レコードジャケット博覧会シリーズvol.9 / デザイナー、キーフ編
さて、数多く聞いてきた音楽の中でも、これぞ!!というジャケットにたくさん出会いました。そんな記憶に残って、LPがあるならLPで持っていたくなるような、そんなジャケットを何回かに分けてご紹介してみます。
今回は著名なデザイナー、マーカス・キーフが手掛けたジャケットをご紹介します。後年は映像ディレクターの分野に進出するなど活躍した方で、一言でいうとシュール。
不可思議な世界にご招待いたします。
Warhorse「Warhorse」
軍馬(warhorse)。。ひと時の休息。
戦場をかける軍馬にも、こんな安らぎの時間がある。戦場に流れる血生臭い時間と、安らぎのひと時の時間。同じ時間でも、同じ場所でも全く違う「とき」というものが、流れている。
Fair Weather 「Beginning from an End」
タイトルは、終わりからの始まり。繭のようなものにくるまったことが終わりではなく、新たな進化への始まりということなのでしょうか。
Jimmy Campbell「Half Baked」
アルバムタイトルは、半分まで調理済。half baked。この道化が意味するところは何なのか。旅から旅へとあらゆる地域を辿る興行も、、そろそろ半分、一休み??というところなのでしょうか?
Zior「Zior」
カタカナ表記「ザイオール」(ロシア語っぽくよむなら、ツィオールですかね)。英国音楽史上、黒魔術的な物を扱ったのはオジーオズボーンがいたブラックサバスですし、あのレッド・ツェッペリンも「天国への階段」の逆回転などに黒魔術的な要素を仕込んだと、まことしやかにささやかれています。このザイオールも黒魔術を持ち込んだ一味。音はサイケデリック系。
ジャケットもまさにその世界。
Rod Stewart「An Old Raincoat Won't Ever Let You Down」
タイトル直訳「決してあなたを失望させない古いレインコート」。レインコートは雨から人を守る役割。とするならば、このレインコートを着た人物はその擬人化なのでしょうか?
アルバム内にはトラッドの「Man of Constant Sorrow」が。(これ、映画「オーブラザー!」(ジョージ・クルーニー主演)の有名なシーンでかかっていた曲です。)この曲の直訳。「いつも悲し気にたたずむ男」。。
これがこの擬人化されたOld Manなのか??
Black Sabbath「Paranoid」
オジー・オズボーンのブラックサバス、初期のヒット曲「パラノイド」を含むアルバム。妄想というタイトル。めまい(vertigo)というレコードレーベルからのアルバムは、まさに、妄想の果ての、めまいのような構図でした。
✳︎今のレーベルは、ワーナーブロス。
Colosseum「Valentyne Suite」
バレンタイン組曲。さながらバレンタインに宇宙との交信をしているような。。
Dando Shaft「Dando Shaft」
英国トラッドロックグループ。とある小説の主人公の名前から取られたバンド名。
すでに営業を停止し、荒れ放題の遊園地。いわば命を失った状態。対照的に残されたメリーゴーラウンドの躍動感よ。
Nirvana「Local Anaesthetic」
局部麻酔というタイトル。。この真っ白な人物は何をイメージしているのか?涅槃(バンド名→Nirvana)の世界に入り込んでしまっていて、その境地にたたずむということをタイトルとして表現したのか??どうであるにせよ印象的なジャケットですね。
Black Sabbath「Black Sabbath」
黒い安息日。オジー・オズボーンの在籍していたバンドのデビューアルバム。黒魔術的な要素を音楽性やイメージ戦略に活用したバンドのデビュー作には、魔女がたたずんでおりました。
Affinity「Affinity」
池のほとりでぼんやりと座っている女性。何を考えているのか。。日本風な詫び寂びや、無常感すら感じさせるジャケットデザイン。
David Bowie「The Man Who Sold the World」
世界を売った男というタイトルのジャケットは女装したデイヴィッド・ボウイ。
グラムロックは性を超えた、トランスジェンダー的な意味合いもありましたが、グラムロックへの一つのファッション的な表現なのでしょうか。。
という事で、Vol.6のヒプノシスに続いて、レコードジャケットデザインの雄、キーフを取り上げてみました。
どれもLPの30センチサイズで見ると、CD とは感じ方が全く違います。機会がありましたら、レコードを手に取って眺めてみてくださいね。
では、今回もお読みいただいてありがとうございました。
次回以降は、スペインのデザイン、南米のデザイン、ジャケットアーチストとしてはロジャー・ディーンを取り上げます。
引き続きよろしくお願いいたします。
◆過去記事
(Vol.4以前は、Vol.5の記事から辿っていただけます。)
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