ひとすじ

50年以上ひとつの仕事を続けた方々の写真集「ひとすじ」。2024年秋に刊行予定。都内で…

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50年以上ひとつの仕事を続けた方々の写真集「ひとすじ」。2024年秋に刊行予定。都内で展示も。 仕事風景やポートレートをフィルムカメラで撮影。 noteでは50年ひとすじお仕事をされた方のこれまでの人生や仕事観に関するインタビューを読めます!

最近の記事

「おいしい」が元気の源。 中華鍋を振り続けた65年

千葉県・市川市の中華料理店「芙蓉亭(ふようてい)」。週に5日、元気に朝7時から仕込みをする山口八郎(やまぐち・はちろう)さん、85歳。 地元で愛され続け、筆者の増田と、撮影の中村も小さい頃からよく通っていました。 最近は肩や腰の痛みでなかなか中華鍋を振るうことも少なくなりましたが、いくつになっても「お客さんが美味しいと喜んでいる顔が一番嬉しい」と私たちに話をしてくれた八郎さん。おいしいチャーハンは今でも健在です! 欠かさず出勤 週5日の仕込みー今は何の仕込みをされていま

    • はいさい!沖縄に魅せられた南方写真師

      タルケンおじぃこと垂見健吾(たるみ・けんご)さんは写真を生業にして54年。 取材の傍ら、沖縄料理、泡盛の飲み方、街の観光など、僕らにたくさんのお・も・て・な・しをしてくれました。そのすべてが楽しいひとときで、既に沖縄の虜です。 3泊4日にぎゅっと凝縮して、沖縄の魅力を教えてくれたタルケンさん。 オリエオンビール片手に始まった初日の宴会からご覧ください!!   54年間、復帰直後から撮り続けてー 今日はありがとうございました。カリー(乾杯)!! タルケンさん:あー素晴ら

      • 写真集「ひとすじ」出版!11/22-24の3日間、原宿で写真展開催!

        今年の3月からnoteで連載してきた「ひとすじ」 50年以上1つの仕事を続けてきた25組を取材し、フィルムカメラで撮影するプロジェクトです。構想は今から2年前の2022年の10月、そこから約2年。 写真集「ひとすじ」として11月に出版します! 今回の企画兼撮影の中村が立ち上げた自主レーベル「桜見出版」から出版。 全部で192ページ、刊行は11月22日(金)になります。金額は3500円(税別)です。かなりボリューミーで読み応えのある1冊に仕上がりました。 通常価格より1

        • 地域のお世話おじさん兼理容師。みんな大好き加藤さん。

          茅ヶ崎駅南口を左に出て、辻堂方面に真っ直ぐ伸びる通り「桜道」。そのちょうど真ん中あたり、レトロな赤い屋根が目を引く「加藤理容室」。 店主の加藤さんとは、加藤理容室の斜め前にある中華料理店「ますや」で出会った。ますやは屋号をそのままに、全く違う経営者たちによって受け継がれる中華屋なのだが、現在店を営む4代目は私の友人で、私もよくこの店を訪れる。 私と同世代(20代後半)の仲間たちでやっているこの中華屋に、ほぼ毎日のように様子を見に来るのが、加藤さんだった。ラーメンを食べに来

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          「プロとは、人を楽しませること」靴磨きと画家、ふたすじのプロ

          東京駅丸の内北口では靴磨き、自宅アトリエでは絵を描き続けるパブロ賢次さん。 夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ、大病を患うことなくダブルひとすじを続けて今年で55年を迎えました。 加えて「音楽もプロだった」と話すパブロさん、サックス奏者として、ジャズでの日本一の夢は叶わず、一度は音楽から離れましたが、3年ほど前から近所の教室に通い始め、今ではバーでの演奏を楽しんでいます。 ジャズではダメだったが「日本一の絵描きならなれる」と思い、靴磨き・絵描き両方のプロとして、人を楽

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          「もう好きが違っとうですよ。」海の上で生きる、78歳現役漁師

          長崎県の五島列島のひとつ、福江島の西端に位置する玉之浦町。玉之浦で定置網漁業に従事する柿森 強さん、御年78歳は漁師歴62年だ。我々は、会ってそのまま柿森さんの船、「恵美丸(えみまる)」に同船し、5時間漁の様子をみさせてもらった。幸運なことに、1,000匹ものブリ大漁の瞬間に立ち会うことができた。 そのまま、柿森さんご夫婦の民宿「たまのうら」(現在は営業休止中)に特別に滞在させてもらい、恵美子さんがその日の漁で採れたお魚を贅沢に振る舞ってくれた。初めて食べる、皮つきの石鯛の

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          心と音楽で、3000人の子どもたちと通じ合う。96歳の主任保育士

          栃木県足利市、山の麓の自然豊かな土地に立つ、「小俣幼児生活団」。築170年の国登録有形文化財、趣のある園舎の周りを、子ども達が自由に駆け回るこの場所に初めて立った時、タイムスリップしたような…いや、ここはただ古いだけではない。漂う空気がまるで私の普段生活する環境とは違っていて、異世界にトリップしたような。そんな感覚に陥りました。 子ども達は、ここで過ごすことを心の底から楽しんでいて、自由に意思を持って”生活”していることが一目で伝わり、一瞬にして私はこの場所が好きだと思いま

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          「片思いなんてない」 サウナの聖地で愛し愛されて

          岐阜県大垣市には、知る人ぞ知るサウナの聖地がある。その名も「大垣サウナ」。1966年の創業以来、地元の名士から日本各地のサウナ愛好家まで、時代を超えて愛されて続けている。 いったい何がここを聖地たらしめているのか。水の都として知られる大垣市の豊富な地下水を汲み上げた水風呂は「奇跡の水風呂」の異名を持つ。また、その佇まいから内装に至るまで昭和のレトロな面影が残っている同館は「岐阜最古のサウナ」とも呼ばれる。 しかしそれだけではない。なんと言っても大垣サウナには御年82歳を迎

          「片思いなんてない」 サウナの聖地で愛し愛されて

          「アイヌ文化のおかげでお客さんがくる。こんなありがたい商売はない。」

          2024年3月下旬。都内は少し春の陽気を感じ始めたタイミングで釧路へ。 想像より雪がない釧路駅からバスに揺られること約2時間。真っ白になった阿寒湖を横目に、アイヌの村を意味する「アイヌコタン」に到着した。 「アイヌコタンにお越しの皆様へご案内します〜」という女性のアナウンス声やアイヌの楽器であるムックリの音が乾いた空気に響き、雪がしんしんと降り続ける、そんな場所だ。 今回はお店を始めて51年、チニタ民藝店の店主、西田正男さんとアイヌ刺繍をやられている香代子さんご夫妻にお話

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          「牧場を守るためには、攻め続けないかん」二人三脚で探り当てたチーズづくり

          神戸の閑静な住宅街を抜けてすぐの場所に弓削(ゆげ)牧場はある。 牛舎だけでなく、チーズ工房、チーズハウス「ヤルゴイ」、バイオガス施設、畑など多種多様な施設が集まった牧場だ。 今回お話を伺ったのは、弓削 忠生さん・和子さんご夫妻。 「牧場を守るために攻め続けないかん。」 今でこそ、高級ホテルや百貨店でも取り扱われているチーズを製造しているが、弓削牧場の初代である吉道さん亡き後、牧場の存続のために1冊の本からチーズづくりを始めた。その背景にある挑戦や思いについて、おいしいチー

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          【中間まとめ】これまでのインタビュー全15記事と特別編4記事紹介

          取材と撮影は去年の3月から、そして今年の3月からは毎週木曜日にnoteを更新開始。これまで15つのインタビュー記事と4つの「ひとすじ」制作に関する特別記事を公開してきました。 世の中には記事だけではなく、動画や音楽などのコンテンツが大量に流れ、溢れている時代。今まで上げててきた記事もその荒波に飲まれ、読んでいただきたい人には届いていないかもしれません。 お盆でゆっくりされている方も多いであろうタイミング。職種はバラバラ、共通点は50年以上ひとつの仕事を続けている方々の、こ

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          インドネシアで『ひとすじ』な人を探してみた!

          いつもお読みいただきありがとうございます。『ひとすじ』発起人 兼 写真を撮っている中村創です。 今回は通常のインタビュー記事ではなく、特別編。先月インドネシアを訪れた際に、働く / 続けることに関して新たな気づきがあり、記事にすることにしました。 (最近の特別編:『ひとすじ』のいきさつ) 海外でも取材&撮影したい2024年7月、インドネシア人の友人の結婚式参加のために首都ジャカルタに行ってきました。 今やっている『ひとすじ』の海外編もできたらいいなとボンヤリ思っていたの

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          占うことは、困った人に寄り添うこと。

          多くの占い店がひしめく、横浜・中華街。メインストリートに面した、「華陽園」で働くのは、この道50年の葵和歌先生。 タロット、手相、占星術…様々な方法で占いをすることができるという葵先生ですが、特にタロットをメインに多くのお客様を占っているのだそう。 初めて葵先生のところに伺う際、私は、占いをしていただくこと、お話を聞かせていただくこと、その両方に緊張していました。しかし、占いをしてもらううちにその緊張はほぐれ、柔らかな葵先生の物腰に身を委ねながら、心地よい時間を過ごしたので

          占うことは、困った人に寄り添うこと。

          『ひとすじ』のいきさつ

          こんにちは。ひとすじメンバーの後藤です。 今回はインタビュー記事はおやすみ、プロジェクトのヒストリー編です。 (前回のヒストリー編:「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由) なぜ『ひとすじ』というタイトルに辿り着いたのか、その裏側を書いてみたいと思います。 言葉や名前の説明をすることは、時に野暮だったりします。 名前って、その名前がついた瞬間から、何故だかはじめからそれ以外なかったみたいに思えてくるからです。 『ひとすじ』も、今となってはある意味そういう言葉のよう

          『ひとすじ』のいきさつ

          100歳の現役薬剤師「今日も街のみんなの元気のために」

          板橋区小豆沢(あずさわ)、周辺にいくつかの薬局が立ち並ぶエリアに、薬局としては珍しく暖簾を出し、不思議で温かな雰囲気が目を引く「ヒルマ薬局小豆沢店」。 2018年に世界最高齢の現役薬剤師としてギネス記録にも認定された(2024年現在は別の方が記録を更新)、比留間栄子さんは、今もこの薬局で働いています。 日々お客様の体調や様子に耳を傾け、心と体を癒す薬剤師であろうと努力を続ける栄子さん。 戦争・貧困、厳しい時代を息抜き、今も生かされている命と新しい毎日に感謝しながら前向きに日

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          「苦しみは、目だけでは見えない」神父に憧れたパン屋生まれの少年

          晴れた冬の日曜日。福岡県・博多駅は、年末の雰囲気を帯びて、いつにも増して賑わっていました。 そこからタクシーで10分あまりの、街角にそびえる品の良い建物。美野島司牧センターです。 神父のコース・マルセルさんは、この仕事を始めて52年。日本での活動も50年になります。 「日曜にはミサがあります。取材も兼ねてぜひご参加ください」とお声掛けいただき、ひとすじチームは5名でお伺いしました。 約1時間のミサは、そのほとんどがスペイン語。ライターの後藤にとって、馴染みのない言語で行われ

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