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おやこの目、剣客としての目ー独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖ー感想①

わたしは侍の時代小説が苦手である。

さむらう、と聞いただけでゾゾゾ。。。。と身の毛がよだつ。

商人や百姓よりも上の立場というだけで、
斬ろうと思えばいつでも斬れる立場の者。

ただ刀を持っているだけで、偉そうに振る舞う者。

変な「大義」をもって上のいうままに動く、近代の軍国主義、精神主義の元凶は
この武士道が歪められて浸透していったのでは。。。と勘繰ってしまうくらいだ。
日本でも有名な忠臣蔵も何処か白けてしまう。
人には誰しも苦手なジャンルがあるというが、わたしにとっては古代と近代を除く時代小説こと侍のジャンルがそれである。
(商人や絵師、料理人、非人といわれていたもの、妖もの、農民や学者といった一般人についての時代小説はいつの時代も好きなので、侍、武士、というもの自体が苦手なのだと思う)
ゆえに鎌倉期以降の残虐非道な武士の諸々とは、距離をとってきた。


池波正太郎の時代小説は文章の切れ味もよく、市井の叙情描写が群を抜いていて、時代のことがわからない大衆や、女性読者をとても意識して作られているので読みやすく好きなのだが、やはりそれでも男尊女卑も甚だしい現在のコンプライアンスに引っかかりまくるものを感じ、遠目で唸ってしまうときがある。

あと、もう一つ時代小説が苦手な理由がある。

なんとかカントカの守とか、なんとか座右衛門とか、漢字の羅列が、アタマの悪い自分にはとっつきにくい。

えーっと、備中ってどこだっけ、小納戸役って何❓
家老はわかるよ、お爺さんみたいな人でしょ❓😇

。。。。というくらいの低レベルさで時代小説の基本の言葉の諸々を知らないので長い漢字に意識をとられて、内容が頭に入ってこない。
全て己の無知所以のことである。

。。。。。このように、アンチ時代小説をぐだぐだと述べたが、


これは自分だけが感じていることではなく、もしかすると多くの一般人が時代劇や時代小説から距離をおいている理由の幾つかでもあると、
個人的には感じている。


そんな自分が、今回noteでも人気の、笹目いく子さんの
「独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖」を読了した。

笹目さんとは以前からnoteで交流があり、応援してくれていた存在であった。
まだ笹目さんがあまり記事を書いていない時期から、私のnoteを読んでくださっており、有り難い気持ちだった。

非常に聡明でお優しく、人格者の方である。
日記の文章から察するに「相当書ける方だろうな」という察しはついていた。
なので、アルファポリスの方は全く知らないのだが、商業作家となるということで応援したく思い、小説は買って読もうと思っていた。

けれど、どうも時代小説らしい。

「応援しています‼️感想も書きますね‼️」

とは常日頃キラキラといっていたが、

時代小説かあ。。。。うーん。。。読めるかなあ。。。。
な。。。なんか難しそうだな。。。。本当にわかるかなあ。。。。

という不安は非常にあった。

「調べ かき鳴らせ」ではなく、「剣客」というタイトルがついたお知らせの発表から、武士の話か。。。。と一層心が重くなった。


発売当日に購入し、売上に貢献させていただいたものの、
長い間時代小説、というものがネックで読めずにいた。
(ごめんなさい、笹目さん。。。)

感想を書くにいたって、どのようなアプローチで構成すればいいのかも迷った。

持ち上げる信者として書くのか、一般読者として書くのか、
同じ創作者同士、応援の気持ちで書くのか。。。。。

散々迷った挙句、noteというしがらみ、親切心、仲間意識は取っ払って、


790円+税というお金を払って本を買った、
一読者としての意見と、創作者としての感想を
正直に忖度なく感想を述べようと思った。

なんだか偉そうな言い回しだが、読者の本心を伝える機会はあまりない。
どうしてもマンセー状態になってしまう。



しかし、わたしはさむらうの時代小説がまず苦手だ。
また、違うフィールドではあるが、創作を長い間やってきた。

お金を払った一読者として、そして、同じ創作をするものとして
正直に書き綴りたい。

笹目先生が大好きな方はお気を悪くすることもあるかもしれない。
なに、この人、なんでこんな偉そうなの、という反発もあるかもしれない。


なので、信者の方はここで読むのをストップしていただきたい。
あくまで個人の感想である。

以下、忖度なき正直な読了後の感想である。

一言で言えば、

うわあ、いい話だなあ、よかったなあ、と思った。

アホな自分でも読めてよかった。。。と安堵した。
(もちろん漢字の羅列の難しいところはわからない。)


「灰が音もなく、雪のようにふりしきっていた。」


という書き出しが美文だ。

そこからグッと惹き込まれる。

繰り返し口ずさみ読みたくなる初文は、作家がかなりの力量を持ち合わせていることを意味する。

小説は最初の一文が勝負、ということは聞いていたが、作者も相当意識されていたと思う。

血生臭い戦のあとの塵芥や埃くささが、真っ白で何処か美しいカタルシスを感じる美文によって昇華されている。


🕊️次回へ続く