収穫
待っている
機械が直って来るのを
そして呼び出しがあって出掛けていくのを
表面のカタバミをちぎっただけでは
駄目じゃないか
鍬のようなもので土を掘り起こし
細い針金のような根を
集めて捨てなくては
待っている
秋が深まるのを
そうしていつか虫の音が
まったく聴こえなくなって
冬がはじまり
暦が巡りまた一から始めて
娘たちが帰ってくるのを
土をたがやし
湿った土の上を恐ろしい
スピードで這ってくる蚯蚓は
どれも長く太く
今日はそんなにも育って
奴らもこれまで長いこと
待っていたのだ 自らの
異形の訳を問うこともなく
固い土を食っては
顆粒状の肥沃な土に変えていく
それだけを続けることに
疑問も持たず
待っていたのだ
より複雑な存在になることもなく
そのままに
吐き出して生きてきたのだ
だから
秋の日に
収穫した柘榴を捧げよう