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僕は

僕は

僕が死んだとしたら
誰も知らない海底に行くのだろうか
僕が死んだとしたら
世界は変わらず回り続けるだろうか
青になりたい
空に 海に 僕は青になりたい
青が好きだった
優しいと思ったから
きっと僕は生きていたかったんだ
僕は生きていたかったんだ

僕も古着みたいに売ってほしい
棚にかけていろんな人の手に渡りたい
知らない誰かと組み合わせてほしい
バスが呼んでいる
夕暮れバスが僕を呼ぶ

どこへむかう

どこへむかう

雨が上がり空は赤らむ

君が持つ安いビニール傘が赤く煌めく

暗かった街並も赤に包まれる

時間は命の期限を知ったとたんに加速する

見渡す街は赤く燃やされてしまった

夕日は山へ落ちて夜を呼ぶ

カーブミラーもなんにも見えないや

さよならの音が近付いてくる

おわかれしよう

 

日が沈みどこかの街へ夕暮れは渡された

あの一瞬を僕の中に閉じ込めておけたのなら

僕を内側から燃やしてくれたの

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2023

夜が明ける
だからブルーハーツを聞く
街はいびきをかいている
体が熱い寝てなんかいれない
縁があったらまた会える
きっと会える

右の耳にもピアスをあけようか
酔いどれでみんな骨になる
体を忘れたい
時間なんて流れてない
嘘つきを殺せ
冥王星は見えないな

あなたワインみたいな人ね
気が向いたら会いましょう
忘れた言葉が好き
祈りは明日のために
ラベンダーの香りでおやすみなさい

鐘を叩きたい

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生きる詩

生きる詩

切れたフィラメントみたいな身体が
動かないと言うのなら
電源切って死んでみせろ

一つまた一つと明かりが消えいく
さよならだけが人生か
暗くなるだけの明日か
鳴りやまない残響を透かせ

心の嘔吐物を起爆して
一瞬でも輝いたなら
何か思い出すはずだ!

蝕まれていく烈日が
道を照らさないなら
僕らはただ彷徨うだけ

生きる意味を問い続けた
あの日の少年
戸惑い、苦痛、失望
今なら意味が付けられるだろ

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晩夏、線香花火

晩夏、線香花火

僕の庭に線香花火が咲いた

小さな火の玉は静かに

ほのか明るく辺りを照らす

懐かしい感覚に記憶が引き出されれば

火花は激しく走りだす

山吹色に輝く小さな晩夏の化身

宵の闇夜に咲き誇る

やがて花弁は散り続け

蛍火のようなそれは

静寂を呼ぶ

一夏の終わりを感じる

やがて小さな夏は落ちる

儚く散り綺麗だった

夜は暗くまだ少しだけ暑い

黄昏が訪れる時

君の笑顔に照らされて
うまく笑えないけど幸せだった

栗毛色の髪が太陽を透かして
爽やかな風が僕らの間を通り抜けてた
秋茜舞う空 帰り道の約束
僕は忘れないよ

「さよなら」告げるカラスの歌
どこか煤けていて
日常に溶け込む暖かさを
そっと離さないように
嘘を付いて笑いかける
僕にとって
名前のないあの時間が何よりも

あの道を曲がれば「さよなら。」だね
遠い空 溶けていく焦燥
この町を忘れないで

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壁の落書き 高架橋はそれでも笑う

壁の落書き 高架橋はそれでも笑う

乾いた空気が運ぶ物悲しさ
10月の田園が風に揺れて波を打った

セーラー服の噂話
体育館裏に幽霊が出るという
怪奇を含んだ祭囃子
ネガの記憶に褪せていく

花束を抱えた少年は打ちひしがれていた
揮発性の高い諦観はどこへ飛んでいくのだろうか
鉄塔の上 からすが鳴いた
もう帰らないといけないのに

壁の落書き 高架橋はそれでも笑う
吸い殻の空薬莢と有刺鉄線
後ろ向きの虚勢にため息を残して
透明に染めて

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