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#詩
ホウレン草異譚 ―記憶という不在―
いただいたホウレン草は
ちぢれてて
お浸しで食べると とても甘く果たして
ポパイのホウレン草は
どうだったのか
缶詰でも途端に
上腕二頭筋が盛り上るのだから
水っぽくはないだろう
それよりもあれほど食べて
父のように
腎結石にならなかった不思議に
うちのオリーブ
来年は結実するのだろうか
留置所でなお虚勢をはる姿は
それでも学生時代の面影があり
一目で彼だと分かった
彼は僕だとは気付かなかったの
Double helix
「いや、実際見てなかったんです。でも
どうして見なかったんだろう。」
警察官は何度も尋ねてきた
なぜ右を見なかったのか
何事にも理由があるのだし
彼は何か分りやすい
答えが欲しかった、曰く
口論してた、
急いでた、
落とした携帯を
取ろうとした、とか。
僕は、
____少しずつ思い出した
___いま左側に過ぎた
__池に咲いていた
_蓮の
網膜に残った
花を見ていた
生の音楽は久しぶりだった
第