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『ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙』


「あなたはだれ?」


たったそれだけが書かれた差出人不明の手紙が届いたら、わくわくしませんか?

この手紙を受け取った14歳のソフィーも、わくわくしてしまった一人です。そこから哲学講座がはじまるのです。

一緒に学びましょう!💪


哲学史 × ファンタジー

この本では、紀元前の古代から現代までの哲学を学ぶとともに、ファンタジーの世界を楽しむことができます。

ソクラテス、プラトン、アリストテレス以前の話から、宗教の話、宇宙の話、ビッグバンまで、哲学をぎゅぎゅっと学びます。

哲学の教科書

と言ってもよい内容です。

本書の中にこんな言葉が出てきます。

いつか、新聞に書いていたっけ。学校で全員が哲学の授業を受けるべきだって。そのエッセイには、「哲学を必須科目に」という見出しがついていた。

下巻 p.16

大きな本屋に行っても、図書館に行っても、若い人にぴったりの本がなかった

下巻 p.301

これらは、著者自身の言葉なんだろうなぁと感じました。

著者がどんな読者を念頭に置いて書いていたか?というと、「14歳以上のおとな・・・だと答えています。みんなに読んで欲しい本なんですね。


歴史を学ぶ意義

私は、子どものころから「歴史」が嫌いでした。全然覚えられなくて楽しくなかったんです。

でも、そんな「歴史」についての考え方を変えてくれる力が本書にはあると感じました。

いま知ると、紀元前の哲学は「いやいや、それはないでしょ(笑)」と思ってしまうようなこともあります。でも、

プラトンはまちがっているとか、アリストテレスは正しいとかは言えないんだ。(中略)それは歴史を無視した考え方だ

下巻 p.110

というように、「そのときはそうだった」だけなんですね。

では、哲学の歴史において、どんなことを学べばよいのかと言うと、このように書かれています。

わたしたちにとっては、彼らが何を、、 考えたかというよりも、どのように、、 、、、考えたかということのほうが重要なのです。

上 p.48
歴史を学ぶ積み重ねのイメージ


哲学とは?哲学者とは?

「哲学とは?」「哲学者とは?」にからんで、私が好きな言葉を紹介します。

赤ん坊は偉大な哲学者だ(中略)
赤ん坊には先入観がない
そしてそれが、ねえソフィー、哲学者のいちばんいいところなんだ。

上 p.349

正しいことと正しくないことの絶対的な基準などない

上 p.89

いい哲学者になるためにたった一つ必要なのは、驚くという才能

上 p.27

哲学者は、自分があまりものを知らない、ということを知っている

上 p.94

もっともかしこい人は、自分が知らないということを知っている人

上 p.95

知らないというのは、新しい認識にいたるステップです

上 p.309

重要なのは問うことで、答えをいそぐことはない

下 p.169(ダーウィンの言葉)

「おかしなことをお聞きになるのね」
本物の哲学者にはおかしな問いなど一つもないのです」

下 p.252

本物の哲学者は、ぜったいありえない、とはぜったい言わない

下 p.268

結局、哲学の問いとは、それぞれの世代が、それぞれの個人が、何度も何度も新しく立てなければならないんだよ

下 p.234


「哲学させられている自分」に気づく

この本を読んでいるうちに、「いつの間にか哲学させられている・・・・・・・ 自分」に気がついてハッとすることが、たびたびあります。

「自分の人生を生きる」ってどういうことだろう?

とか、ソフィーが最初に受け取った

「あなたはだれ?」(わたしはだれ?)

も頭をよぎります(特に下巻に入ってから)。

もちろん「人間とは?」も気になりましたが、これについてはサルトルの話がしっくりきました。

人間の本質とは、人間は本来これこれこういうものである、という定義だ。
サルトルによれば、人間にはそういう本質はない

人間は自分をゼロからつくらなければならない人間は自分の本質をつくらなければならないんだ。

下 p.226

この「人間とは?」に関連して、ソフィーのこの言葉が好きです。

バービー人形を集めるのも一つの人生よでも、
自分がバービー人形になるのは最低だわ

下 p.134

わたしは生きている、たった一度生きている、そして二度とこの生命の世界には戻ってこない ── なんて不思議なんだろう

下 p.186 

宇宙の話も出てきますが、これにもいろいろと考えが膨らみます。

人間は宇宙をそっくり自分の中にもっている

下 p.93
なんでもできちゃう気になってきませんか?


まとめ

哲学を学びながらファンタジーも楽しめて、おすすめです!

上下2巻で700ページ近くもあり、読むのが遅い私は、読むのに1カ月近くも要してしまいました。このボリュームにはご注意ください。ただし、

この本を読み終わったとき、あなたは哲学者になっているはずです。


本日の学びはここまで。また来てください。👋


読書期間 2023/03/12-2023/03/25(上)
     2023/03/26-2023/04/07(下)
初版発行 2011/05/30(新装版、旧版は1995年6月)

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