期待
ある日夕暮れはコバルト色だった
ピンクの雲が紗のように映え
夜になったら良いことが起こりそうな気がした
だが美しい絹雲は
日没を待たずに闇に沈み
新しい予兆は隠された
朗報を待ちきれずに
始まった祝宴に
ぶどう酒は底をつき
札を握らせて追加の酒を買いに行かせた
男が帰って来たのは
日付が変わろうとする頃
宴会はとうに終わり
灯りも消されて
集まっていた顔は消えていた
男はひとり
テーブルの上や床を片付けた
散らばった皿、グラス、食べ残しのサラダ、
ナイフ、フォーク、箸
翌日は昼まえから積乱雲がわき上がり
真っ白な内部に昨日の秘密が
誰の目にも明らかだった
人々は会う人ごとに
美しい絹雲の行方を尋ねた
けれどいい考えは
だれも思いつかなかった
週末に拘束したスパイは
意気地がないのか演技なのか
今日はすでに怒気はなく
腰を低く ありがとうございます、と
同じ秘密を探っていた心を
隠すように
そして翌日
待ち望んだ知らせとは別に
1インチ四方の大きな
ニッケルとシルバーの塊が届いた
人々はその意味を尋ね
祭壇に供えた