ヘヴィ・メタルシーンを辿る旅 ver.3 / 様式美の要素:叙情的なギターソロ、ツインギターのハーモニー / メタル史:北欧メタル / オジー・オズボーン、マイケル・シェンカー&メガデス
3回目の今回はこの曲からスタート。
BABYMETAL- 紅月
このグループ。こちらもかなり誤解されておりますねたぶん。実はライブに行くと普通にモッシュやらなんとかサークルとかが発生しています。アリーナとかで。。また、かなり楽曲も質が高い。
たしかに元々アイドルグループ出身ですし、メタルを知らなかった子が歌っている事を疑問に思うこともあるでしょう。
ただ、少なくとも、バックバンドは超一流、パフォーマンスも一流、そしてボーカルはそれ以上に素晴らしいといえます。
オリエンタルなムードや日本のファッションカルチャーに惹かれた部分もあったでしょうが、音とパフォーマンスで、メタリカのラーズを認めさせただけで十分かなと思います。
今回のテーマはメタル特有のギターのメロディ。↑の動画2:45くらいからを是非。これぞ、メタルのギターソロ!
ヘヴィメタルの構成要素その3:メロディアスなギター、ツインギターのハーモニー
メタルの重要な様式美の構成要素のうち、今回は、メタル特有のギターソロ、ギターのメロディ、ツインギターのハーモニーについてご紹介します。
哀愁、抒情的なギターの響き
メタルを聴き始めてまず感じたのは、それまでたくさん聴いていた日本のロックバンドとの大きな違いでした。それはギター。
このあたりはプロデュースやらの影響も大きいと思うんですが日本は歌がある楽曲では、やはり歌を中心に聞かせようとする音作りをしているので、ベースは大概、アップテンポの曲ではあまり聴こえないですし、ドラムもあまり迫ってこないし、ギターもボーカルの邪魔をしないボリュームになってたりしますね。
また、メタル直結よりもアメリカのブルーズ主体のハードロックの影響を受けたバンドが多いせいか、ギターソロ自体もあまり聴かれません。日本のバンドで印象的なギターソロを挙げろと言われるとちょっと困ります。
ボウイの布袋さんもライブでは違うんでしょうけどアルバムではあまり聴こえないし(あったとしてもかなり短い)、RCサクセションはそういうバンドではないし、レベッカはギターよりもキーボード主体(実はかなり技術水準の高いサポートギタリストがいて、ライブでは結構自由に弾きまくってますが)
これはおそらくルーツの違いかなと。
X ジャパンや、VOW WOW、ラウドネスなどメタル直結のバンドにはしっかりとしたギターソロがありますので。。(紅やサイレントジェラシーにもありますね)
ルーツというのは、やはりファッション的にはアメカジやアイヴィールック、ラルフローレン、リーバイス、ブルックスブラザーズ!!のようなアメリカの影響を音楽的にも受けまくっていることがありますね。
(ボブ・ディランの影響のフォーク、アメリカでロックムーブメントを起こしたエルヴィスらの影響下にあるグループ・サウンズの時代から。。)
メタルという音楽に早い段階で出会って良かったという思う理由の一つはこの点にあります。
この大まかにいうとメタルとハードロックの音色的な違いを理解することができましたし、それはつまり、英国の民族音楽(日本の演歌、 民謡のような日常風景の喜怒哀楽や怨念がこもったもの)からの流れに70年代ロックがあるからですね。
そういうことが経験的にわかってきた。
では、メタルバンドたちはどういったギターのメロディを残してきたのか。それを紹介していきます。
日本のロックバンドとの違いなどを思い浮かべつつ聴いてみていただければと思います。
*ギターのメロディの始まる時間を記載したので、そこから聞いてみることもおすすめです。
メタルバンドのギターソロのご紹介
MEGADETH- Countdown to Extinction
メタル初心者には、ややとっつきにくいかもしれないミディアムテンポの名曲。いまや、日本のお茶の間で見かけるマーティ・フリードマンがギター弾いてます。彼の在籍時、攻撃性からメロウなメロディアスな路線の楽曲が増えていきます。
日本人女性と結婚し日本語ペラペラ、日本の哀愁や日常の鬱屈を歌った演歌民謡、歌謡曲にも精通した彼が持ち込んだものは大きい。
この動画、3:03から繰り出される必殺のギターソロは、ああ、これを待っていた!という情感、叙情性に溢れています。
ACCEPT - This One's for You
メタルの鋼鉄感の部分を象徴するこのバンドは、クラシックをモチーフとしたメロディアスなギターの響きが随所に聴かれます。2:44あたりからに注目。ムソルグスキーみたいなソロが炸裂しています。
Judas Priest - A Touch of Evil
メタルのアイコン、ジューダス・プリーストのこのメディアムテンポのこの楽曲もまたギターのメロディがすばらしい。2:56頃から、ギタリストのグレン・ティプトンの魂のこもったギターが響き渡ります。
U.D.O - Heart of Gold
ウド・ダークシュナイダーというボーカリストの金切声だけが注目を浴びる傾向がありますが、実はこのバンドもまたギターが第二の主役なんです。2:48からのピアノに続くソロには言葉が出ないですね。
MSG(マイケル・シェンカーグループ)- Captain Nemo
ギターの神、マイケル・シェンカーは1曲まるまる哀愁のメロディの楽曲を多数残しています。
Iron Maiden - Infinite Dreams
アイアンメイデンは、実は6枚目のアルバムから抒情性に磨きがかかります。それまでのツインリードとは明らかに違う。途中加入のギタリスト、エイドリアン・スミスの本領発揮ですね。これに触発されて、もう一人のギタリスト、デイブ・マーレイもすばらしいメロディセンスを披露してくれています。
さて、今回の項目最後には、個人的にメタルという音楽ジャンルの中での最高峰のギターソロと思っている楽曲をご紹介します。
Ozzy Osbourne- Good Bye to Romance
ギターといえば、ランディ・ローズを外すわけにはいきません。このクラシカルなギターの響きは、誰も真似ができない領域に入り込んでいます。オジーのバンドはこの後も4名ほどギタリストが加入するんですが、誰一人としてランディのようなギターの音色を出すことはできていません。
そのくらい、特別で、伝説的なギタリストですね。1982年25歳で、ヘリの事故でこの世を去るなんて、、、。
この曲、1:35からのソロは彼がその後の事故を予見して彼自身に捧げたメロディのようにも見えますし(楽曲タイトルはGood Bye to Romance)、オジーへの別れのメロディにも聴こえます。
ヘヴィメタル・ハードロックの歴史vol.3〜北欧メタル
英国で湧き起こったメタルのムーブメントNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の波は米国に移り、ここで今度はLAメタルというムーブメントが起こります。これについては、ハードロックの回(メタルの後にまた6回シリーズでハードロックのことを書きますので)にするとして。
この波は北欧やドイツにも波及していったわけですが今回はその北欧からのバンドたちを取り上げます。
共通するのはキーボードを効果的に使った叙情的かつ哀愁のメロディ満載である点。
EUROPE
ファイナルカウントダウンというヒット曲で知られるこのバンドはスウェーデンから。このバンドに見られる雰囲気が北欧の雛形となります。
ファーストアルバム収録のこの曲も出だしのキーボードから哀愁満点です。3:04からのソロも良いです。
Europe - Seven Doors Hotel
このバンドのギタリスト、ジョン・ノーラムのルーツは70年代から活躍する人間国宝ゲイリー・ムーアでした。マイケル・シェンカーと並び、元祖泣きのギターと言えるかもしれません。
Gary Moore - Empty Rooms
この曲の3:51からのギターソロはゲイリー節満載です。
そして、これが必殺のブリティッシュバラード。
Gary Moore & Phil Lynott - Parisienne Walkways
Pretty Maids
デンマークからはジョン・サイクスのこの曲をカバーしたことでも知られるバンドが登場しました。
John Sykes - Please Don't Leave Me
素朴ながらも絶品のブリティッシュバラード。3:03からのギターソロは必聴。切ない。すばらしい。
Pretty Maids - Please Don’t Leave Me
プリティ・メイズのカバーバージョン。情感がよく出ていますね。3:13からのギターも良い。
Pretty Maids - Intro〜Back to Back
メタルの形式に則った、イントロからのスピードチューン。イントロはあの、カルミナ・ブラーナ。ここからたたみかける楽曲はメタルの魅力満載な訳ですが、2:37からのギターのハーモニーも必聴です。
TNT
ノルウェーからはTNT。
これはアルバムのオープニングなのですが、オープニングがアルバム全体のイントロにもなっているという特筆すべき楽曲、というかイントロ。この圧倒的な叙情性の波は、これだけでアルバムが名盤であることを証明している様なものですね。
TNT- A Nation Free
TNT- Tonight I'm Falling
この疾走感漂う雰囲気のバラードも2:23からのソロも味わい深い。
Yngwie Malmsteen
そして、スウェーデンからはこの閃光の速弾きギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンが登場。彼の登場はエディ・ヴァンヘイレンに匹敵する影響を全世界のギター弾きに与えたのではないでしょうか?
彼はクラシックを下地にし、キーボードを効果的に使うことで、ネオクラシカルというサブジャンルを確立。原型となります。Xジャパンのルーツですね。
単に早いだけではなく、哀愁や叙情性がありメロディアスなのが彼のギターの特徴。
彼のあこがれはディープパープルのリッチー・ブラックモア。リッチーもまた、クラシックを下地にギターを奏でていました。
叙情的なギターソロの原型とも言えますね。例えばこの楽曲の2:15からのソロは絶品そのもの。
Deep Purple - The Gypsy
では、この項目の最後はイングヴェイのこの曲にて!
切ないメロディがたまらないですね。素晴らしい。
Yngwie Malmsteen - You Don't Remember , I'll Never Forget
2:32からのメロディに酔いしれてください。
今回の記事全体の最後を飾るツインギターのハーモニー
MEGADETH- She Wolf
マーティ在籍時代はやはり楽曲的に最強です。2:40から教科書的とも言えるツインギターのハーモニーを聞くことができます。
ツインギターのハーモニーという意味ではこの曲がメタル界最高峰かなと思っております。そのハーモニーを堪能してみて下さい。
↓ライブでは、かなり自由奔放。これもまた良し。
さて、次回は、哀愁のメロディについてです。
ギターソロだけではなく、楽曲にも英国の湿り気漂う哀愁がふんだんにまぶされています。それを次回ご紹介します。
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