2024年:アンドア株式会社の研修開発最前線
新年明けましておめでとうございます。
本年も、共創による価値創造を目指して、事業ビジョンである「人とチームのリ・ブランディングで、本来の力を思いのままに」を多くの皆様と実現できるよう精進する所存です。
年賀状にかえまして、年賀コラムをお届けいたします。お時間がありましたら、どうぞご高覧くださいませ。
■2023年の実績
私たちアンドア株式会社は企業向けの研修事業を基盤に、人とチームに関する実験的な取り組みを行ってまいりました。その一つは、ボディチューン・パートナーズ様と共に、ヨットのセーリングを活用した自己内省・チームビルディングのワークショップです。また、強みとしているコーチングにおいては、ある企業の管理職の方と共に問題発見解決のフレームワークを可視化し、サービスに応用する取り組みが実現しました。
つまり、現場での共創的な実践が新たなコンテンツをうみ、さらに多くのお客様のお役に立てるという”共創循環”が奏功しました。ひとえに私たちアンドアをお引き立ていただいているお取引先様のお力添えあってのことです。深く感謝申し上げます。
■パーソナル・ブランディングでHRカンファレンスに出展
2023年11月にHRビジョン様が主催するHRカンファレンスに出展しました。小社としては初めての試みで、数多くの知見を得ることができました。
テーマはキャリア自律を実践するために、個々人がブランドメッセージを発信することを支援する「パーソナル・ブランディング」で、元大手広告代理店の大門講師の知見を借りながら、理論と実践を裏づけたコンテンツをお届けすることができました
・元大手広告代理店のマネジャーと共創
「パーソナル・ブランディング」が登場した背景は1年前の2022年です。事業構想を固める研修プログラムにおいて、参加者から「社外の人に対して自己紹介することが難しい」との相談をもらいました。
「難しい」要素を深掘りすると、自分が何を価値貢献するのかという"約束"が見つからないとのことです。この約束とは、まさに”ブランディング”そのものでした。
そこで、漠然とした悩みを大門講師に相談したところ、パーソナル・ブランディングの重要性に気づきました。また、従来の組織開発案件はインナーブランディングと定義し、ブランディングを軸に”個と組織の自律”を体系化するに至りました。
・「あまり聞いたことがない」はチャンス
HRカンファレンスは大いに挑戦する気持ちで臨みました。担当の方からは「パーソナル・ブランディングはあまり聞いたことがないテーマ」との後押しをもらいました。同時に、それは共通概念の少なさや理解浸透の難しさを物語ります。社内チームでは「伝わらなかったら、それも勉強」と、腹を括ってのプレゼンでした。
カンファレンスの結果、多くのとても好意的な声をいただきました。私たちの想定以上に、パーソナル・ブランディングへのご期待は高いものだと確信しました。2024年の重点テーマとして鋭意開発してまいります。
・人的資本経営こそ、無形資産の言語化を
人的資本経営が声高に問われています。流行り言葉で終わらせないためにも、人材開発に携わる身として、真摯に定義を追い、職場実践に結びつけなければなりません。
人的資源との呼び名から人的資本へと変わりつつある意図は、人への投資を会社の資本として捉える意図があると読み取れます。ただ、利するのは会社だけではなく、働く個人にも生きる知恵や働く面白さといった無形資産が残るはずです。企業は人の無形資産を形成する役割として、社会的公器としての責任を行使すべきではないでしょうか。
パーソナル・ブランディングは、働く個々人の無形資産を形作る上で、お役に立てるテーマです。
■きっかけ砂時計1on1ヒット
2023年の新作として、「きっかけ砂時計」を使った1on1研修があります。1on1での対話の本質をわかりやすく体系化したものとして、導入数が大きく伸びました。
・対話のつもりが評価対策になっている
1on1研修を開発した背景にも、お客様との共創があります。
こうしたお困りの本質は、1on1を知っているが、できていない”自己流対話”が多いことです。
・百戦錬磨の上司が社内1on1で陥る罠
それもそのはずです。1on1は日頃の商談や打ち合わせと全く似たようなスキルです。百戦錬磨の上司たちであれば、これまでの数々の修羅場的な会議に比べれば、メンバーとの1on1は朝飯前に感じるものです。
しかし、商談や打ち合わせと違い、社内には前述のような課題が多く見られることも現実です。やがて、メンバーは1on1への信頼をなくし、「1on1は形だけの意味がないもの」という負のブランディングさえ起きています。
そこで、コーチングの技術を体系化したきっかけ砂時計によって、1on1を学び直し、時短と納得感を実現するご支援をしています。
・平均評価は4.9/5
おかげさまで研修満足度は平均98%との評価をいただきました。
特に満足いただけた声を分析すると、以下のようなものです。
何より、講師として研修の場に参画すると、いきいきと楽しそうに1on1を試す参加者の表情が印象に残ります。
やはり、聞いてくれた体験と、目標設定を自分でを導けた感動は、どのような立場であれ仕事の面白さを喚起させてくれるものでしょう。
■問題発見解決の8ステップ誕生
2023年に開発したプログラムの一つに、問題発見解決の8ステップがあります。すでに多くの管理職研修で導入実績があり、「これまでモヤモヤしていたものがつながった」などの声をいただいています。
・リーダー、管理職の話し合いの基本が1つに
先述の「きっかけ砂時計」が1on1や会議の”運転の基本”だとしたら、問題発見解決の8ステップは”地図”です。
少し話題はそれますが、私(堀井)は組織開発を出発点に探求を重ねました。組織開発で大きな壁であったのが”話し合いの地図”です。組織におけるあらゆる多変数から、どのようなアウトプットを合意形成するのか。そこには話し合いの地図を熟知したファシリテーションの技術が欠かせません。ファシリテーションとは、一見成り行きに任せているようで、裏では緻密な設計があります。それこそファシリテーションの醍醐味です。
・1on1もファシリテーションも共通のフレームで実践すべき
一方で、1on1とファシリテーションが別物として語られることが少なくありません。最たるものは、1on1研修の講師と、組織開発のコンサルタントが、同じ事象を別々のフレームで語り、膨大な事前事後施策を提案するというものです。それぞれの信条において最善の提案であることに疑いはありませんが、限られた時間で成果を出したい現場において、複数のフレームを解釈して実践することは、最善とは言えません。
私たちアンドアの強みは、組織開発から1on1まで一貫した1つのフレームで実践と応用ができることです。
覚えることはシンプルに。応用することは多彩に。
趣味でもスポーツでも、これが自律を生み出す法則ではないのでしょうか。
・ミドルマネジャーによる変革インバスケットケースも登場
問題発見解決の8ステップではインバスケットケーススタディも開発しました。ケーススタディによって問題発見解決の実力や組織における思考の癖を容易に認知できます。
また、ケーススタディの設定はミドルマネジャーを主人公とし、ご要望の多かったミドルによる組織変革を体感し、現場での実践を議論できます。
■2024年の戦略
同業の方と話をすると、「研修はなくなるのか?」とのテーマで意見を交わすことが多くあります。
タレントマネジメント、各種サーベイ、コンサルティング、パーソナルコーチングなど、人材開発の分野では多様なソリューションが開発されています。
私の見解は
と見ています。
・企業研修はオワコンなのか?
ここで言うアウトプットとは、働く人や組織が設定する質の高い目標のことです。コンサルや研修会社がいかに素晴らしく精巧で高尚なデータやテキストを出したところで、それが働く人や組織の自己決定につながらなければ意味がありません。
さらに、研修はオワコン(終わったコンテンツの略称)との声を聞きます。ただ、私から見えるのは、10年前から進化も共創も無いコンテンツを使い続け、殿様商売的に見た目のブランディングを追い求めてきた研修コンテンツがオワコンの評価を受け取っているに過ぎません。
・淘汰される研修サービスとは
その最たるものが「形だけの研修」です。形だけの研修はアウトプットを生み出す必要がなく(正確に言うと生み出すための研修開発や臨機応変な問いかけができない)、テープレコーダーのように同じ話を同じタイミングで再生すれば成り立ちます。したがってトークスクリプトを用意すれば量産が可能で、ビジネスの発展としては賢い策でしょう。
ただ、問題は参加者にとって「意味があるのか?」です。当然ながらそうした研修が意味を持つ時代がありました。しかし、多様な働き方やキャリアを模索する昨今において、多様ではない研修に価値を感じる人が増えることはないでしょう。
その真逆はアウトプットを生み出す研修です。
各社のリアルな現場課題に基づいて研修が企画されている
現場のリアルな情報が収集されている
リアルな情報をもとに共通フレームを用いて、参加者自らが問題の本質を見つける
共通フレームを用いて、参加者自らが行動案(目標)を設定する
行動案の実践に対し、職場内で振り返りやフィードバックが行われる
こうした条件を満たすものがアウトプットを生み出す研修であり、相談が増えております。では、共通フレームとはなんでしょうか。既出の通り、キッカケ砂時計モデルや、問題発見解決の8ステップです。
・1on1の学び直しに集中特化
アウトプットを生み出す場は研修に限りません。むしろ現場での日々の会議やちょっとした雑談で”意味のある目標”が立てられれば、これ以上に嬉しいことはありません。
したがって、きっかけ砂時計モデルは1on1の”運転の基本”として、一人でも多くの人にお届けできるよう注力してまいります。
その反面、捨てることもしなければ戦略とは言えません。熟考を重ねた末に、以下の決断をいたしました。
では最後に、2つの野望をお伝えしてコラムを閉じたいと思います。
・野望1.1on1を応用して会議ファシリテーションを楽しいものにしたい
1on1と" 1onN"とも言える会議ファシリテーションの基本は同じです。つまり、私たちの野望は”会議変革”です。
詳細の全てをお伝えすることはできませんが、企業の会議はもっと生産的に、もっと楽しく、もっと意味あるものに変えられるはずです。2024年の新規リリースをお楽しみにお待ちください。また、少しでも興味があったり、コンテンツ開発に共創してもよろしい方はお気軽にご一報ください。
・野望2.1on1の出口は目標管理
1on1研修やコーチングを重ねると、「目標設定」の重要性に気付かされます。同時に、目標管理とは、この業界の師匠である五十嵐英憲氏の専門分野です。
ルネサンスというべきか、私にとって再び目標管理の本質を知りたい欲が高まってきました。また、評価のための目標ではなく、誰もがもっと手軽に”質の良い目標”に対する目が養われれば、エンゲージメントが低い組織で発症しがちな「言ったもの負け・やったもの負け文化」の改善に一歩近づくと信じています。
■頑張る人に垂れ込む暗雲に灯を照らせ
2024年もアンドア株式会社の人材開発サービスにご期待ください。
私たちの事業ブランドステートメントは
です。
他人と比べて無いものを憂いたり、評価しやすいもので比べたりして、働くことが無目的化してしまうことを多く見てきました。
さらに、昨今のSNSではそれらに輪をかけて誹謗中傷や、見せしめのような”私刑”が横行しています。
これこそが、現代のマネジメントを暗くしている暗雲なのでは無いでしょうか。
暗雲の回避ばかりではなく、明るい灯に支援がしたい。それが、私たちアンドアが挑戦する動機です。
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