【小説】初華 死刑を求刑された少女 ~第一章~ (1)
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2026年1月16日
「――いずれの殺害動機も自己中心的で、他者への迷惑を顧みない、非常に身勝手極まりないものである。被告人の生まれ育った家庭環境や、被告人の心情を鑑みても同情の余地はなく、情状酌量に値しない。以上の事から、死刑が人間の存在の根本である生命そのものを奪う最も峻厳な刑罰であり、真にやむを得ない場合における究極の刑であって、その適用は慎重にされなければならないことを十二分に熟考してみても、被告人に対し、命を以って償う極刑を臨むことはやむを得ないと考え