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日刊ほぼ暴力

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・毎日更新。・400字以上。・暴力重点。・文章を書くこと、特に継続して書くことの練習としてやっています。
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#日刊ほぼ暴力

日刊ほぼ暴力#振り返り

こんにちは。氷谷八尋です。
今年の初めから毎日欠かさず投稿してきた「日刊ほぼ暴力」ですが、おかげさまで無事365回まで到達しました。マジで?
一年のたつのが速すぎて正直なんも頭が追い付いていません。小説も書いてないし。

そう、私は今年、小説を(ほぼ)書いてない……!暴力更新が負担になったとも言いがたいし、これは完全なる、怠惰……! 許されない……私の中に眠っているアイデアに対する冒涜……不誠実…

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日刊ほぼ暴力#365

人のものでも獣のものでもない叫び声が、澱んだ市街に谺する。縦に裂けた口から涎を垂らし、全身から疣のように飛び出た無数の目玉を狂喜に血走らせて、それは目の前に立ちはだかるちっぽけな二つの影を見下ろした。
「大丈夫、落ち着きな。私がなんとかしてやるから」
背後で震える少年を振り返り、その女は自信に満ちた声でそう言った。女は大柄で、腰や脚に巻いたベルトに幾本もの物騒な刃物を差していたが、その身なりはボロ

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日刊ほぼ暴力#364

くぐもって聞こえる断続的な絶叫が、たすけてくれ、と繰り返していることに気がついた瞬間、少女はようやく放心から覚めた。同時にその顔がみるみる青ざめ、瞳に恐怖の涙がにじむ。
「あ、あう、ど、どうすれば」
目の前のトラップボックスから突き出た青年の両足は、壊れた玩具のようにバタバタと激しく暴れ続けている。彼の上半身は箱の中だ。サメの歯のような鋭い棘をびっしりと縁に生やした箱の蓋が青年の腹に噛みつき、閉じ

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日刊ほぼ暴力#363

血の川と化した細いコンクリートの道を、白い素足が踏みつける。染みひとつない雪のような肌を、跳ねた血液が斑に汚す。それを全く意に介する様子もなく、ぱしゃぱしゃと水音を立ててその女はこちらに歩いてくる。チェシャ猫のような笑みを浮かべたまま。
「あ、――」
逃げなければ。でも、彼を置いて? 私は数メートル前に転がっている生首を見下ろす。当然、もう死んでいる。私だけでも逃げるべきだ。そう思っても足は動かな

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日刊ほぼ暴力#362

巨木のような腕が撓み、筋肉の軋む音がその場にいる兵士ら全員の耳に届く。巨人の全身に幾重にも絡み付いた鎖は身動ぎのたびに深々と肉の中に食い込み、もはや外からでは見えぬほどになっている。傷ついた全身から血飛沫を撒き散らしながら、巨人が再び身を捩って咆哮する。大地に固定された鎖の根本を守り、円形に怪物を取り巻く兵士らは顔を見合わせた。鎖の頑丈さは魔術師のお墨付きだが、このままではやつの四肢のほうが先に千

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日刊ほぼ暴力#361

地を蹴る音だけを残して、真正面にあった少年の姿が消える。俺は迷わずにトリガーを引く。狙いは頭上。視線は残像に引き付けられたまま、銃口だけが正確に本体を捉える。BLAM ! 手首に重い反動、返ってきたのは数滴の血と笑い声。
「はは」
羽のように軽々と身を翻し、少年が背後に着地する。俺がそちらを振り返る動作の間も、銃口はその軌道を忠実に追いかける。BLAM BLAM BLAM BLAM ! マズルフラ

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日刊ほぼ暴力#360

その廃ビルの5階が、我々の探し求めた男の王国だった。それより上下のフロアには少なからぬ浮浪者が寝泊まりしているが、5階はその男一人が占拠して他の者は誰一人踏み込むこともないのだという。
「奴に脅されでもしているのか」
「さあな。それが誰も知らないんだよ。あいつはここで一番の古株でな」
1階で捕まえた浮浪者の男は、私の助手が渡した煙草を長々と吹かした後にそう話した。
「あいつには近づくな。5階には絶

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日刊ほぼ暴力#359

「もう、みんな死んじゃったのかな」
「どうだろう。そうだったら、どうする?」
「さあ。それよりどっかあったかいとこ行こうよ。寒いから」
撃ち尽くしたリボルバーをダッフルコートの内ポケットに押し込む。弾が補充できるかは分からない。ゲームみたいに都合よくその辺の警官の死体から拾えたりするなんてことはないと思うけど、まあお守りみたいに持っていたって損はないだろう。
「そうだね。凍えて動けなくなったらやば

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日刊ほぼ暴力#358

割れた窓から流れ込む冷たすぎる外気が、腫れ上がった頬の痛みを冷やしていく。ケロイドまみれの痩せた腕で膝を抱える少女は、今さらのようにがたがたと震え始めた。目の前にはひっくり返ったテーブルと椅子、一人ぶんしかない食事、父親の死体。どちらを向いているのかも分からないほど破壊された頭、数えきれないほど穴をあけられた胴体。そして、返り血を頭から浴びた真っ赤な男が少女を見下ろしている。
「ありがとう」
少女

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日刊ほぼ暴力#357

黒い血に濡れたバトルアクスを亡者の脳天に振り下ろす。頭蓋が脆く圧し砕け、腐れた脳が飛び散った。止まぬ雨と血にぬかるむ大地に倒れ、虫のようにもがきだす骸に目もくれず、彼は既に次の亡者に向き直っている。汚れきった彼の鎧にしがみつこうとする骨と皮ばかりの手を振り払い、よろめいたその敵の首を荒々しく切り飛ばした。黒い血と腐臭が溢れ出し、首を失った身体は大地に転がって、やはり虫のように手足を見苦しく動かして

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日刊ほぼ暴力#356

彼は天を振り仰いだ。乾いた晴天を覆い尽くす、驟雨の如き無数の矢。放物線を描いて彼の頭上へと殺到する鏃の群れを、彼は澱んだ無関心な瞳で見つめる。その指がふらりと持ち上がり、指揮者のように、あるいは見えない記号を描くように空をなぞった。次の瞬間、どこからともなく白い電光のような何かが宙を走った。それは矢の雨のただ中を駆け抜け、数十本の矢を空中で弾き飛ばして彼から離れた地面に叩き落とした。残りの矢は軌道

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日刊ほぼ暴力#355

湾曲する白銀の刃の先端を彼女は握りしめた。ほっそりとした手を包む白手袋が裂け、瑞々しい果実を絞ったように、鮮血が溢れだした。
「何をするの。ああ……」
眼前に立つ彼女の母は驚いて目を見開き、ついで彼女の足下の絨毯を見下ろす。その高価な品が汚されてしまうことが、この場で真っ先に憂うべきことだとでもいうように。事実、母がそう感じていることを彼女は分かっていた。そのような母でなかったら、こうして剣を向け

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日刊ほぼ暴力#354

私は口を開いた。赤い炎の光が喉の奥から零れ出て、眼下にひしめく蟻のような軍勢を照らし出す。私の攻撃を察して我先に逃げようと慌てふためく顔、恐怖に硬直して私の顔をただじっと見上げる顔、蛮勇に己を奮い立たせて勇ましく剣を掲げ叫ぶ顔。ひとりひとりの顔が私にははっきりと見えている。熱がそれらの景色をぐにゃりと歪ませる。
(さようなら。あわれな者どもよ)
私は喉を限界まで開き、そして息を吐いた。身体中の熱と

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日刊ほぼ暴力#353

首を落とされたサカナの鰓がまだ動いていた。水と混ざりあった血がまな板の上に薄く広がっている。ぬるい潮風となまぐさい臭いが鼻腔に充満する。
「人間のお客さんとは珍しいね」
野太い声は私に向けられていた。私は決して店主と目を合わせないよう、曖昧な角度で顔をもたげたまま頷いた。店主の下顎と胸らしき部分だけが目に入る。てらてらと光る灰色の鱗の合間から、赤黒い肉が覗く。錆びた分厚い包丁を握る手は、びっしりと

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