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【kamebooks】たった一坪のスペースに、アイデアと愛情がたっぷり詰まった本屋さん(千葉県市川市)|本の棲むところ(1)
この連載「本の棲むところ」は、独立書店やブックカフェなど、本の置かれている居心地よい空間をふらりと訪ね、ゆるりとご紹介するコラムです。
*この記事の内容は、2022年10月執筆時点のものです。「小さな本屋kamebooks」は2024年3月にお店を閉じ、現在は同じく市川市で「ほんとひとやすみ 甲羅文庫」を始められています。
詳しくはこちら ▶ https://kamebooks.jimdofree.com
昨日はひさしぶりの晴天に恵まれたので、以前から気になっていた千葉県市川市のインディーズ書店「kamebooks」さんを訪ねました。面白いアイデアに溢れた本屋さんでしたので、さっそくご紹介させていただきます!
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「123ビルヂング」の味わい深い書体にも注目
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わずか一坪のスペースに、本がぎっしりと並べられた空間はまるで秘密基地のよう。ちょっと緊張しつつも、ワクワクが止まりません……さあ、いざ店内へ!
一般の書店では出会えない本も
コの字型に配された書架には、新刊や古本のほか、一般の書店には流通しない本やZINEなども並べられています。
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整然と並べられていてとても見やすい店内
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店内には、店主が集めたいろいろなカメの置き物や、お客さんが描いてくれたという可愛らしいカメの絵なども飾られています。いろんな人の想いが詰まった場所であることが伝わってきます。
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印象的な言葉が脳裏に語りかけてくる
見知らぬ誰かに本を贈る
kamebooksさんには「ごち本」という面白い仕組みがあります。これは買ったチケットの金額分だけ、見知らぬ誰かに本を“ごち”(プレゼント)できるというもの。“ごち”になりたい人は、壁に貼られたチケットを取って会計の際に渡せば、その分の割引を受けられます。また、“ごち”する側は、対象とする本のジャンルを絞ったり、利用者を限定することもできます。
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しょんぼり珈琲
店内を物色しはじめてまもなく、「コーヒー、飲みますか?」と店主に聞かれました。
まだ本を買うかどうかもわからないのに、いただいていいんだろうかと一瞬迷いましたが……好奇心が勝りました。
「はい、お願いします」
本を選びながらしばらく待っていると、丁寧にドリップされた珈琲が運ばれてきました。深くてとても優しい味がします。
そして飲み終えたあと、この貼り紙に気づきました。
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しょんぼり珈琲☕️
しょんぼりした方、珈琲1杯無料
しょんぼり珈琲……!
そのネーミングに思わず笑ってしまいました。なんとも言えない脱力系の可笑しさが感じられます。
すると、「こんなZINEを作ってくださった方もいまして」と店主が見せてくれたのは、“しょんぼり珈琲”に着想を得て生まれたという素敵なショートショート。ここは本を売るだけでなく、新しい物語が生まれる場でもあるようです。
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旅好きな人にお薦めの一冊
店主の温かい人柄と優しい珈琲の味にすっかり心が和むと、こんな質問を投げかけました。
「旅好きな人に、もしこの中から一冊だけ選ぶとしたらどの本を薦めますか?」
しばらく本棚を眺めてから、「旅の本ではないけれど」と言いつつ、こちらの本を薦めてくださいました。
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(毎日新聞出版)
会計を済ませると、お店の入口の脇にある扉から屋上に出ました。
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11月27日(日)に、この屋上のスペースを使って古本市が行われるそうです。皆さんもぜひこの機会に、kamebooksさんを訪れてみてはいかがでしょうか。
文・写真=飯尾佳央
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◉kamebooks
千葉県市川市大和田2-16-1 123ビルヂング4階
JR総武線本八幡駅 徒歩19分
https://kamebooks.jimdofree.com/
*写真は許諾を得たうえで撮影しています。
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