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ブリットポップとは? 〜 90年代の音楽シーンを辿る旅 Vol.3

1990年代の英国に登場した音楽ジャンル

どこか後期のビートルズを思わせるような曲調。適度にロックで、適度にポップで、適度の哀愁のあった曲の雰囲気。

こういった雰囲気を持つグループが90年代英国に登場しました。これらを称して、ブリットポップと呼ばれるようになります。


実は、この音楽が流行った背景にあるのは、リバイバルとも言える音楽の流れでした。

リバイバルとは

1970年代中頃、パンクムーブメントから派生したニュー・ウェーブが英国で大流行。テクノ音楽とも融合し、西ヨーロッパで機械的なポップが80年代に流行っていくきっかけともいえます。

このブームが米国に飛び火して、モータウンなども巻き込んで、80年代を通して大きな流れとなります。

これがビートルズ以来の英国アーチストによる音楽的侵略という意味で「第2次ブリティッシュ・インベイジョン」と呼ばれます。


このニュー・ウェーブのアーチストたちは、前述のように、適度にロックで、適度にポップで、適度の哀愁のある雰囲気を醸し出していました。キーボードの鍵盤の音を効果的に活用していたり、音の隙間をキーボードで埋めていったりしていたわけですね。

そして、時は下り、90年代に差し掛かった頃。

英国でも、あのニルヴァーナのグランジが流行していました。しかし、本国では94年にカートが自殺してあっという間にブームは終焉。


そこに現れたのが、懐かしさを兼ね備えた、原点回帰のような、70年代末のニュー・ウェーブの進化系・リバイバルのようなオアシスとブラーを中心としたブリットポップという音楽でした。

ブリットポップ

ブリットポップとは、ブリティッシュ・ポップの略語。

繰り返すと、適度にロックで、適度にポップで、適度の哀愁のある英国的な雰囲気を持った音楽の総称ですね。

これは、音楽、または時代からのメッセージだったのかもしれません。

つまり、「グランジのような音楽が流行ってから、音楽からメロディが消えていったんだ。そんな音を「流行というムード」は他のアーチストにも求めている。けど、そんなことをしてどうするの?それは本当に君たちが好きな音楽なの?君たちが聞きたい音楽なの?俺たちは「流行の空気に流されずに」やりたいことをするから、みんなも聞きたい音を素直にききなよ、、」という音楽からのメッセージ。


オアシスとブラー

ブリットポップはオアシスとブラーを軸に語られています。彼らは、グランジ亡き後、自分たちの自由を謳歌せんとばかりに、マスコミや周囲のゴシップ的なネタ話から、ライバル関係を築き上げていきます。


その気になって、マスコミの前に好んで登場して好き勝手なことを語り始めます。


この音の派生から、レディオヘッド、ザ・ヴァーヴ、スピリチュアライズド、などが登場、英国では一大ブームとなっていきます。


映画もこれに追随し、96年にはユアン・マクレガーの「トレインスポッティング」が公開。この映画の影響や、ブリットップムーブメントの影響で、パンキッシュな、階級社会の英国でも最下層にいるような面々が徐々にメインストリームに登場するきっかけになりました。


こうして英国に巣くっていたアンダーグラウンドの面々が、表にでてくることになったわけです。そうすると、音はどうしても極端に激しいものになり、どうしても生活に根差した怒りがでてくるわけで、徐々にポップ化、大衆化していったブリットポップとは相性が悪くなるわけです。

そんなのはまったく面白みがないとばかりに、ブラーのデーモン・アルバーンがブリットポップ終了宣言を一方的に行い、このブームも数年で終わっていくのでした。

オアシスも、ブラーもその後は、音をより激しい方向に変えていきますが、哀愁やポップさが失われてしまいました。そうすると、あの雰囲気が変わってしまって、今は、過去の曲を求める聴衆の期待に答えるグループとなっているような気がします。

オアシスからしたら、ブラーが何を言っても問題ないって思っていたのかもしれませんけど、、思ったよりも自分たちもブリットポップに染まっていたということなのでしょう。

とはいえ、何かに縛られず自由気ままな路線を選んでいったという意味では、良かったのかもしれませんね。

というわけで、90年代英国で短く咲いたブリットポップの紹介でした。

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