止まらないのは何故だろう。

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