腹=心
私は人間関係の深さを、一緒に食事をしたことがあるか、で判断している部分がある。
SNSの普及によって、人とつながりやすくなった時代であるからこそ、直に会って、料理を挟んで話をする時間を大切にしたい。
本音をいえば、私は社交的な趣味を持ち合わせていないので、コミュニケーションの時間を確保したいと思えば、どうしても食事に頼ってしまう。「なんか○○といるとき、いっつも飯食ってる気がする」と弄られたこともある。
人付き合いが得意ではないのだ。大目に見てほしい。
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同じテーブルを囲んで、腹を満たす。この行為が、親交を深めることにつながるという考えは、世間で広く共有されているものだ。
このことは、私たちが日常的に目にする、または口にする、言葉や表現にもあらわれている。
人々に特定のイメージや感覚を抱かせる、食べ物に関する言葉や表現を「ステレオタイプフード」と名付け分析する福田里香(料理研究家)は、「腹」にまつわる言葉に「心の動き」を示すものが多いことに注目する。
腹を割る、腹をくくる、腹に一物ある、腹黒い、腹を立てる……挙げていくと、キリがない。
自腹のカツ丼によって「腹」が満たされた被疑者が、結果的に刑事と「腹」を割って話すようになる。この定番の場面から、福田が「昔も今もひとは「腹=心」と捉える」(P27)と指摘している点は、大変興味深い。
ちなみに、私が冒頭で述べた「一緒に食事をしたことがあるか」云々に類するものとして、本書では「仲間は同じ釜の飯を食う」が紹介されている。私自身、無意識のうちに、「一緒に食事をすれば、ある程度腹を割って話せる仲になるだろう」と考えてきたのかもしれない。
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