「Knockin’ on Heaven’s Door」 ボブ・ディラン ~ 普遍的な時代を越えた鎮魂歌
この曲とは、、、ガンズ・アンド・ローゼスのアルバム『Use your Illusion 2』に収録されていたカバーバージョンが最初の出会いでした。
当時は、湾岸戦争があったり、東欧の内戦があったりと、時代が大きく動いていた時期でした。ですので、歌詞を読んで、「ああ、湾岸戦争に行った兵隊の話かな」と思ってました。
湾岸戦争はベトナム以来、本格的にアメリカが主軸となって参戦した戦争で、パトリオットミサイルとか当時の最新兵器が空を飛び交う映像がやけに印象に残っています。
日本は、バブル崩壊直前で、戦争開始時期はまだその影響もさほどなかったように思いますが(戦費支払いなどで、いろいろあったのは、寺島さんの書籍などに詳しいです)、これをきっかけにして、音楽のシーンはだいぶ暗いものになっていってしまったんですよね。
この曲はボブ・ディランのアルバム『ビリー・ザ・キッド』が初出であるように西部開拓史のガンマンの話。
まさに、今、生命が燃え尽きんとするその刹那、彼の目には天国のドアが映っていた。
というストーリー。
でも、よく考えると、湾岸戦争の事だと思って聞いても、内容に大きなずれは無いですし、アメリカの南北戦争や、第2次世界大戦、ベトナム戦争のことを歌っていたとしても、齟齬がない内容。
ということは、この歌詞は普遍的であるということかなと思います。普遍的な時代を越えた見えないパワーをもった歌詞であり、曲なのだなと。。
時代を越えた鎮魂歌にも聞こえます。
歌詞は非常に短いです。
シンプルであるがゆえに、わかりやすく、、伝わりやすい。普遍的な魅力のある楽曲だと思います。
そして、あの時代、どんどん音楽の音が、楽しみよりは、怒りになっていっていくのを目の当たりにして(ポップなバンドがどんどんヘヴィになっていくのを悲しんでいたりして)いましたので、なんとなく世界が暗くなっていったように思います。
そういう意味では、「天国のドア」の暗喩として、90年代前半、「音を楽しむという意味の音楽」が本来の意味を失って、死にかけていた、つまり「本来の音楽の意味」が失われていくときに「音楽」というもの(の魂)が見ていた風景のことだったのかもしれないと感じています。
ちなみに、ガンズ・アンド・ローゼスバージョンは、かなり秀逸なので、ぜひご一聴ください。本家以上だと思います!
*ガンズは、カバーがどれも秀逸です。ポールの「Live and let die」、ストーンズの「Sympathy for the Devil」とか。