大ピンチを愛でよう。
長男とふたりで、書店や図書館を巡るのが好きだ。
ご時世柄、書店では「立ち読み」は推奨されない。でも息子はめげずに、絵本や図鑑の表紙を眺めては、あれこれ頭の中で妄想を膨らませている様子だ。
字を書いたり、簡単な計算をしたりということにはまだ興味を持っていない年頃。それで良いじゃん、好きなことに没頭してくれたらと見守っている。
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先日の三連休、都内も悪天候が続いていた。
最終日、ようやく雨がひと段落ついたので書店を訪ねた。息子は早々に児童書・絵本のコーナーへ。
彼の近くで新刊を眺めていると、息子が一冊の絵本を持ってきた。鈴木のりたけさんの『大ピンチずかん』だ。
珍しく、息子はなにかに確信めいた表情をしている。
「おしりたんてい」や「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の関連本のときとは、ちょっと違う表情。どうやら、この本に一目惚れしたらしい。
税込1,650円は、絵本にしては高価格帯だが購入を即断。「ピンチに臆する必要なんてない!」みたいなメッセージを見て取れ、いまの息子にピッタリだと感じたからだった。
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「ずかん」との名称の通り、まあまあ内容は厚め。
ページをめくるごとに、寝癖のついた男の子がピンチに陥る
「ガムを のんだ」「こおりが したに くっついた」という軽いものから、「トイレの かみが ない」「フンを ふんだ」と大人でも焦ってしまうような状況まで、色々なピンチが描かれている。
こういうときにどうしようかね?と大人と子どもでコミュニケーションをとりやすい構造で、なるほど、今時の絵本っぽいなと感心してしまった。
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4歳後半になって、「図鑑」がますます好きになっている息子。分かりやすい絵柄よりも、ちょっと精密で読み込むことが必要な本の方が楽しいらしい。購入してから、ずっと飽きずに絵本を読んでいる。
これで大ピンチのときも安心だ……とは、もちろんならないだろう。
でも、ふとした瞬間に「この状況って、『大ピンチずかん』に書いてあったっけ?」と思い出してもらえそうな気はする。
大ピンチなんて、実際のところ生命が脅かされるほどのものではない。取引先からクレームが来ようとも、息子が急に発熱しようとも、後から振り返れば「そんなこともあったよな」という思い出に変わる。
であれば、大ピンチに怯えるよりも、大ピンチを愛でた方が良いではないか。
大人にも教訓となるような、素敵な絵本だった。幼児がいるご家庭に特にお薦めです。
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2022年9月1日時点で、6万部売れているそう。
「第6回未来屋えほん大賞」においても大賞受賞ということで、これからますます話題になりそうな気がします。
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