大ピンチを愛でよう。

長男とふたりで、書店や図書館を巡るのが好きだ。

ご時世柄、書店では「立ち読み」は推奨されない。でも息子はめげずに、絵本や図鑑の表紙を眺めては、あれこれ頭の中で妄想を膨らませている様子だ。

字を書いたり、簡単な計算をしたりということにはまだ興味を持っていない年頃。それで良いじゃん、好きなことに没頭してくれたらと見守っている。

*

先日の三連休、都内も悪天候が続いていた。

最終日、ようやく雨がひと段落ついたので書店を訪ねた。息子は早々に児童書・絵本のコーナーへ。

彼の近くで新刊を眺めていると、息子が一冊の絵本を持ってきた。鈴木のりたけさんの『大ピンチずかん』だ。

珍しく、息子はなにかに確信めいた表情をしている。

「おしりたんてい」や「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の関連本のときとは、ちょっと違う表情。どうやら、この本に一目惚れしたらしい。

税込1,650円は、絵本にしては高価格帯だが購入を即断。「ピンチに臆する必要なんてない!」みたいなメッセージを見て取れ、いまの息子にピッタリだと感じたからだった。

*

「ずかん」との名称の通り、まあまあ内容は厚め。

ページをめくるごとに、寝癖のついた男の子がピンチに陥る

ガムを のんだ」「こおりが したに くっついた」という軽いものから、「トイレの かみが ない」「フンを ふんだ」と大人でも焦ってしまうような状況まで、色々なピンチが描かれている。

こういうときにどうしようかね?と大人と子どもでコミュニケーションをとりやすい構造で、なるほど、今時の絵本っぽいなと感心してしまった。

*

4歳後半になって、「図鑑」がますます好きになっている息子。分かりやすい絵柄よりも、ちょっと精密で読み込むことが必要な本の方が楽しいらしい。購入してから、ずっと飽きずに絵本を読んでいる。

これで大ピンチのときも安心だ……とは、もちろんならないだろう。

でも、ふとした瞬間に「この状況って、『大ピンチずかん』に書いてあったっけ?」と思い出してもらえそうな気はする。

大ピンチなんて、実際のところ生命が脅かされるほどのものではない。取引先からクレームが来ようとも、息子が急に発熱しようとも、後から振り返れば「そんなこともあったよな」という思い出に変わる。

であれば、大ピンチに怯えるよりも、大ピンチを愛でた方が良いではないか。

大人にも教訓となるような、素敵な絵本だった。幼児がいるご家庭に特にお薦めです。

──

2022年9月1日時点で、6万部売れているそう。

「第6回未来屋えほん大賞」においても大賞受賞ということで、これからますます話題になりそうな気がします。

#育児
#育児日記
#父親育児
#育児記録
#絵本
#児童書
#読書
#読書記録
#読書日記
#読書感想文
#大ピンチずかん
#鈴木のりたけ
#ピンチはチャンス

いいなと思ったら応援しよう!

ほりそう / 堀 聡太
記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。

この記事が参加している募集