へいた|ショートショート

小説(ショートショート)を書いています。第二期「月々の星々」年間大賞。2023年よりオンライン文芸コミニティ「hoshiboshi」の運営スタッフに参加。一杯の珈琲のようなお話が目標。文学フリマ東京な-03 (西3・4ホール)。

へいた|ショートショート

小説(ショートショート)を書いています。第二期「月々の星々」年間大賞。2023年よりオンライン文芸コミニティ「hoshiboshi」の運営スタッフに参加。一杯の珈琲のようなお話が目標。文学フリマ東京な-03 (西3・4ホール)。

マガジン

  • ただの日記

    キラキラでもハラハラでもない、ねこの中の人のただの日記。

  • ショートショートnote参加集 WEEKS

    たらはかにさんの企画「毎週ショートショートnote」への参加作を集めています。お題に従った410文字。週替わりの一杯どどうぞ。

  • ねこのまたたび

    あっちに行ったり、こっちに行ったりした記録。

  • エッセイ集 へいたのはなし

    エッセイ集です。ここに書いていることだけは本当の話です。おそらく、多分、だいたいは。

  • 朗読付きショートショート集 SAND BOX 1099

    水上洋甫さんの朗読による画像付きショートショート集です。ショートショートのお砂場。こんなんできるんだなあ、というのが作れたら、いいのに、なあ。

最近の記事

  • 固定された記事

エッセイ クラウドファンディング、スタートします!(ねこの悪だくみ2024年11月)

 毎月、月初めに計画などを書いています。  達成できたりできなかったりします。悪しからず。  2024年11月のねこの悪だくみです。 悪だくみ その1.  クラウドファンディング、スタートします! 140字小説集のシリーズを刊行するレーベル「言葉のふね」が行うクラウドファンディング、「新しい書き手たちによる140字小説の作品集を届けるための新しいレーベルを作りたい」に140字小説の書き手として参加しています。  プロジェクトは11月8日(金)10:00から、MotionG

    • ただの日記#51(2024.11.10〜2024.11.16)

      お好み焼きのフリーダムを満喫するねこの中の人のただの日記 ←last week 2024年11月10日(日) 職場の同僚のお宅でインド風カレーとビリヤニを作る。旦那さんが昔、インドで勤務していたことがあるそうだ。「実は家族でインド旅行を計画していまして、もし宜しかったらその時ご一緒しませんか」と切り出される。同僚が家族でインド旅行に行くことに若干の不安(健康問題とか)を感じていたことを思い出して、笑って誤魔化す。家族での旅行を達成するために、同僚から攻めて外堀を埋めていく

      • ショートショート 長距離恋愛販売中

         終業間近の仕事場、電気の消えた食堂の扉に滑り込む。今日も忙しかった。眠くて、寒くて、とにかく喉が渇いていた。   数台並んだ自動販売機はどれもこれも売り切れで、隅にある見慣れない躯体だけがどうにか在庫がありそうだった。みな青い光だったが仕方がない。冷たくてもないよりはと千円札を滑り込ませてボタンを押すとピコンと音がした。しかし商品をとる口が見つからない。  「長距離恋愛販売中」。電気をつけるとさっきの躯体には大きなシールが貼られていた。商品棚には 若い男女のシルエットが

        • 入稿完了…。文学フリマ東京、出店します。ブース番号な-03 (西3・4ホール)「珈琲まねきねこ」です。新刊「パンプキング」をご用意してお待ちしております。ハロウィーンとかぼちゃと家族の話です。これから岩手にはショートショート集、東京には連作を持っていけるといいなと思っています。

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        エッセイ クラウドファンディング、スタートします!(ねこの悪だくみ2024年11月)

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        • ただの日記
          34本
        • ショートショートnote参加集 WEEKS
          232本
        • ねこのまたたび
          19本
        • エッセイ集 へいたのはなし
          116本
        • 朗読付きショートショート集 SAND BOX 1099
          49本
        • 猫が洞の王さま
          11本

        記事

          ただの日記#50(2024.11.03〜2024.11.09)

          ハニワとキティちゃんを眺めるねこの中の人のただの日記 ←last week 2024年11月03日(日) 川越市のスタンプラリーに行く。雨が降ったり止んだり。川越市に行くのがそもそも初めてなので、街並みに驚く。こんな街があるのか。来てよかったと思う。歩き回って、イベントにも参加して、たくさんの人と話して、ホテルで友達に電話して、疲れ切って眠る。体が溶けそうだと思う。このまま溶けて無くなってもいい。 2024年11月04日(月) 挂甲の武人 国宝指定50周年記念特別展「

          ただの日記#50(2024.11.03〜2024.11.09)

          ご馳走を食べることはその土地を食べること(#私のこだわり旅)

           旅行に行ったら、土地のものが食べたいと思う。いわゆる地元の食べ物ってやつだ。食いしん坊だからではなくて(食いしん坊ではあるのだけれど)、その土地ならではのものって、やっぱり珍しくて美味しいものが多いし、どうしてこれを食べてるんだろう、どうしてこういう味が好きなんだろうって考えるとわくわくしてくる。  先日、福島県の会津若松に行った。会いたい人がいたからだ。「会いにきました」とか言って、色々地元を案内してもらった。私は、地元の人のおすすめを聞くのが好きだ。地元の人におすすめ

          ご馳走を食べることはその土地を食べること(#私のこだわり旅)

          地図と根拠のない自信を持って歩こう(#私のこだわり旅)

           先週末に「ほしおさなえの 世界をめぐる スタンプラリー」をしに川越市に行って来ました。ほしおさなえ作品に関わりのある市内の7つの場所をめぐるスタンプラリーです。駅の観光案内所や、市内店舗などで配布されているチラシ、またはフリーペーパー「コエドノコトpaper」に印刷された台紙にスタンプを3つ以上集めると素敵なノベルティがもらえるとのこと。ふむふむ。  ホームページで情報を確認して、休日の予定と相談。なんとかいけそうだ、ということで電車に飛び乗り、いざ川越駅。駅で調達した

          地図と根拠のない自信を持って歩こう(#私のこだわり旅)

          ショートショート キンモクセイ盗賊団の池

          「ユピテル」  盗賊団の頭領はそう呼ばれていた。目は聡く、頭はきれ、うっとりするほどの美丈夫。ローマの神様に例えられるのも無理はない。  ある王国に来た時のことだった。城に盗みに入ったユピテルは塔の上にひとりの王女を見つけた。王女も突然現れたユピテルを見つめる。二人の間に稲妻が走った。  どこかの国の王子だっら良かった。しかし彼は盗賊だ。盗賊には、盗賊のやり方がある。たくましい腕が王女を抱え上げ、二人は城を抜け出した。  すぐに追っ手がかかる。国王軍だ。さすがのユピテル

          ショートショート キンモクセイ盗賊団の池

          ショートショート 沈む寺

           昔、貴族の家に気分屋の次男がいた。気に食わないことがあると誰彼構わず怒鳴り散らした。 「怒鳴っても人は動かん」  父親が咎めたが頬を膨らませるばかり。仕方がないので出家をさせることにした。仏門に入れば穏やかになるだろうと思ったのだ。  貴族の息子だ。寺の誰もが次男にごまをすった。次男は益々居丈高になり、我慢ができなくなった僧がひとりふたりと寺を去った。  ある朝目覚めると次男はひとりぼっちになっていた。呼んでも誰も返事をしない。苛立って柱を蹴飛ばした。するとどうだ。ズズ

          ショートショート 沈む寺

          ただの日記#49(2024.10.27〜2024.11.02)

          本好きを見抜かれて動揺するねこの中の人のただの日記 ←last week 2024年10月27日(日) 会社の試験で外出。午後に「江戸川乱歩企画展『乱レ歩ク』」と「円頓寺 本のさんぽみち」に行く。江戸川乱歩展の方は堀川沿いにある尾張藩の御用商人だった伊藤家の住宅を会場にしたもので、普段は入れない古い建物に入れるだけで楽しい。中庭から大きな蔵の出入り口が見えた(庭および蔵に入ることはできない)。昔、何かの本で江戸川乱歩が蔵のなかで本を読んでいたような記述を見た記憶がある。あ

          ただの日記#49(2024.10.27〜2024.11.02)

          エッセイ 小さくて、大きな幸せ (ネコ戦記2024年10月)

           毎月、月末あたりにその月の公募活動などをあけすけに書いています。なんてあけすけな! 恥を知れ!  というわけで、10月の活動報告です。 1.noteの活動について 私のクリエイターページを見ると一見して分かるように、最近、投稿数が減っています。  じゃあ、裏で何かしているのかというと、特に何もできていないという…。  書くことがなくなったかというと、そういうわけでもなくて、この記事が書きたい、がひたすら手帳に溜まっては捨てるような状況です。端的に言うと時間管理がまだうま

          エッセイ 小さくて、大きな幸せ (ネコ戦記2024年10月)

          ショートショート この中にお殿様はいらっしゃいますか?

           高校生の頃、家出をしたことがあります。数学コンクールで賞をもらった日でした。「所詮高校生の賞だ」と父は私に言いました。私は制服のまま家を飛び出し、真っ暗な公園のベンチで震えていました。  私に声をかけてくる人がいました。「凍えるぞ」とか、そんな風だったと思います。身なりがいいとは言えない男性でした。 「酒のがあったまるんだけど」と言いながら彼は私の膝に缶コーヒーをのせました。私はお礼を言い、代金を払おうとしました。彼は笑って言いました。 「いいさ。俺は、お殿様だから」

          ショートショート この中にお殿様はいらっしゃいますか?

          ただの日記#48(2024.10.20〜2024.10.26)

          日記本のトークライブを見たことを日記に書くねこの中の人のただの日記 ←last week 2024年10月20日(日) パン屋さんでお昼を調達する。おすすめのサンドイッチをおすすめられるままに買い、おやつ用に菓子パンも買う。ほくほくで帰る。 2024年10月21日(月) いしいしんじ「書こうとしない『書く』練習」読了。朝にいくつかの項目を書き写す。自分の頑張ることは何かを考える。 日中ミーティングが4件あり、夕方にくたくたになる。誰が誰なのか、記憶の中で混ざりそう。

          ただの日記#48(2024.10.20〜2024.10.26)

          ショートショート(と、朗読) 隔週警察【SAND BOX 1099】

          ーー僕は学生なのだ。怪盗専門学校の。ーー 「交番がない」   駅前で思わず声が出た。昨日まであった交番が消えていた。  盗まれたのかもしれない。警察に届けなくては、と思って苦笑いをした。ないのはその警察だ。 『隔週警察』  通学電車の中で記事を見た。スマートフォンのニュースアプリだ。人手不足で交番が移動式になったらしい。一週間ごとの交代制だ。 「やりたい放題じゃん」  つい呟いて慌てて口を押さえる。僕は学生なのだ。怪盗専門学校の。  駅の改札で立ち止まった。電車から大人

          ショートショート(と、朗読) 隔週警察【SAND BOX 1099】

          ショートショート 蕎麦でも気球は浮かんでる

           うわあ、と子供たちが嬉しそうに声をあげた。開けた丘で次々空にあがる気球を見上げながら、転がるようにかけて行く。空に色とりどりのバルーンが浮かぶ。おおい、とちぎれんばかりに手を振った。 「こっちですよ」  先生が子供たちを呼んだ。麓のまちから遠足できた彼らには特別な気球が用意されていた。みんな、我先にと乗り込む。 「気球はなんで浮かぶんだと思う?」  遠くなる地上を見下ろしながら先生が言った。 「風船!」 「火?」 「空気さ」  子供たちが口々に答える。 「悟君は? 気球

          ショートショート 蕎麦でも気球は浮かんでる

          ショートショート それでも地球は曲がってる

          「なんか、地球、曲がってない?」  学校帰りに野球ボールが言い出した。地球は心当たりがない。 「曲がってるって、どういうこと?」 「教室でさ、後ろから見てると、なんかお前頭が傾いてるんだよ」  地球は思わず首を正した。今だって傾いていたのだ。苦い顔で答える。 「生まれつきなんだ。もともと曲がっているんだよ」 「気になるんだよ。おかげで俺、授業に集中できない」  野球ボールは真剣だ。ふたりの通う球体中学校で野球ボールは一二を争う優等生。今年は受験もある。授業に身が入らないのは

          ショートショート それでも地球は曲がってる