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「幸福論」 椎名林檎


2022年の総合幸福度ランキングは、1位がフィンランド、2位がデンマーク、3位:アイスランド、4位:スイス、5位:オランダ、6位:ルクセンブルク、7位:スウェーデン、8位:ノルウェーというように、上位8カ国をヨーロッパ、主に北欧諸国が独占しています。特にフィンランドは5年連続で1位を獲得しています。


幸福度を数値化したランキングです。最新版の結果を見てみると北欧諸国が目立ちます。

この北欧諸国で幸福度が高い理由は何かあるのでしょうか?

幸せには、「短期的な幸せ」と「長期的な幸せ」があるとのこと。

「短期的な幸せ」は、ある特別な状況で感じる強いポジティブな感情。いい服を買う、いい大学に合格する、結婚するだとか。すごくわかりやすいけど、数日、数週間も経てばすぐに忘れちゃう、一時的な感情です。

「長期的な幸せ」というのは、もっと心の奥底から感じる、自分の人生に対する満足感。夢を実現したい、こんな世界にしたい、あの人のためになりたい、そういった夢や目標へ向かっていく時に感じるのが長期的な幸せです。これは、時と場合によって変わりにくい。

これらは、英語ではいずれも
「happiness」
となるのでなかなか区別しにくいとのこと。

そして、デンマークにおいては両者合わせ
「Security(安全)」
が最も重要だと。
セイフティネットですね。税金などがうまく回っているということなのかもしれません。

ただ、その反面、社会に生活の一部分を任せることができるので孤独になってしまう方もいるようで(一人でも生きていける)、自殺者も少なくないそうで、このあたりをマイナス面ととらえているとのこと。

また、デンマークは労働時間が法制化されていて一人当たりの労働時間は短い。なのに、名目GDPでは(2013年当時で)日本の1.7倍。これについては、

デンマークの人々は仕事に目的を見いだしている人が多いからだと思います。たとえば、私自身も7年間勤め上げた会社を辞めて、幸福について研究するこの会社を3年前に立ち上げました。もちろん給料はかなり減りましたが、以前よりもずっと充実感があります。研究でも結果が出ていることですが、人は生きるためではなく、もっと意味のある何かのために働くことで、「長期的な幸せ」を感じる生き物なんだと思います。(引用)

セイフティネットが機能しているから、目的を見いだせたならそれに向かって歩んでいける環境があるんですね。

インタビューの教授も給与はかなり減ったが充実感はかなり増えたと語っています。

労働の目的がお金じゃないんですね。

この点の意識変換ができるかどうかが重要な気がしますね。日本ではどうしても生活=お金のために働いてしまっている人が多いでしょうから。

そして、デンマークでは、家族のこと、趣味の事など、やりたいことに充てる時間が十分にある。

しかも、幸せって主観的な感情だから、捉えどころがない。デンマーク人である私が研究をしても、まだよくわからないんです。それでも、デンマークのように幸福度の高い社会やコミュニティを作ることはできます。現に私は幸せについて考えることが幸せだし、デンマーク人であれて幸せです。とはいっても、幸せになれるかなれないかは、究極的には自分次第なんですけどね。(引用)


この締めの言葉がすべてですね。社会がセイフティネットを作ったとしても、幸せをどう捉えるかは自分次第。

幸福とはそういう事なのかもしれません。

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