著…朝田隆『現役の認知症専門医が答える そもそも認知症って何ですか?』
「認知症」という名前を聞いたことはあるけれど詳しいことは知らない…という方の素朴な疑問に認知症専門医が答える本。
対話形式なので読みやすいです。
専門用語も出てきますが、出来るだけ易しい表現が使われています。
●血管性認知症、アルツハイマー型認知症、前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症の違い
●認知症がある方と接する時のコツ
●在宅で使える介護サービスや、入所施設の種類
●認知症、せん妄、軽度認知障害の違い
といったことが紹介されています。
わたしは特に、何度も同じことを質問してくる方への対応方法のページに共感しました。
質問される側は、「何度も同じことを聞かないで!」とイラッとしてしまいがちですよね。
しかし、認知症の方には、自分が何度も同じことを聞いているという認識そのものがありません。
毎回初めて質問する感覚なのです。
本人にとっては初めて聞くことなのに、相手にイライラされてしまったら、本人は「どうして?」とますます不安になってしまいますよね。
かといって、その都度丁寧に対応していたら、質問される側も神経がまいってしまいます。
この本によると、そんな時は「大きな紙に、本人の字でメモを書いてもらう」のが一つの手段なのだそうです。
ちなみに、わたしは仕事でもプライベートでも認知症の方と関わることが多く、以前からこの方法を使っています。
誰かが書いたメモを居間などの目につきやすい場所に貼ってあげるのも良いのですが、自分の筆跡なら「本当のことだ」と納得してもらいやすいですから。
大きな紙なら失くしにくいですし。
また、物盗られ妄想のある方についても、本人が紛失した物を誰かが見つけて「ここにあったよ」と本人に教えるのではなく、本人自身が見つけられるように誘導してあげるのが大事です。
そうしないと、「あなたが盗んでここに戻したんでしょう」と言われてしまいますから。
こうしたコツを知っている人が接してくれるだけでも、認知症を持つ方のリアクションが大きく変わります。
さて、以下の文は、この本と直接関係はないのですが、わたしがこの手の本の読書感想文になるべく書き添えていることです。
同じ病名の認知症であったとしても、症状は人それぞれ。
また、同じ人なのに、日によって様子が変わることもあります。
だから、完璧な介護をしようとしても心身ともに疲れてしまいます。
共倒れになったら大変です。
もし今介護でお困りの方は、どうか一人で抱え込まずに、出来るだけ介護サービスや周りの人に助けを求めてくださいね。
「そんなことを言われても、お金の問題で介護サービスや入所施設が利用出来ないよ」と悩んでいる方は、まずは最寄りの地域包括支援センター等に相談することをおすすめします。
軽費で利用出来る社会資源を紹介してくれたり、金銭的な事情が逼迫しているならば生活保護に繋いでくれたりすることもありますから。
一人で悩むより、福祉の専門職と一緒に今後のことを考えれば、気持ちが軽くなると思います。
〈こういう方におすすめ〉
認知症に関する入門書を探している方。
〈読書所要時間の目安〉
1時間半〜2時間くらい。
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