【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その4【トラウマ】
本書のまとめの4本目。Part.2に入りました。ここでは次の部分をまとめます。
全部の目次は,こちらの記事に記載しています。
Part2 心の傷とその原因
Chapter3 自分に価値があると感じたい
「なぜ自分には価値がないと信じるようになったのか。あらゆる傷と同じように,その答えは意外にシンプルである。
あなたにそう信じさせる生い立ちがあるからだ。」(p.083)
ここで焦点を当てるのは,「愛される価値がある」と感じられなかったことの傷,つまり,「自尊感情の傷」です。
そして,自尊感情の傷の事例として,「ベロニカ(仮名)」が登場します。
「自尊感情」という言葉は,今は巷でもよく聞き,「自尊感情を高めよう」とブームのように言われ続けていますね。
本書で言う「自尊感情」とは,「自分にはここにいるだけで価値がある」という自分の存在を肯定できる感情のことです。
さて,ベロニカには「パートナーとの関係がうまくいかない」という悩みがあり,著者のことを「最後の切り札だ」と言ってから,カウンセリングを開始します。
色々なカウンセラーに何回もカウンセリングをしてもらったが,効果がなく感じられたので,著者のところに来たらしい。
彼女はわずか5歳の頃に,母親から「ママはあなたたちをとても愛しているわ。でも,もう嫌なの」と告げられました。そして母親はそのまま家を出ていったきり帰って来ませんでした。
5歳の女の子には負荷が大きすぎる,かつ悲しすぎる出来事を経験しましたが,ベロニカはその事実を感情を見せず,非常にうまく「魅惑的(p.087)」に語ったといいます。
ベロニカの自尊感情の傷は,この「母親に捨てられる」という痛々しい経験から生まれ,「自分には価値がない」という生い立ちを50代前半まで背負い続けてきました。
ここで,著者は「自尊感情の傷」が生まれる原因となるものを3つ挙げています。
1,愛情不足(特徴として親の「一貫性のなさ・不在・見捨てること」(p.090-093)がある)
2,条件付きの愛(何かの罰として,愛やコミュニケーション,許しを与えないことなど)
3,言葉の暴力(子どもの容姿や人間性を否定するようなひどい暴言)
ベロニカは母親に見捨てられ,不在になるという「愛情不足」と,父親から姉と比較されるという「言葉の暴力」の2つを経験し,著者は父親から「条件付きの愛」しか与えられなかったと言います。
「自分の幼少期を振り返ってみて,いまだに影響が残っている両親の言葉を思い出せるだろうか。(中略)心を傷つける一言が,その後何十年もどれほど自尊感情に影響するか,私はいつも思い知らされている。(p.099)」
ベロニカはカウンセリングを通して,パートナーが自分のあらゆる命令に従ってくれないと「自分は相手にとって頼みごとを聞く価値がない」と感じてしまうこと,そしてそれが,幼少期に経験した「自尊感情の傷」が,痛みとして訴えていることを知ることができました。
【心の根元の傷を癒すワーク・自尊感情の傷】
さて,ここからいよいよ,心の根元の傷を癒すワークに取り組みます。これには4つのステップがあります。
1,心の傷に名前を付ける
(自分を傷つけたものは何なのか,正確に言語化してみる)
2,客観視する
(自分か他の誰かに,痛み,影響を与えた出来事の目撃者になる(なってもらう)※これは自分自身でも可能)
3,悲しむ
(客観視によって表れたすべての感情に寄り添う。自分の気持ちをしっかりと感じる)
4,方向転換する
(十分に悲しんだ後,再び自分に深く関わり,行動や考え方のパターンを変える)
それぞれの傷を,この4つのステップに沿って見つめます。著者は,傷を見つめる前に必ず,安心でき,リラックスできる環境に身を置くことを勧めています。
―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――
私もこの「自尊感情の傷」を見つめるワークをやってみました。
思い出すのは,両親からの様々な言葉かけでした。今でもこびりついているのは,母親から言われ続けた「関の山」という言葉です。
私が何かに挑戦しようとしても,「どうせできないのが『関の山』だ,無駄だ」「失敗するのが『関の山』だからやめなさい」と言われてきました。
また,条件付きの愛も与えられていました。「言うことを聞かないのなら○○はできない」「お前が絶対に悪いのだから,謝ってくるまで許さない」など,両親に都合の悪いことをするたびに言われ続けていました。
今思えば,私が欲しかったのは,私が挑戦したいことについて「○○というやり方があるよ」という提案や寄り添う言葉,「失敗しても大丈夫」「今のあなたが一番好き」という優しい言葉だったのです。
私は,失敗して泣いている自分を見つけて,そっと抱きしめて,「苦しかったね,辛かったね」「もう大丈夫だよ」「私はそのままの君が大好きだよ」と言いました。
言いながら,涙が数粒流れて,胸が熱くなったのを感じました。
時間が経ち。今これを書いているときは,気持ちも落ち着いています。非常に心に負担はかかりましたが,何というか,胸の奥がスッキリした感じがしました。
さて,「自尊感情の傷」についてはこのくらいにしておきましょう。
次回は「Chapter.4 何かに属したい」に進みます。