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文…杉村喜光 絵…大崎メグミ『まだまだあった!! アレにもコレにも! モノのなまえ事典』

 日常生活でよく見かけるけれど、実は名前を知らない人が多そうな物と、その名前が付いた理由をまとめた本です。

 ゆる〜いイラストとコミカルな語り口なので、クスッと笑いながら読めます。

 たとえば、

 ●スニーカーの履き口に付いているシッポみたいな物
 (プルストラップ)

 ●階段の踏みしめる部分
 (踏面)

 ●「♂」や「♀」といった記号
 (マスキュラ)(フェミニン)

 …いかがですか?

 「わたしはちゃんと名前を知っていたぞ」という方はすごい!

 わたしは今例として挙げた三つとも、今回初めてその名前を知りました。

 というか特に意識したことすらありませんでした。

 いつかこうした雑学を誰かと話す機会があったら、さも前から知っていたかのように、たった今得たばかりの知識をひけらかそうと思います。

 …付け焼き刃だってことがすぐバレちゃうかもしれませんが。

 また、この本には、物だけではなく、現象についても紹介されています。

 たとえば、

 ●寝ている時にビクッとなる現象
 (ジャーキング)

 ●逆三角形に並んだ点が人の顔に見える現象
 (シミュラクラ現象)

 ●アイスティーにガムシロップを入れたらユラユラする現象
 (シュリーレン現象)

 といったもの。

 電車やバスに揺られている時、それまで爆睡していた他の乗客が突然ジャーキングを起こすところを見かけたことはありませんか?

 「ビクッ!!」としたところを他人に見られてしまった本人はとても恥ずかしそうにしますし、たまたま見ちゃった方もなんだか気まずいですよね。

 もしや、お互いに気まずくなるこの空気にも、何か名前がついているのでしょうか?

 それにしても、この本を読んでいると、世の中のありとあらゆる物や現象に名前がついていることに驚かされるだけでなく、名付け親のネーミングセンスにも感服します。

 わたしがこの本の中で特に面白いと思ったのは、立ちくらみの正式名称。

 その名も「眼前暗黒感(がんぜんあんこくかん)」!

 わたくし実は思春期の頃から「厨二病」という難しい病にかかっておりまして、「眼前暗黒感」のいうネーミングに、厨二病心を激しくくすぐられました。

 言ってみたい。

 ものすごく言ってみたい。

 クラッとした時、「眼前暗黒感にやられた…」と…!



 〈こういう方におすすめ〉
 なかなか物の名前を思い出せず、つい「あれ」や「それ」と言ってしまう方。


 〈読書所要時間の目安〉
 30分くらい。

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