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もよおしたときのインタビュー

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あー、この人のインタビューしたいなあという気持ちがもよおしたときのインタビューです。100%。
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「今、ここ」にある、圧倒的で不可思議で、あかるい世界/美術家・詩人 田中重人さんインタビュー

「今、ここ」にある、圧倒的で不可思議で、あかるい世界/美術家・詩人 田中重人さんインタビュー

青い画面に、白く一本の線が水平にのびていく。

ああ、これは好きな青色だと思った。シンプルなのにふしぎと単調ではない。青のなかに水面のような揺れがあり、光を反射しているようにも、光をはらんでいるようにも見える。白い線は、その青を切り裂くことなく、やはりゆらめくように発光しているのだった。眺めていると、吹き抜けの高い窓からのひかりが、青い画面のうえをにじるように移ってゆく。

この絵は、神山で暮らす

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『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』は「二度とつくれないタイプの本」だった。フィルムアート社・臼田桃子さんインタビュー

『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』は「二度とつくれないタイプの本」だった。フィルムアート社・臼田桃子さんインタビュー

2020年6月に、『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』(フィルムアート社)を出版して以来、たくさんのメディアに取り上げていただき、著者としてわたしもインタビューを受けてきました。

でも、ずっと「この本は、編集者の臼田さんと一緒につくってきたのに」という気持ちがありました。もしも臼田さんが声をかけてくれなかったら、わたしはこの本を書くことはなかったからです。

臼田桃子さんは京都大学の卒業生で

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「まちへの貢献って意外とかんたんかもしれない」熊野公共文庫(public library)の話

「まちへの貢献って意外とかんたんかもしれない」熊野公共文庫(public library)の話

ある日、丸太町通から鴨川方面へと自転車をこいでいると、青いペンキで塗られた冷蔵ショーケースがぽつんと置いてあった。なかには、漫画や絵本が入っている。いつもの道に現れた非日常物体。立ち止まらずにいられない、声のようなものを発している。そのときは、親子連れがドアを開けて絵本を選んでいて、彼らが去った後、ようすを見守っていた女性がスマホを出して写真を撮っていた。彼女が歩き出すのを待って、わたしも近づいて

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味方にしか届かんすぎる言語になってる。100000tアローントコ・加地くんとのおしゃべり

味方にしか届かんすぎる言語になってる。100000tアローントコ・加地くんとのおしゃべり

寺町御池上ル40歩。京都市役所の横にある、レコード・CD・古本・など屋ーーこれが、加地くんが自らの店を説明する短い言葉だが、「など」の部分に100000tアローントコを表すなにかがにじんでいる。この店に来ると、言語化しきらないところ、説明しつくさないところを残しておいてもいいよな、と思う。

加地くんとのつきあいは、もう数えるのもめんどくさいくらい長い。土曜日、ひさしぶりに店に行っておしゃべりした

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