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ネトゲ寄りメタバース

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ネットゲーム寄りのメタバースに関連する話題です。
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#経済

終の棲家というけれど(前編)

まわりくど~い話になると恐縮なので、今回はオチを先に言ってしまいますよ。今年の2月にスーパー出遅れ状態で始めたネトゲ『ドラゴンクエストX』(DQX)で住宅購入に失敗しまして。「この失敗を活かして次につなぎたい!」と思っていたら、リアルでおうちを購入していました。 ぜんぜんそのつもりはなかったのに購入してしまったのでいわゆる衝動買いであり、そしてネトゲ脳ここに極まれりです。 ま、おうちといっても中古マンション、いえ中古というのも語弊があるほどの"太古"団地の一室に過ぎないん

ギャンブル必勝!?シミュレーターをつくるよ(メタバース経済考・番外編)

先日、メタバース経済考の記事でMMORPG『ドラゴンクエストX』(ドラクエ10)の経済が「ギャンブルっぽい」ということを書いたばかりなのですが、あれはあくまで「少額の積み重ねでお金を吐き出させようとしている」という構造を指摘するものでした。決して開発者が、プレイヤーに賭博でゲーム内通貨を運用させようとしているわけではなかったのです。 ところが、どうもドラクエ10のプレイヤーの一部にギャンブルで金策をする習慣があるようなのです。 ドラクエ10で行なわれているというギャンブル

ドラクエ経済はギャンブル式?(後編) ~メタバース経済考

不評な記事の最終回です(自虐)。いいもん! ギャンブルのように小さな金額を繰り返し費やしていくことと、ゲーム内のアイテムの価値が短期的に移り変わり安定しないことから、ドラクエ10(ドラゴンクエストX)の経済では先行きを見通せず、「その日暮らし」に近い生活を求められる「圧」を感じます。 でも、これが意外なところでMMTやベーシックインカムに重なることに気付いたのです。しっかり、まとめます。 一億総中流社会、昭和の名残り?ドラクエ10では、簡単な「日課」で小さくない金額が与

ドラクエ経済はギャンブル式?(中編) ~メタバース経済考

決して「お金をかけて、お金を稼ぐ」わけではないけれど、ドラクエ10(ドラゴンクエストX)の経済は「ギャンブル」に似ています。都度、必要な金額は少額で済むけど、でも累計すればけっこうかかった、というかたちで「先見性」が発揮されにくくなっている――というお話の続きです。 ただしそれは主に、万人に関わる基礎システム的な経済の流れの話です。 それとは別の、「プレイヤー間の売買」には支払いを積み重ねる仕組みが適用されないので、希少品はただ単純に高額になります。なお、プレイヤー間の取

ドラクエ経済はギャンブル式?(前編) ~メタバース経済考

今回は、MMORPG『ドラゴンクエストX』(ドラクエ10)の経済が「ギャンブル式」な感じがすることについて考えていきます。 「ドラクエといえばカジノ」というくらい(?)ですし、ドラクエ2の時点で「ふくびきけん」があったくらいですから、ドラクエとギャンブルは切ってもきれません。ただし、「ギャンブル」という言葉が持つイメージがそのまま経済に反映されているわけではありません。ドラクエ10の経済は「お金をかけてお金を稼ぐ」ようになっているわけではないのです。 ドラクエ10のカジノ

DQX体験、おわり。

いまさら始めた『ドラゴンクエストX』(ドラクエ10)ですが、実はずっと体験版として遊んでいました。始めるにあたってパッケージを購入したのですが、体験版があるならまずはその範囲を遊んでみよう、と。 そんなこんなで、じっくり熟成させたレジストレーションコードを登録して製品版へ移行するまで4ヶ月もかかってしまいました。長い! 遅い! 昔はMMORPGの体験版は、開始から1週間程度までしかプレイできない制限があったものですがユーザー獲得に結び付かなかったのか、イマドキは日数制限な

人を呪わば穴ふたつ ~経済・社会の自殺を止めるには

ことわざは苦手なんですよ、単純化しすぎですからね。 とはいえ「ことわざは全部ダメ」と単純化の罠に陥いっていたのでは本末転倒。なかには『人を呪わば穴ふたつ』のように、怒れる自分に「待った」をかけてくれる良い言葉もあります。ことわざとは違いますが、ぼくは平成の偉人・夢原のぞみさんの「なんとかなるなる」を胸に刻んで日々を過ごしています。 ただ昨今、SNSは呪いの言葉にあふれていて、今日もTwitterのタイムラインで次のような発言をみかけたのです。 宇佐美典也さんはまあまあ有

DQXでドラクエ社会学に挑戦!?(後編)

社会や経済を探ろうと、妙な視点で始めたDQX初心者の旅の後編です。 今回のテーマはDQX初心者として感じた労働者マインドについてになりますが、端的に言うと「DQXへの永久就職を求める圧を感じる」という話になります。ひとが集まるところには、時代や環境に応じてそれぞれの文化が生まれるのはなんともおもしろい、という話を無駄に難しくやっていきます。 神々をこの目で見た!?今回の記事タイトルにした画像は、DQXを始めて、一番驚いたの場面です。1ヵ所に妙に人が集まって、しかもみんなで

DQXでドラクエ社会学に挑戦!?(中編)

ほかのメタバース社会も知っておこうということで、いまさらながら運営11年目のMMORPG『ドラゴンクエストX』(DQX)を始めてみました。まだ1週間くらいです。今回は、半分旅行者、半分移住者の初心者視点でDQX社会の一部を見たレポートをお届けします。 お金の流れは?メタバース経済の話でFF11との比較対象にしたい思惑がありますので、なにより気になるのは「お金の流れ」です。国税局職員になった気持ちで見ていきますよ! そういえば税務署って繁忙期にあわせて人員を確保しているよう

死とベーシックインカム(後編)~メタバース経済とMMTを考える

MMORPGの経済・社会を通じてベーシックインカムの可能性を考える話の最終回です。直接お金を配るのとは違うものの、生活を下支えする意味でベーシックインカム的な要素のうち、今回は残り2つの仕組みを紹介します。が、その前にちょっと寄り道をして、関連要素としての"住宅事情"を踏まえておきたいと思います。 MMORPGの住宅事情に学ぶMMORPGはその元祖である『ウルティマオンライン』(UO)の時点で、空き地に家を建てられるシステムがありました。そのため、「MMORPGでは家を建て

死とベーシックインカム(中編)~メタバース経済とMMTを考える

さて今回は運営開始から20年が過ぎたMMORPG『FINAL FANTASY XI』(FF11)の世界にある"ベーシックインカム的なもの"を見ていきます。 ここで紹介する"ベーシックインカム的"な仕組みは3種類あります。それぞれ個別の仕組みについては「こんなのがベーシックインカム?」と疑問に思うかもしれません。しかし、この3種の仕組みのおかげで、ぼくは今FF11で意識的に金策をすることはほとんどなくなっています。 他のMMORPGやスマホゲームなどにもそれぞれ似たような仕

死とベーシックインカム(前編)~メタバース経済とMMTを考える

「人が集まってこその社会である」という視点を重視して、広義のメタバースのなかでも歴史と実績のあるMMORPGに学んでいくシリーズの続きです。 MMORPGの世界では、ただ人が集まっただけでなく、ときに声をあげ、運営者がそれを無視せずにコミュニティをアップデートしてきました。人々の知恵と本音が渦巻くその場所には、硬直しきった現実社会を建て直す多くのヒントが隠されているのです。これまでもこのシリーズの記事で触れてきたように、"ベーシックインカム的なもの"も導入されています。

ベーシックインカムの前にオフゲ経済推進(後編)

オフゲ(主にオフラインRPG)によくある「最後には使いきれないほどのお金が貯まってしまう経済」を、日本人は求めてしまい、無意識に推進することで経済を循環させられなくなっている――でもそれを否定するのではなく、うまく"調整"できないかを考えてみようという話の2回目です。 今回はオンラインゲームの経済を参考にします。「オフゲ経済の話なのに、ネトゲ経済を参考にする?」と疑問に思うのは当然です。ただ、ネットゲームは部分的にオフゲ経済を内包している場合があるのです。 昨年20周年を

ベーシックインカムの前にオフゲ経済推進(前編)

ちょっと間があきましたが、ネットゲーム(メタバース)の経済を現実に導入できるかを考える記事の続編です。次はベーシックインカムをテーマにしたいのですが、そのまえにちょっと寄り道してオフゲ経済(オフラインゲームの経済)も実現できないかを考えてみることにします。 すでに推進されているオフゲ経済「こら待て、ネットゲームの経済を実現するというだけでも荒唐無稽なのに、破綻前提のオフゲ経済なんて度が過ぎる!」と誰もが思うでしょう。 たしかにオフゲ(主にオフラインのRPG)における通貨は